No.35 [最後の足掻き]
………その日、空はやけに雲っている。
しずく町から向こうには、[セヒィー]を含め大人数の兵らしき人が見える。
『しずく町、及びその周辺の町に告ぐ!天界法第三条の違法により、只今から町の抹消を始める!』
兵がこちらにやって来る。
「………一同、作戦開始。」
しずくが呟くと、皆が剣を持って対抗し始める。
『最後の足掻きか、小癪な……!』
[セヒィー]がそう言った途端、急に目の前が煙幕で見えなくなる。
『……………!?何だ、この煙幕!』
あちらこちらで、兵の断末魔が聞こえる。
『お前ら!こんな煙幕でなぜ………っ!?………手足が動かない………!?』
『やはり、わたくし達………こう言う奇策には弱いのね。』
『その声、ルシアル………!』
その時、[セヒィー]の腹に激痛が走る。
『グッ………』
『皆の衆!煙幕を払え!』
[ゼロ]が言うと、煙幕が消えていく。
そこには、天界側の兵が全員倒れている。
[セヒィー]にも、手足を縛られ腹に傷を負っていた。
『…………ルシアル、これはどういう事だ。』
『見ての通り、[自分の世界]を守っただけよ。』
『そんな事して、天界様が怒るだろ………。』
『………それはどうかな。』
天から魔法陣が現れたと思うと、そこから光が差し込んで人の貌になる。
『天界様………!』
「あの方が、天界様なんだ。」
しずくは呟く。
『天界からぜーんぶ見とったが、そこまでの抵抗をされたら……もう言う事は無い。一部制約付きで、そのままの世界を維持してもよろしい!』
「えっ………?本当に?」
『天界様!法を犯している輩達ですぞ!罰しなければ!』
[セヒィー]が声を荒立てる。
天界様は、[セヒィー]を見る。
『この状況で、ルシアル達に向かえられるのか?………それに朕が決めた事だ。その言い種こそ、反していると思うぞ。』
それを聞いた[セヒィー]は苦虫を噛み潰した顔をした。
「あの、一部制約付きってなんでしょう!」
しずくは天界様に聞いた。
『世界線は今のままだが………ルシアル、付き人のヤンバ・ゼロの力を無効化で話は進める。そなた、しずくと申したな。』
「は、はい!」
『………ルシアルはもう天界人では無くなるが、彼女をよろしく頼むぞ。』
「はい!」
▪▪▪
『しずくさん。』
「どうしました?」
『ありがとう。』
「えっ?」
『貴女のおかげで、また皆で暮らせますわ。』
「とんでもない………!」
『これからは、ルシアルとして………よろしくね。』
▪▪▪
『ほう、あのセヒィーがねぇ………。我輩の出番だろうか………。ヒヒヒ。』




