第三話 兄よ。何故、あなたは、死にたもう事なかれ。
前回までのあらすじ
エルフ「何?結界が揺らいだだと?」
魔王軍「何?結界が揺らいだだと?」
エ&魔「よし。ならば、戦争だ!!」
なんでやねん!
どうしてこうなった。
いや。理由はわかんだけどさあ。
わかりやすく、四行で表すと。
父「これから、私は魔王軍に対して打って出る」
母「じゃあ、私も行くわ」
父「いや。君はアーニャたちと一緒に逃げてくれ」
母「わかったわ。気を付けて」
以上。アーニャのわかりやすい。四コマならぬ、四行……いや。これ以上はやめておこう。うん。察してくれ。
父親は時間を稼ぐつもりのようだ。
そこまでしてヤバいのかな?いや、魔王っていうぐらいだから、ヤバいんだろうけどさ。
私の思う魔王というのは。
ラスボス。
うん。倒せば、世界が平和になるよー。こいつを倒せば、エンディングになるよー。的な?
あー。あかん。これはあかんタイプのやつや。
母親が私と兄を両方抱っこして抱えながら、歩いていく。
「ねえ。お母さん。これから、どうするの?」
「大丈夫よ。このまま突き進めば、いずれは王都に……!?」
喋りながら、歩いていたせいか。それとも、微力の魔力を察知されたせいか。その人物が現れた。
真っ白い少女といえばいいのか。
肌の色さえ、白い。来ている服も髪の毛もすべてが白い。唯一違うのは目の色だけだった。
彼女の眼は私と同じ。蒼い。
そして、見た第一印象は。怖い。圧倒的な恐怖感。見た目が白いっていうだけで、その裏側にはどす黒いオーラが隠されていた。
勝てない。この少女だけは絶対に勝てない。そんな絶望感が漂っていた。
「あなた達はここから逃げて」
そう母親が言い残して私を降ろすと、彼女に向かって突進していく。
しかし、白い少女は何事もなかったかのように涼しい顔をして、母親に対して蹴飛ばした。
ドゴンっ!
「お母さん!」
そう叫ぶと兄も私を置いて彼女に向かって突進していく。しかし、果敢に攻めるもあっけなく、それをいなされ、逆に叩きつけられた。
兄の口から大量の血が流れて、それが白い少女の顔にかかる。
私は何もしてない。いや。出来なかった。
白い少女が兄の掛かっていた血を舐めながら、私に向き直る。
勝てない。
怖い。
いや。
私は拒絶した。
この世界を。
目の前の白い少女を。
勝てないとは思っても。
私は拒絶した。
白い少女が一歩一歩近づくにつれて、それが大きくなった。
いやだ。
死にたくない。
すると、次の瞬間。
「……っ!?」
私の周りで急な稲光が発光した。
それによって、白い少女が後ろに下がった。
私はというと。何故、彼女が後ろに下がったのか分からないまま。意を失いそうになった。
「サナ様……!大丈夫ですか?お、お怪我を!?」
えっと。もしかして、私が白い少女サナに攻撃をして、怪我を負ったと。ざとしたら、ざまあみろだ。
「大丈夫。それよりも魔王は?」
は?
「はっ!魔王軍はエルフの里を掌握。族長を討ち取ったということです」
目の前の少女は魔王じゃない?しかも、魔王のことを呼び捨てにしてるし。
「そう。なら、魔王に通達。見つけた……と」
「はっ!してその少女は?」
私に触れて持ち上げる。私は動けなかった。
私の意識はそこでぷつんと途絶えた。