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前を向くのはただの強がり

作者: 秋暁秋季

注意事項1

起承転結はありません。

短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。


注意事項2

主人公のメンタルが豆腐です。基本暗いです……。

「あの……。すみません」

「気にしないで。仕事のうちさ」

テーブルの向かいの席には白衣を着た彼がいた。ざんばら髪、瞳は切れ長。何処が冷ややかな風貌に反し、纏っている雰囲気は柔らかい。その反応を見て、私は縮こまる事しか出来ない。

幾ら『カウンセラー』という仕事でも、こんな情緒不安定な奴が来たら迷惑だろう。でも不安感は拭えなくて、どうしようもなくて、涙が溢れてくる。

「あらら」

「ぐっ……ひぃ……」

話さなくては。話さないと怒られる。『泣いてばかりじゃ分からないでしょ?』から始まり『じゃあ永遠に泣いてればいいじゃん』で終わる。……相手を不快にして終わる。だから、だから、話さなくては……。しかし彼は私の前にマグカップを差し出すと、隣に座った。

「無理して話さなくて良いからね。横隔膜が震えていると、言葉、話せないもんね。ゆっくりで大丈夫だから。待ってて、アロマ焚くからね」

それから彼は丸こいトルコ硝子の器に液体を数滴垂らす。ほんのりと漂う、荒ぶった気を落ち着ける甘い匂い。でもそれだけじゃ落ち着かず、ひゃっくりを繰り返して涙を流して震え続けた。

暫く彼は傍に寄り添ってくれた。日頃懐かぬ飼い猫が落ち込んだ時だけ擦り寄るように。その仄かな優しさが今は心地良かった。


「すみません……」

「気にしないで」

一通り泣きじゃくって、ホットミルクに口を付けた後、漸く話せる様になった。今なら言えるかも知れない。きちんと自分の言葉で、前に進める言葉を。

「私より修羅場な人間は沢山居ます。生まれた時から親に疎まれて、学校で虐められて、毎日毎日死にたいって思っている人だって居ます……。だから」

「でも弱音を吐いちゃいけない訳じゃないよ」

確信を付かれた気がした。無理して前を向いて、精神をすり減らす前に、図星を付かれた気がした。また……泣きたくなった。彼の優しさに触れて、また泣きそうになった。でも、その前に。今はこの好意に甘える事にしよう。

「……慣れないことやる事になって、人から責められる想像したんです。暫く落ち込んでいたら、死にたくなりました。で、思ったんです。もっと他に苦しんでいる人が居るって」

私より辛い人生を歩んでいる人だって五万といる。たかだか人から責められ、怒られる想像をしただけで、軽い鬱状態になる私がおかしいのだ。

……その人達が見たら『甘えるな』と言うだろう。だから予防線として、前を向こうとした。

「あのね、人によって限界値って違うんだよ。どんな過酷な環境でもめげない強い人もいる。『俺の方がずっと辛かった』と言って、懸命に生きる人もいる。けども君のように容易く弱ってしまう人も居るんだよ」

それから手短にあった毛布を背中側から包むと、軽く二回ほど背を叩いた。励ますような、慰める様な。何処と無く安心する触れ方だった。

「君が辛いなら、辛いんだよ。人と比べちゃ駄目。良く『そんなんじゃ生きてけない』って言う人が居るけれど、私から言わせたら『生きていけないから死んでしまう』んだよ。大丈夫。君は弱音を吐いてもここに居る。それはとても偉いこと」

後のことは良く覚えてない。でもまた気が触れたように泣いたのだと思う。初めて本音で話せた気がした。嘘偽りのない弱さを受け止めてくれた気がする。

主人公

強くなる事を強制させられた子。

親にも、友達にも、本当の自分を見せされない。

見せたら『そんなんじゃ生きていけない』と否定させられた。

強いようで、本音は物凄く脆い。


カウンセラー

梅香の君が人間になったらを想像しました。

絶対アロマは焚いてくれる。言うことを否定しない。神。


ここから下、何でも許せる方向け。

個人の意見飛び交います。


逃げ場塞げば強くなります。

強くなる事を自分で強制させてるので、強くはなります。

でもそれが当たり前になって欲しくは無いですし、人に強制するなんて以ての外です。

『まだやれるよね? 何でやらないの?』等々。

そうやって逃げ場無くしている方は、ある日突然命を絶ってしまうんですよ。


人によって、メンタルの限界値って違うと思うんですよ。

よく『そんなんじゃ生きていけない』なんて言いますけど、『生きていけないから死ぬ』んですよ。

だから泣いている人が居たら、励ますよりも寄り添ってあげたい今日この頃。ホットミルク入れて、アロマ焚いて、毛布を被せて。

一番慌てるお前が言うな、ですよね。

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