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025 付属式前(ダイヤード5歳)

楽しんでいただけると幸いです。

 この一か月の間、魔法操作に大半の時間を費やしてきたが、一向に自分の魔力を動かすことが出来なかった。


「ダード様……」


 ダンバルトの目からも落ち込んでいるように見えるダイヤードに何も言えないでいた。

 マルガネットからもそっとしておくように言われたのだろうが、その心遣いがダイヤードにとっては嬉しかった。


「大丈夫。心配すんなよ。魔法は使えないかもしれんが、俺にやれることは一杯あるからな」


 ダンバルトでも分かるほどの空元気だった。


「大丈夫です! 心配しないでください。僕がダード様の代わりをします。ダード様が使いたい魔法は全部僕が使います」


「ったく…… (お前は強化魔法しか使えないだろうが。でも、)ありがとな。何かあったらダンに任せるよ」


「はい! ダンにお任せです」




 付属式当日となり、ダンヤードは朝からそわそわしていた。


「少しは落ち着きなさい」


「そうは言っても母上。結局、魔力操作が出来るようになりませんでした」


「何度も言いますが、心配ありませんよ。ダードの魔力に属性を付けるだけなので、魔力操作は関係ありませんから」


「でも、でも。今までに魔力操作が出来ないまま付属式をした人っていないでしょ?」


「い、いえ。そうね。長い年月でひ、一人くらいならいる…… かもしれませんね」


 オリヴィアは露骨に目を逸らした。


「やっぱりそうなんだ~」


 ダイヤードの目に涙がたまっていく。


「コホン。それよりも考えないといけないことがあるでしょう?」


「ありましたっけ?」


 ダイヤードは涙目でキョトンとする。


「こ、この子は…… 何で魔法のことになると、周りが見えなくなるのですか?」


「遠回しにバカと言ってます? だって、魔法ですよ! 雷魔法師ですよ。必殺技が使えるんですよ」


「私にはダードが何を言いたのか、全く分かりません!」


 呆れたオリヴィアは強い口調で窘める。


「だって…… 光輝の……」


「コーキの知識は一先ず置いておきなさい。それより昨日話したことは忘れていませんね?」


「昨日……? あぁ、式で飲食しちゃダメ…… でしたっけ?」


「そうです。魔法局の動きが慌ただしいのは掴んでいますが、遠方にやった使いの者からの報告は間に合わないようです」


「はい」


「分かっていましたが付属式の延期も難しいとのことです。よって自分たちで警戒をする必要があります」


「でも付属式で何か細工できるでしょうか? それに何か飲んだり、食べたりしないのでしょう?」


「それが分からないから警戒をするという話だったでしょう」


「そ、そうでしたね」


 ダイヤードは魔力操作が出来ないことに落ち込み、オリヴィアとの会話の内容をほとんど覚えていなかった。


「魔力操作については、式が終わった後にでもゆっくり考えましょう。今は付属式のことだけに集中をしなさい」


「わ、分かりました。いったん魔力のことは忘れることにします」


 オリヴィアの迫力に押され、早口で答えた。


「なら、準備が出来たら教会に行きましょう」


 付属式は教会で行われるため、朝早くからの準備となる。

 この世界での教会の役割は、神への信仰活動以外に魔物による被害の救済と補助を中心としており、補助の一環として魔力量の測定や付属式の取りまとめを行っている。

 また、国としても平民への福祉を教会と共同して行っており、持ちつ持たれつの関係となっているため、王族や貴族への付属式は教会の権威付けの意味合いを持つ。


 ダイヤードが事前に教会を調べた時の感想は「案外腐ってはないようだな」だった。


レミ「質問がありますの」

ダイ「はい。何だろう?」

レミ「教会が信仰している神って何ですの?」

ダイ「ああ。話が長くなるから削除した内容だね」

レミ「物語の深みを出すためにも必要なことだと思いますわ」

ダイ「あ。それもそうだね」

レミ「そこが愚作者と、呼ぶ理由ですわ」

ダイ「一言で言うなら、主は『創造神』」

レミ「本当に一言ですわ! 『主は』ということは、多神教という考えてよろしいですの?」

ダイ「うん。問題ないよ。でも……」

レミ「どうしました?」

ダイ「多分…… 恐らく…… 教会は今回しか出てこないかも……」

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