024 魔法③(ダイヤード5歳)
楽しんでいただけると幸いです。
ダイヤードはオリヴィアに魔法局の対応を知らせ、ここ一週間ほど魔法技術の習得に精を出していた。
「ダード様。今日は一緒に魔法を学びましょう」
「えい! えい! おー!!」
「おー?」
ダイヤードは右手、一拍遅れたダンバルトは左手を上げて首をかしげた。
一応、講師としてオリヴィア、乳母のマルガネットが控えている。
「ダード様は、魔力は感じることが出来てます?」
「う~ん。やり方は教えてもらったけど、まだ無理みたい」
「なら、一緒にやりましょ」
「おう! まずは魔石を握って力を込めたらいいんだよな?」
「はい! それで魔石が熱くなれば、それが魔力を出している……しょ、証拠? になります」
最近話す言葉の語呂が増えたダンバルトだったが、まだまだ自信のない言葉が多い。
「昨日もやったんだけど、全然熱くならないんだよなー。ダンはどうやったんだ?」
「僕は母上に補助してもらいました。三日です」
ダンバルトは指を三本立ててみせた。
「え!? 三日で魔力を操作したの? マジかよ。俺って才能ないのかな?」
「ダイヤード様、また口調が乱れていますよ」
見かねたマルガネットが口を挿んでくる。
「ごめんなさい。ただ、口調にまで気を配ってる余裕がないんだよ」
「ダメです。王子たるもの常に余裕のある口調を心がけてください。相手に付け込まれる隙をわざわざ教えてあげる必要はありません」
「はーい」
「ダード様、返事は「はい』じゃないとダメなんですよ!」
ダンバルトは頬を膨らませて注意をする。
「はい!」
「クスクス。ダードもマルガネットとダンバルトには勝てませんね」
「マルガネットもダンも間違ってませんから。自分が悪いのは分かっているので勝てませんよ。それに母上にも勝てる気がしません」
「母の愛に勝てる子はいないのですよ」
そう言うと、ダイヤードの胸にオリヴィアの手が添えられた。
「分かってて曲解してますよね」
「フフッ。では、魔力を流しますから集中してるのですよ」
オリヴィアの手から温かい塊が流し込まれる。
心臓の塊と一体となり体中に広がっていく。
しばらく、体の隅々まで行き渡っていた温かさが手のひらに集まっていく。
手のひらから魔石へと魔力が移っていくと共に魔石がだんだん温かくなる。
「どうですか? 魔力の流れは感じ取れますか?」
「はい。魔力は感知出来てると思います」
ダイヤードが答えると、オリヴィアはゆっくりと手を離す。
「では自分の魔力も感じられますね?」
「はい。心臓に温かくて大きな塊があります。魔力を感じ取れています」
「では、それを私がやったように操作してみましょう」
「……」
ダイヤードは目を閉じて集中する。
ダンの生唾を飲み込む音や衣擦れの音がはっきりと聞こえる。
ダイヤードは集中する。
先ほどまで聞こえていた音が遠く小さくなっていく。
「…… フッ。駄目みたいです」
短く息を吐くと、小さく首を振る。
「そうですか。魔力感知は出来ているのに不思議ですね」
「心臓に大きな魔力の塊があるのは分かるんですが、周囲が動いてて上手く動かせないんです」
「周囲が動いているということは無いので、感知が甘いのでしょう。マオラスも同様に言っていたのでしょう?」
「はい。マオラス先生にも繰り返すことで精度を高める必要があると言われました」
「ダード様。僕と一緒に頑張りましょう。絶対に出来るようになります。エイオー!」
ダンバルトの掛け声に合わせて、ダイヤードは弱々しく右手を挙げた。
レミ「……」
ダイ「レミさん…… そんな可哀そうな子を見る目はヤメて!」
レミ「あんなに魔法を使えることを楽しみにしてたのに…… (T_T)」
ダイ「ヤメて。泣くのはヤメて! なんか惨めになっちゃう」
レミ「大丈夫ですわ!」
ダイ「何が?」
レミ「ダード様は魔法が使えなくてもいい所がいっぱいありますわ」
ダイ「テンプレとして聞くけど、どんな所?」
レミ「ローマン道路やコークス、農業改革ですわ」
ダイ「それ、光輝の知識……」
レミ「(T_T)」




