020 シーバッカル公爵の狙い(ダイヤード5歳)
楽しんでいただけると幸いです。
お披露目会の翌日、ダイヤードは予想通りオリヴィアからお茶会のお誘いがあった。
「昨日はよく頑張りましたね」
「ありがとうございます。シーバッカル公爵への対応はやり過ぎではなかったですか?」
ダイヤードの感覚では追い詰め過ぎた気がしていた。
「いえ。何も気にする必要はありませんよ。公爵家にとって、何ら痛手はありませんもの」
「そうなんですか? ……いや、確かに。……でも」
ダイヤードは昨日の会話を思い出した。
「公爵はあれぐらいでは、プライドを傷つけられたとも思っていませんよ。今後動きにくくなったのが面倒だと感じているぐらいでしょう」
「でも昨日は肩を落としてましたよ?」
「子供相手なら簡単に事を進められると思っていたからその反動でしょう。それにあの場だけのポーズの可能性もありますからね」
「ポーズですか?」
「ええ、あの場では不利と分かったので、早々に退散するためのポーズですね。昨日はダードがどういった教育をされているのか反応を確かめただけでしょうが、次は反省を生かして手強くなってくると思いますよ」
「え~。面倒くさいな~」
ダイヤードはついつい本音を漏らしてしまった。
「こらっ。口調が汚いですよ。…… それに、公爵は情報を集めてから攻略していくタイプです。そういった意味では、昨日は公爵を勘違いさせることに成功したのは大きいですね」
「ということは、昨日は情報収集が目的だったということですね」
「今のところ公爵は私を要注意人物に定めたでしょうね。ダードのことは、よく分からないから会って確かめようと思ったのでしょう。結果、初対面でも物怖じしない年相応の子供って判断を下しのではないかしら。付け加えるなら王族として少し難があるが、これからの成長次第といったところでしょうね」
オリヴィアの予想はほぼ当たっていた。ダイヤードはオリヴィアが守っていたため、為人があまり伝わっていなかった。賢いという者もいれば、泥遊びが好きで王子としての品格はないという者、本を読むのが好きだという者、母親に甘えており侍女や従者と関わらないという者などがいて正確な人物像が掴むことが出来なかった。そこで、実際に会って確認をしたというのが真相だ。
「そうなんですね。公爵の狙いが何か分からなかったので、スッキリしました」
「昨日の一件で、シーバッカル公爵家はしばらく積極的に関わってこないでしょうから安心しなさい」
オリヴィアはそう言うと、意地悪く微笑んだ。
「はい。それで、一つ聞きたいことがあるのですが良いですか?」
「何でしょうか?」
「陛下…… 父上の立ち位置が良く分かりません。昨日の騒動を見ていたにもかかわらず、口出しをしませんでした。それに最後に僕を見ていた目が…… 何だか悲しそうでした」
「呼び方は陛下で良いですよ。父親らしいことは何もしてないのですから」
今まで意図的にアースウィッドの話題を避けてきたオリヴィアが口を開いた。
「陛下も政治的にも苦慮されているのは理解していますが、軟弱すぎてお話になりません。ダードはタターニア妃が長い間陛下と子が出来なかったのは知っていますね」
「はい。それで母上が側室として王家に嫁ぐことになったんですよね」
「その通りです。ドレスラン帝国から輿入れしてきたタターニア妃は10年間子を産むことが出来ませんでした。タターニア妃はその間、兄である今の皇帝に責められ続けたのです」
「タターニア妃は嫁いで来たのですから、子供が出来るかは我が国の問題ではないですか?」
「本来ならそうですね。ただ考慮しないといけないのは、ドレスラン帝国は大国で覇権主義を掲げていることです」
そう言うとオリヴィアは眉を顰める。
レミ「質問がありますわ」
ダイ「おっ! 恒例になってきたね。何だい?」
レミ「シーバッカル公爵家について詳しく知りたいですの」
ダイ「あぁ。公爵家については歴代宰相を輩出している家って分かればいいかなと思ってた」
レミ「それも初出ですわよ。そうではなくて、領地貴族であり、宮廷貴族でもある数少ない貴族とか」
ダイ「うん。うん」
レミ「両方のトップを兼ね備えているため、公爵家の権力集中を許してしまい、王家でも手の出しにくい家とか」
ダイ「そうだね」
レミ「領地のほうはキルリック公爵の弟が切り盛りしてるとか!」
ダイ「詳しく説明してくれてありがとう」
レミ「やられましたわ。私の世話焼きな所を利用されました!!」
ダイ「(せ、世話焼き?)」




