No.31 [世界の再構築:さくら町編]
その日、『さくら町』という名が復活した。
どうやら、この町は過去最大の町並みらしい。
その町の島にたどり着いて驚いた。
「凄い立派な門構えね!」
しずくは思わず声に出す。
「お待ちしておりました。わたくしはこの町の代理人、網坂里織と申します。」
「………あれ?日本の名前?そう言えば、町の名前も日本の………。」
しずくは疑問に思う。
自分の町、その他の町での日本名はしずくしか居ない筈だ。
「疑問に思うのは、仕方がありませんね。……うちの創造主さまは、日本文化をモチーフに世界を作りあげましたから。」
「へぇ………。」
「では、中へどうぞ。」
▪▪▪
中へ入ると、まるで日本に居るような雰囲気の町並みだ。
日本家屋が建ち並ぶ。
奥には、山々が連なっている。
「………本当、日本の古きよき世界って感じね。」
「ちなみに、わたくし達の武器は『剣』では無く、『刀』を採用しております。」
「『刀』……?しずく殿、剣と刀の違いはなんでしょう。」
アールガイはしずくに聞く。
「ううん、分からないわ。」
「分かりやすく説明致しますと……『剣』は両刃で斬るもの、『刀』は片刃で斬るものの違いです。」
「刃先の違い、か…なるほど。」
「でも、こんなに立派な町並みなのにどうして試験に合格しなかったのかな。」
「…………実は、試験には合格していたのですよ。」
その言葉を聞いて驚いた。
「えっ………じゃあ、なぜ?」
「創造主さまが、[ゼロ]さまの事を拒絶しまして。『そんな事になるのなら、この世界を手放す次第だ!』と言って、抹消する決断をしたのです。」
里織は涙ぐむ。
「魔物を退治して、仲間の絆を確かめた上で………再出発しようとしていたのに………うう、すいません。」
しずくは里織の背中を擦る。
「………辛かったよね。その決断は。」
里織は頷く。
「でも、こうしてまた生活出来るのは嬉しい事です。創造主さまは居ませんが………その代わり、わたくし達の事をよろしくお願いします、しずくさん。」
しずくは頷いた。
▪▪▪
『さくら町』には改善点が無いとして、住人に挨拶した後にそのまま二人は帰ることになった。
「………。」
「しずく殿、どうしたのだね?」
帰り際、アールガイが気にかける。
「ああ、あのね。………あの町の創造主が手放す気持ちも、ちょっとは分かる気がして。」
「と、言いますと。」
「自分達が造り上げた町を、誰かに引き渡す………。突然、そんな事言われたら堪ったものではないと思ってね。里織さんも、初め聞いたとき……ショックだったんだろうな。」
アールガイは頷く。
「でも、里織殿を含めたさくら町の住人の皆は………本当に嬉しそうな顔をしていましたな。」
「ええ。………そう言う人たちの分まで、私達は頑張らなきゃ。」




