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022 魔法①(ダイヤード5歳)

楽しんでいただけると幸いです。

 付属式まで一か月となり、ダイヤードの魔法の授業が本格的に始まった。


「ダイヤード殿下、初めまして。私は魔術局に勤めております、マオラス・タラットと申します。この度、ダイヤード殿下の魔法をお教えすることとなりました」


 マオラスは恭しく最敬礼をした。


「え~っと。魔法局の方が講師とお伺いしていたのですが、何か伝達ミスがあったのでしょうか?」


「は、はい。いいえ、間違っておりません。ただ、殿下をお教えするはずだった魔法局の者が体調不良となりまして……き、急遽私が担当することとなりました」


 マオラスはあからさまに動揺した。子供に気付かれるとは思っていなかったためだ。


「魔法局のお仕事を魔術局が変わることってよくあるのですか?」


「い、いいえ。はい。無いとは言えないでしょうか」


「逆はあるんでしょうか?」


「…… い、いいえ」


 いくら子供だからといっても、王族に嘘を付けないマオラスは控えめに回答した。


「なるほど。分かりました。それではよろしくお願いします」


「え? 私でよろしいのでしょうか? そ、それより臣下に丁寧な口調を使う必要はないのですが……」


「え? もちろんです。魔術局ということは、魔法に加えて魔術道具にも詳しいのでしょう? 僕は魔導具にも興味がありましたので、丁度いいです。後、口調は気にしないでください」


「は、はぁ。それより魔術具に……興味ですか? 殿下にそう言っていただけるのは魔術局に勤める私にとっては嬉しい事ですが、あまりお勧めはしません」


 マオラスは一瞬喜んだものの、すぐに苦虫を噛み潰した顔をした。

 ダイヤードは魔術局が近衛や軍、魔法局の装備を整備するための下請け業者のようなものだということを知っている。もちろんそのため、立場の低い扱いを受けていることも。


「そうですか? 魔術具って道具を強くするんですよね?」


「そうです。詳しく言うなら、装備品の性能を高めるのが魔術具です。剣なら魔物の強靭な皮を切り裂くことが出来ますし、防具ならある程度の打撃や斬撃に耐えることが出来ます。魔法杖なら威力が上がります」


「よく分かりませんが、とにかく凄いってことですね」


「魔術具は凄いかもしれませんが、魔術具師は貴族から見れば魔法を使いこなす魔力が少ない者がなる職業ですから。魔力の多い平民でもなれる職ですよ」


 ダイヤードはマオラスが言った「使いこなす」というワードが気になったが、子供らしく接しているため、そこを深掘りするつもりはなかった。


「そうなんですか。それなら、魔術具で道具に能力を付けれたらいいのに~」


「能力を付け加える、ですか…… 面白そうではありますね。いやはや、子供の考えることは突拍子もないと言いますか…… 全員そのような発想を持っているんですかね?」


 独り言のように(つぶや)くマオラスにダイヤードは小首をかしげて見せた。


レミ「以前にも魔術具の可能性について言及されてましたが、リード様の中で計画とかありますの?」

ダイ「いつものように「質問がありますの」とは言ってくれないの?」

レミ「いつも同じでは読むほうも飽きてしまいませんの?」

ダイ「そこは様式美だから大丈夫じゃない?」

レミ「では、質問がありますの」

ダイ「そうだね~。誰か詳しい人がやってくれるんじゃないかと思ってるよ」

レミ「人任せですのね」

ダイ「そりゃそうでしょ。技術のブレイクスルーなんて専門家じゃないと無理だよ」

レミ「何だか道路にしてもコークスや農業にしても面倒だから人任せにしてませんか?」

ダイ「まぁ~俺が一番やりたいことではないかな」

レミ「まぁ! それは何ですの?」

ダイ「やっぱり、魔法を思いっきり使うことだよ!」

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