016交流会①(ダイヤード5歳)
楽しんでいただけると幸いです。
マクダーラン王国側がまず初めに自己紹介を行った。
「ようこそお越しくださいました。私はマクダーラン王国のダイヤード・コール・カットイングと申します。殿下方とお会いできて光栄です」
右手を背中に回し、微笑みながら会釈した。
基本的な礼儀として、同格の相手には会釈、位が上で敬礼となる。ただし、王族は例外として基本的には頭を下げる必要はない。ただ他国の王弟より格下の立場であるダイヤードは光輝の知識のせいで頭を下げることに抵抗はなかった。
「…… ? ユークリッド? ユークリッド!」
ボーっと王女を見つめているユークリッドにタターニアは声をかけた。
「はい? 何でしょうか?」
「ユークリッド。きちんとご挨拶をなさい」
ユークリッドは夢から覚めたように瞬きを繰り返した。
「は、はい。私はユークリッド・コール・カ、カットイングです。どうかユークと、呼んで欲しい」
ユークリッドは王女を見つめたまま言った。
子供とはいえ隣国の王弟に礼を示さないユークリッドに、オリヴィアとダイヤードは頭が痛くなる思いがした。普段なら幼児だからと許される範囲ではあるのだが、ダイヤードと比較するとはっきりと優劣が分かってしまう。それは、オリヴィアとダイヤードにとっては好ましい事ではなかった。
「あ、あら。ど、どうもユークリッドは王子の凛々しさと王女の可憐さに緊張しているようです」
タターニアは、慌てていきなり愛称を呼ぶよう求めたユークリッドのフォローをした。
「ハハッ。それは甥と姪にとっては光栄なことだ。私はリューデック王国のニーヤンネル・フル・ラガレットと申します。今日はこのような場を持っていただき、感謝いたします」
リューデック王国の王弟であるニーヤンネルは右手を背中に回し、会釈をした。
「ええ。僕は同じくカートニー・フル・ラガレットと申します。両王子にはこれを機会に仲を深めていきたいと思っております」
王子であるカートニーもニーヤネルを見習って、会釈をした。
「わ、私は…… お、同じくナディア・フル・ラガレットと、申します。よ、よろしくお願い、します」
ナディアは片言ながらマクダーラン王国の言葉で挨拶を交わし、綺麗なカーテシーを披露した。
「さあ。どうぞお座りください。せっかくの機会ですので、両国の未来の絆を深める場としましょう」
タターニアは優雅に席を進め、交流会が開始された。
最初は子供たちの趣味や日々の勉強などを大人たちが質問を行い、お互いの興味を引こうとした。ただ、あまり目立つつもりのないオリヴィアとダイヤードは無難な回答だけに留めておいた。
「わ、私はまだ王城から出たことはないのだが、ナ…… ナディア王女はここに来るまで困ったことはなかったか?」
ユークリッドはナディア王女を気に入ったのか、しきりに話し掛けている。
『大丈夫。叔父様もお兄様もいるので、ここに来るまでは楽しかったよ。マクダーラン王国に来るまで色々な場所にも行けたので良かったよー』
ナディアはニーヤンネルと話しているようで、口調はかなり崩れている。
「大丈夫だよ。家族が共にいるので、不便と感じることはなく楽しく旅行が出来たのだよ。それにリューデック王国の領都に視察も出来たので、視野を広げられる良い機会だったよ」
ニーヤンネルは四苦八苦しながら訳して伝える。
ダイヤードはどのように訳されるのかが楽しくなり、聞き手に回っていた。面白い意訳を聞くとニヤニヤが止まらなかった。
「リューデック王国の王都や領都はどんな所なんだ?」
『うーん。王都は出歩いたことがないので分かんないけど、領都は海の街に行ったよ。スッゴク変な臭いがしたんだ。えーと、潮の匂いって言うだっけ?』
小首をかしげるナディアは可愛らしく、これを【萌え】というのかとダイヤードは思った。
「海の匂いって、どんな匂いなんだ? いつかリューデック王国に行ったら教えて欲しい」
『いいよ。でも、食べ物は生の魚とかあってちょっと気持ち悪いよ』
ダイヤードは光輝の知識で生魚に興味があったため、ナディアの言葉に少し反応した。
レミ「私は人が恋に落ちる瞬間を目撃しましたわ」
ダイ「どこかで聞いたフレーズだね」
レミ「恋ですわ! キュンキュンですわ!」
ダイ「女の子って恋愛好きだよね」
レミ「嫌いな女子はいないですわ」




