028 目が覚めたら森の中(ダイヤード5歳)
楽しんでいただけると幸いです。
「うぅん」
ダイヤードはゆっくりと目を開けた。
「あれ? ここはどこ?」
少しかすれた声で呟いたが、反応はなかった。
周囲は薄暗く、体を動かすと枯葉の擦れる音がした。
「な、何で? てか体がだるい……」
体を動かすのも億劫で、頭だけを起こし周囲の確認をした。
枯葉がクッションとなっており、グレーのローブを布団代わりに掛けられていた。
「確か教会で倒れて…… やばっ」
ようやく普通でない状況にさらされていることに気が付き、慌てて周囲を注意深く観察した。
大人がぎりぎり一人だけ入れる空間で、森の匂いが強く鼻についた。
(本当に何があったんだろ?)
ゆっくりと体を起こすと、目の前が木の枝と葉で作られた壁があるのに気が付いた。
外の気配を伺うと、人の動く音が感じられた。
(誰かいる? ……ただ、どうも介抱されていたっぽいし、危険な人ではなさそう…… かな?)
ダイヤードは心を落ち着かせ、ゆっくりと壁を横にずらした。
「…… あっ、王子殿下。目を覚まされたんですね。よかったー」
そこには焚火を前に木の根に腰かけた青年がナイフを手に何やら作業をしていた。
男の安心したような顔を見て、ダイヤードの体から緊張が解け、体を支えていた手が滑り、男の前まで転がった。
「わわわ。大丈夫ですか? 王子殿下」
男は素早くダイヤードに駆け寄ると、優しく抱き起してくれた。
「あっ。ありがとう」
ダイヤードは思わずお礼を言った。
「いえ、臣下として当たり前のことです」
男はゆっくりと近くの木の根にダイヤードを座らせた。
ダイヤードは周囲を見回したことで大きな木の洞に寝かされていたことに気付いた。
「あれだけ大立ち回りをしたのですから、一日中寝てても仕方ないですよ。まだまだ体も疲れてるでしょう」
「大立ち回り? 誰が?」
ダイヤードは小首をかしげる。
「殿下が、です」
「教会で倒れてから一日が経ってるの?」
「いえ、四日です」
「…… え?」
「え?」
ダイヤードの反応に男も困惑をしたようだった。
「まさか…… 何も覚えておられない?」
「う、うん。教会で付属式の最後に倒れたのは覚えているんだけど、目を覚ましたらここにいた」
「私の名前も…… 覚えてないですか?」
「え? ……ごめんなさい」
「いやいやいやいや、お、王子殿下が謝らないでください。疲れ切っておられましたし、忘れてしまうのも無理ありませんからー」
ダイヤードが軽く頭を下げると、それ以上に頭を擦りつけ土下座みたいな恰好で言った。
「あー。ごめん、ごめん。話が進まないから頭を上げてよ。それでもう一度名前を教えてもらってもいい?」
「は、はい。もちろんです。私は魔術局に勤めておりますタラン・ランジェットと申します。王子殿下は俺…… 私をタランラと呼ばれていました」
タランは頭を上げたが、地面に膝を付けたまま言った。
「タラン? タランラ? 何で?」
ダイヤードは左右に小首をかしげながら聞き返した。
「え? いやー最初の自己紹介で色々とありまして…… 忘れてください」
再度タランは頭を下げた。
「うーん。それじゃ、今まで通り、タランラって呼ぶね」
「えー。あのー忘れてもらえませんか?」
「なら、言わなきゃ良かったじゃん」
「あっ。ホントだ!」
タランはガックリと項垂れている。
ダイヤードはその姿を見て少し笑ったが、直ぐに真面目な顔に戻した。
「それで、タランラ。一体何があったのかを最初から教えてもらえる?」
レミ「何か色々とややこしいことになってますわね」
ダイ「そうだね。ただ、次回答え合わせをするので何も言えないんだよね」
レミ「となると話題と言えば……」
ダイ「言えば?」
レミ「登場人物増えすぎ問題ですわ」
ダイ「何か問題?」
レミ「000話に出てない人が登場したり、出てるのに全く登場しない人がいますわ」
ダイ「それね。でも仕方ないんだよ」
レミ「何でですの?」
ダイ「元々、10話くらいで終わる予定だったからね」
レミ「驚愕の新事実ですわ Σ(・□・;)」




