001 婚約破棄①(ダイヤード18歳)
楽しんでいただけると幸いです。
「ナディア王女よ。貴女は私の正妃に相応しくない。よって、私の隣にいるシンディアナ嬢を正妃とし正しくマクダーラン王国を導くことを約束する。
ただし、この婚約は国同士の取り決めとなるため、其方には私の側妃として我が国マクダーラン王国を支えて欲しい」
マクダーラン王国の学園に留学中の王女に対して、些か常識外れの宣言をしたのはマクダーラン王国の第一位継承権を持つユークリッド王子だ。
王子の周囲には、側近として宰相の次男、近衛騎士団長の長男がいたが、二人とも困惑を隠しきれていないようだ。そして、ユークリッドの傍らにはカールデット公爵令嬢のシンディアナ=カールデットが凛とした佇まいでいた。
「突然何をおっしゃるのかと思えば…… ユークリッド殿下のそのお言葉は、学園の卒業パーティーに相応しい言動とは思えませんわ。然るべき場所と人をそろえてからの話し合いになると思いますが?」
白を基調とした制服に身を包んだナディアは扇で口元を隠し、冷たい目でユークリッドを見つめ返した。
「フン。卒業パーティーだからこそ、私の言葉を皆に伝えたかったのだ」
ユークリッドは、大げさな身振りと共に会場の参加者を見渡した。
しかし、会場の大半の貴族子息令嬢や少数の平民学生を含め、皆困惑した表情をしている。
「なるほど、殿下独断による決意表明というわけですか。それとも周りの方々との共謀のうえですか? どちらにしても我がリューデック王国への侮辱ということは理解されていますか?」
ナディアの眼が蔑んだものへと変わっていった。
側近たちが苦渋を浮かべるにもかかわらず、何故かユークリッドは平然と答える。
「安心しろ。其方が側室になったとしてもリューデック王国への聖女や聖人の派遣は確約するぞ。それで其方も使命を果たせよう。其方の国が望むのは結界であろう?
それに最低限の交流しかしない女性より、私の心に寄り添ってくれる女性のほうが国母にもふさわしいと思わないか?」
ユークリッドはシンディアナの腰を優しく抱き寄せた。
ナディアは溜息をこぼしたい衝動をどうにか堪えることに成功した。
この世界に存在するモンスターが都市へ侵入するのを防ぐのが聖女や聖人による結界になる。
「確かに我が国では若い聖女や聖人は不足しておりますが、それこそ婚姻といった国同士の約束事を側近の方々との考えだけで変更するとは、並の考えではありませんわね。
また私は勉学のために留学したのであって、お茶会や夜会に参加するためではございませんし、国母に相応しくないと思われるのであれば、それこそお互いに陛下にお伺いを立てて国同士で話し合うのが筋ではないでしょうか?」
ナディアは側近たちが側にいる限り一纏めにする考えだ。逃がすつもりはないようだ。
「何を言う。其方の婚姻によってリューデック王国の結界の維持は保たれる。約定通りではないか。マクダーラン王国の正妃に相応しいかは我が国の…… そして私の問題だ。よって、私の判断で解決すべき事案なのだよ」
ナディアが反論のため口を開いた瞬間。
「それは些か屁理屈というものだよ。ユーグ」
ダイ「第一話が始まった」
レミ「ダード様。私気になりますの」
ダイ「なんだ? 俺の婚約者のレミール」
レミ「な、なんで説明的なんですの?」
ダイ「それは二話にならないと君が登場しないからだ」
レミ「マジですの?? 確かにオファーがありませんでしたわ!」
ダイ「納得してくれて何より。で、質問は何?」
レミ「(後で折檻ですわ)この世界って一夫多妻ですの?」
ダイ「(ビクッ!)その通り! 一夫一妻の考え方は、ほとんどがキリスト教の教えだからね」
レミ「なるほど。だから側室なんてイヤらしい制度があるんですのね」
ダイ「う~ん。キリスト教でも側室がない代わりに愛妾という制度があったんだ」
レミ「なんですの! ま、まさか! ダード様もハーレム志向だったり…… (ギロッ)」
ダイ「ば、バカだな。お、俺はレミ一筋だよ」
レミ「(やっぱり折檻ですわ!)」




