第六話 やばいよー。
前回までのあらすじ。
フェリ「やったー!主人公だー!!」
フェル「姉さまだけ。ズルい」
そのうち、フェルミナ視点もやります。
ね、寝られない。
いや、一瞬だけ、寝ようかと思ったんだけど。
明日に判決を言い渡すとか、言われて心中穏やかじゃない人なんていると思います?
しかも、それが実の母親を殺した人とか、戦争じゃないとありえない。
とは言っても、殺されはしないだろうと思っている。
なんでも、神殺しの力は魔王や勇者よりも強く、その力は神々すらも打ち砕くという。
だからって、私の身の安全が保障されたわけじゃないけど。
そんなこと思っていると、歌が聞こえてきた。
「~♪」
その歌声だけは鮮明に聞こえて、何故か、耳から離れない。
歌声というより、曲を口ずさんでいるようにも聞こえた。
私はその声につられて歩いて行った。
その声の主はすぐに見つかった。
サナだった。
私は気付かれないように屋根を上る。
「だれ?」
サナが言ったときに。思った。
ひっ!
怖え。
気付かれないように上ったけど、あっさり気付かれた。
これってあれなの?おこなの?
いや。それよりも私、なんでこの人に近づいた!?
すると、彼女が私よりも遠くに座りなおして、横をポンポンと叩く。
座れって言ってるのか?
私は仕方なく隣に座った。
き、気まずい。
何を話せばいいのか。わからない。
えーっと。えーっと。こういう時はどうすればいいんだっけ?
私がいろいろと考えているときに彼女が開口一番に。
「ごめんなさい」
と謝罪を口にした。
それは母親と兄を殺したことなのか、それともこの戦いに私を巻き込むための謝罪なのか。
どっちにしろ。私は首を横に振った。
「え?」
私は縋るような眼で彼女を見つめた。
そんなことを気にする必要はないと。
そもそも、私は母親と兄にそこまで愛着が湧いていたわけではない。兄は族長を継ぐとか思ってたし、母親は私が居ても居なくても、兄を可愛がっていたし。
そう思うと、私って、親不孝者だなー。とか思っていた。
「私を許してくれるの?」
その言葉に私は頷いた。
もともと、後悔もないもない。
あるとすれば、失った兄と母親を助けられなかった私自身の力のなさなのだ。
多分、この世界の人たちはきっと強くはない。私自身でさえも。
そんな中で私だけでも救われただけでも良かったのだ。
「ありがとう」
いいえ。どういたしまして。
遠くを見ると、そこには朝の陽ざしが差し込み始めていた。
これから、長い一日が始まるのだ。
しかし、そこに私の迷いはなかった。
ちょっと遅れたー。
すんません。