033 ゴブリン遭遇(ダイヤード5歳)
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食事の後、タランを先頭に冒険者と魔法師、ダイヤードと縦列で進んでいた。
冒険者と魔法師には一応防具だけを装備させ、冒険者はタランに道順を教えながら進んでいる。
「この森って魔物は少ないの?」
ダイヤードは前を歩くタランに声を掛けた。
「いえ、森の深い所では遭遇率は高いですね。浅い所だとギルドの冒険者たちが狩ってますから、魔物は少ないんです」
「そうなんだ。タランラは魔物を狩ったことってあるの?」
「はい。俺もギルドに加盟しているので、仲間と組んで森に入ることはあります」
「えっ! タランラって冒険者なの? 言ったら悪いかもしれないけど、見えないね」
「ハハッ。本業は魔術具師ですからね。森に入る時は入念に準備してから挑みます」
「それなら何でギルドに入ってるの?」
「…… それは色々と事情があるんです。…… それよりも後方をしっかりと警戒してください。それと、いつでも魔法を撃てるように魔力操作をしておいてください」
前方のタランから少し困ったような声がした。
「うん。魔力操作は常に意識してるから二秒もあれば魔法は撃てるよ」
ダイヤードもタランに注意された通り話すことなく進んでいると、不意に右手を拳にし、ハンドサインを送ってきたタランが歩みを止めた。遠くで「ウギャ。ウギャ」と声が聞こえる。
ゆっくりと迂回するように動いていたが、タランはゆっくりとショートソードを抜くと、いつでも素早い動きが取れるように腰を低く構えた。
ダイヤードは事前に決めていた通りに魔法師と冒険者の片足を掴んだ。
魔法師と冒険者の顔は恐怖に変わった。
「死んだらごめんね」
ダイヤードは二人に電気を流し気絶したのを確認すると、腰の短剣を抜きながらタランの傍に近づいた。
「いやー。躊躇ないですね」
タランは苦笑しながら呟いた。
「僕たちを殺そうとしてきた奴らに与える慈悲はないでしょ。それで近い?」
ダイヤードも声を殺しながら答えた。
「はい。徐々にこちらに近づいています。避けられそうにありません。覚悟をしてくだ…… フフッ」
「どうしたの?」
笑ったタランを不思議そうに見る。
「い、いえ。短剣を構える王子殿下の姿が何とも言えないお姿で……」
タランは言葉を濁すがダイヤードは言いたいことを察した。
「ちんちくりんで悪かったね。剣も杖も僕には重すぎるし、これしかないんだからしょうがないでしょう?」
五歳児のダイヤードでは短剣の持ち手は片手で掴むことが出来ない。しかも短剣すらも子供には重いので踏ん張る必要がある。
その結果、全てが身の丈に合っていない冒険者が出来上がった。
「い、いえ。そういう訳では…… 申し訳ありません」
「別に気にしてないよ。自分で分かってるし」
そう言うとダイヤードは頬を膨らました。
「え、ええ。それでは、打ち合わせ通りにお願いします」
「うん。魔物が気付いてなければ、僕が雷撃で先制攻撃、タランラが突っ込んだ後は、補助に徹する、だね」
「はい。それでお願いします」
しばらくすると、四匹のゴブリンが鼻をヒクヒクしながら近づいてくるのが見えた。
全身が緑色をしており、身長は低いが筋肉質な手足、額からは小さい一本の角が生えている。四匹中三匹が腰ミノをしており、上半身は裸だ。残りの一匹は冒険者から奪ったであろう長ズボンを破って半ズボンにしてはいている。背が1mぐらいに対し、ズボンを丁度良くはけているアンバランスさが奇妙だ。
全員が棍棒を持っているが造りは荒く、所々ささくれ立っている。
「じゃあ、俺は横に回り込みますので、だいたい一分ほど経ったらズボンをはいたゴブリンに雷撃を放ってください」
「うん。分かった。【OK!】」
「おっけ?」
タランは小首を捻りながら、ダイヤードから離れていった。
「…… 58、59、60。いけ! 雷撃!」
バチバチッと、音がすると共に前方に出した手から雷が打ち出された。
それに一拍遅れゴブリンたちの横から飛び出したタランは、一匹のゴブリンを蹴り飛ばし、その横のゴブリンの首をめがけて剣を叩きつけた。
残った無傷のゴブリンが立て直すためにタランに対して距離を取る。タランは直ぐに距離を詰めゴブリンに切りかかるも、ゴブリンの棍棒に食い止められる。
ゴブリンの力が勝り、徐々にタランの剣は押し返される。
これで決着を付けたかったタランは焦りの表情を浮かべる。
「クソッ!」
蹴り飛ばしたゴブリンが立ち上がるのが目に入り、思わず声が漏れる。
「掌雷!」
素早く鍔迫り合いをしていたゴブリンの後ろに回っていたダイヤードの一撃で、ゴブリンは一瞬硬直し倒れる。
立ち上がったゴブリンは他の三匹が倒れたのを見て、逃げようと踵を返す。
それを見たタランは逃げるゴブリンを追いかけ、剣をゴブリンの腰から上に切り上げた。
「フーーー。…… やった」
長い息を吐き緊張を緩めるダイヤードに対し、タランは息を整えながら倒れたゴブリンに対して一匹ずつとどめを刺していく。
「まだまだ経験が足りないなー。それに魔力を込め過ぎた」
ダイヤードは所々黒こげ、煙が出ているゴブリンを見た。明らかに過剰攻撃だった。
「え? 何を言ってるんですか。王子殿下はまだ五歳じゃないですか。これから色々と学んでいけばいいだけですよ」
少し落ち込んだダイヤードにタランは呆れたように言う。
「そうだね。あっ。魔石は取り出していい? 初めて倒した記念に持っておきたい」
「ハァー。余裕ありますね」
「余裕がなくて切羽詰まっているよりかはマシでしょ」
そう言うとダイヤードとタランは死体の処理を行った。
ただ、ダイヤードは小さすぎて使い物にならず、ほとんどをタランが行うことになったのだが、そのためダイヤードが不満そうなことにタランは理由が分からず何か不敬を働いたのかと悩むのだった。
レミ「…… カッコいい。 (●´ω`●)」
ダイ「レミ? レミさん? レミさーん?」
レミ「はっ! トリップしてましたわ」
ダイ「そ、それはそうと。質問はある?」
レミ「いえ、もう一度戦闘シーンのダード様を鑑賞しますので、今はいいですわ」
ダイ「そ、そう。じ、じゃあ、楽しんでね」




