027 一方その頃(ダイヤード5歳)
楽しんでいただけると幸いです。
オリヴィアとマルガネットは貴賓室でゆっくりとお茶を飲んでいた。
「それにしてもダンバルトは本当にダードのことが好きなようね。しかも、それがマルガネットの子供なんて、母親としては嬉しい限りよ」
オリヴィアは先程のダンバルトとのやり取りを思い出して微笑んだ。
「ええ。まさかダイヤード様の付属式を見守るなんて言うとは思いませんでした」
つられてマルガネットも微笑んだ。
「ダードもダンバルトには素を見せることが出来ているのが安心ね」
「ダイヤード様は賢すぎて、こちらに気を遣っていますからね。もう少し子供らしくしてくれてもいいのですが…… いささか、成長が早すぎます」
「その分、ダンバルトに甘えているのでしょうね。ダンバルトがダードを教育できるようになれば、私も少しは目が離せるのですけどね」
「フフッ。オリヴィア様は過保護でいらっしゃいますから、目を離すのは難しいのではないですか?」
「まぁ。マルガネットも私を過保護というのですね。心外だわ。フフフ」
オリヴィアはワザとらしく驚いて見せる。
「母の愛は特に子供には伝わらないものですよ」
「そうかしら。でもダンバルトにはしっかりと伝わっているように見えるわ?」
「ダンというよりダイヤード様が特別のような気がしますわね」
「でも、ダンバルトもかなり優秀と聞いたわよ。十分特別だわ」
「それもダイヤード様のおかげです。ダイヤード様に教えるために勉強を頑張り、ダイヤード様を守るために剣術や魔法に精を出しているのです。ダイヤード様より一つ年上ということもあり、自分が守らないといけないと思っているみたいですね」
「それなら、ダンバルトが一番過保護ではないかしら?」
「フフッ。確かにそうですわね」
穏やかなお茶会を楽しんでいると、乱暴に扉が開かれた。
「お母様! 大変! 大変です! ダード様が! ダード様が!」
「お、落ち着きなさい。ダイヤード様がどうしたのです?」
マルガネットはすぐさまダンバルトに駆け寄ると、ダンバルトを抱きしめ背中をさすりながら言った。
「式の…… お、終わりごろ、…… ズズッ。ダード様が。ダード様が倒れて。…… グスッ。魔石が…… 子持ちで。…… ダード様が連れていかれた! ワアァァァン! ダード様ぁぁぁ~」
マルガネットに抱きしめられ安心したのか、ダンバルトは堰を切ったように泣き始めた。
「オリヴィア様」
「ええ。直ぐに動きます。マルガネットはここでダンバルトと一緒にいて!」
オリヴィアは言い終わらないうちに護衛を連れて部屋を出た。
廊下を小走りで小聖堂に向かいながら、嫌な予感が胸を締め付けていた。
小聖堂には幾人かの教会関係者と魔法師が話をしていた。
「そこの者。ダイヤードはどこに連れて行かれたのですか? 答えなさい」
教会の司祭の一人に声をかけた。
「えっ? こ、これはオリヴィア妃陛下。わざわざお越し……」
「挨拶はよい。ダイヤードをどこに連れて行ったのですか?」
オリヴィアを見て、慌てた司祭に再度尋ねた。
「ダイヤード殿下は式の最中に倒れられまして、い、今は……」
「オリヴィア妃陛下! ダイヤード殿下は我々が責任を持って……」
司祭の言葉を遮って、魔法師が言葉をかぶせてきた。
「護衛! この者を捕えなさい! 不敬です」
オリヴィアは即座に命令を出した。
「もう一度だけ問います。ダイヤードをどこに連れて行ったのか答えよ」
護衛の一人が抵抗し喚く魔法師を拘束している中、オリヴィアは司祭に詰問した。
「は、はい。殿下は今、医療室にて治療を受けていると思われます」
司祭は顔を真っ青にしながら答えた。
「思われます?」
オリヴィアの眉が動いた。今は扇で口元を隠す余裕もないようだ。
「いいえ。は、はい。私も今ここに着きまして、捕らえられた魔法師に詳細を伺っていたのです」
「分かりました。では、直ぐに医療室に案内しなさい」
「は、はい」
護衛の一人を拘束した魔法師を連れて行くように指示を出し、医療室へと急いだ。
「何をしているのです」
医療室の前で大司教を含む教会側と魔法局側で何やら揉めている。
「こ、これはオリヴィア妃陛下。この者どもを何とかしてくだされ。これではダイヤード殿下の治療が出来ませぬ」
代表として大司教が即座に答えた。
「何を言っている。我々が治療すると言っているのだ」
「誰が治療しようと構わんと言っているのじゃ。それより早く治療をせんといかんじゃろうが!」
大司教は顔を真っ赤にして起こっている。
「大司教の言う通りです。早く治療に当たりなさい。護衛」
護衛は魔法師をどかしていく。
「一応、全員を拘束しなさい」
そう言うと、オリヴィアを先頭として扉を開け、大司教がそれに続いていく。
「? …… ダイヤードはどこです?」
レミ「ダンバルト可愛い」
ダイ「うん。裏ではこんなに心配させてたんだな」
レミ「ダードちゃま~」
ダイ「いや、恥ずかしいんだけど……」
レミ「仕方ないですわ。他のところに触れたら先々のネタバレになりかねないのですから」
ダイ「た、確かに」
レミ「まぁー、それを愚作者が覚えているかは分かりませんが」
ダイ「ダメじゃん」




