021 王について(ダイヤード5歳)
遅れてしまい、申し訳ありません。
予約日時を間違えておりました。
「ドレスラン帝国は大陸の統一でも目指しているんですか?」
ダイヤードは思わず呆れた声が出る。
「今代で成し遂げようと思ってはいないと思いますが、大陸統一はドレスラン帝国の国是なのです。『魔物という脅威には人類一丸となって対処をするべきであり、その舵取りをするのはドレスランをおいて他になし』だそうよ」
「無駄なことしますね。…… それで、タターニア妃の子供を王にして、マクダーラン王国を併合もしくは…… 同盟という名の属国にするつもりなんですね」
「ダードは…… コーキの知識は無理だと判断しているのですね」
「色々と要因はありますが、魔物程度で人類一丸はありえません。人類はそこまで追い詰められていませんから」
ダードは冷めた目で言い切った。
「そうですね。話を戻しますが、この10年間タターニア妃の心は安定してないのですよ。陛下に嫁いだ私が憎い。直ぐに孕んだ私が憎い。私が産んだダードが憎い」
オリヴィアは続けて言う。
「孕む気配のない自分が悪い。兄の思惑を果たせない自分が悪い。ユークリッドを産むのに10年もかかった自分が悪い」
オリヴィアは言い切ると、静かにお茶を口にした。
「…… なるほど。タターニア妃は心が病気なんですね」
「心が病気ですか。言いえて妙ですね。
それもあって陛下はタターニア妃に相当な気を使っているのです。タターニア妃の機嫌を損ねるのはドレスラン帝国との関係が悪化する可能性がありますからね」
「タターニア妃のご機嫌を取りつつ、マクダーラン王国に愛着を持たせたいわけですね」
「その言い方は直截的で可愛くないですよ、ダード。ただ、概ねその認識で間違いありません」
オリヴィアは不満そうに言った。
「それでタターニア妃の意を汲んで、陛下は僕に近づこうとしないのですね」
「そのようです。ただ、陛下は愛情深い人ですから、貴方のことが可愛くないわけじゃないのです。良く言えば、慎重で優しい人。悪く言えば、優柔不断で妻を窘めることの出来ない人なのよ」
「心配しないで大丈夫ですよ、母上。僕は陛下に関して、あまり興味ありませんので。愛情や大事なことは全て過保護な母上から貰ってますから」
心配そうなオリヴィアにダイヤードは笑った。
「過保護と母親の愛情との違いが分からないとは、ダードの教育を見直さないといけませんね」
オリヴィアはダイヤードに近づくと、優しく抱きしめた。
レミ「質問がありますの」
ダイ「何でも聞いて」
レミ「王族はどこまで子育てに関わるのですか?」
ダイ「あぁ。前回のシーバッカル公爵家の話でもあったように父親は基本子育てには関与しないよ」
レミ「やはりそうなのですね。何か理由でもありますの?」
ダイ「街が今みたいに堅牢な塀が出来る前なんかは、子育てする暇があれ魔物を倒しに出掛ける。という考えの名残だね」
レミ「なので高位貴族の子育ては乳母任せなのですね」
ダイ「そうだね。だから、母親も本来は社交や派閥の強化で忙しいからね」
レミ「だからダード様は、オリヴィア妃を過保護というのですね」
ダイ「イエ。ハハウエハアイジョウブカイカタデス」




