No.29 [鍛冶者の挑戦]
しずく町の鍛冶室では、新たな挑戦が行われようとしている。
それは、『人それぞれの特性を活かした剣を作る』事。
握った時の握力加減、持ち方の癖、振り方、それに似合う切れ味。
それを調べて、『その人だけ』の剣を作ろうと考えた。
「ミシャル、その計画やれそうか?」
ワイダが聞く。
「やってみないと分かりませんが……石の特性を最大限に生かせた剣以外にも、作ってみたいのです。」
ワイダは、ミシャルをじっと見て、頷いた。
「………その眼、真剣だな。分かった、やってみよう!」
「はい!」
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手始めに、しずくとアールガイの剣を作ることにした。
鍛冶室に呼び出して、その計画を話した。
「私だけの剣、か………。」
「ワイダ殿、ミシャル殿なら作れそうですな。」
「そうだね。作って貰いましょうか。」
「では、調べさせてください。」
二人は頷いた。
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癖や握力など、事細かく調べあげる。
「これ、一人一人にやるの……中々大変ね。」
調べている最中、しずくが呟く。
「姐さん、アール兄さん以外は………希望者を募らせます。」
しずくは頷く。
「しかしまあ、今現在の剣でも十分とは思いますがな。」
アールガイが言う。
「それはそう、ですが………。実は、上手く扱えないって話をたまに聞くのです。」
「おや、それは初耳だな。」
ワイダが言う。
「同じ剣でも扱い方が違えば、性能に大きく違いが出ます。……だから、人に合わせた剣を作りたいと思ったのです。」
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調べあげたところで、それに似合った石を調合して剣を作る。
「………案外、直ぐに調合出来るのだな。」
アールガイが感心する。
「本当ね。」
その日のうちに、二人分の剣が出来た。
「これが、姐さん用。こっちがアール兄さん用です。」
二人はそれぞれの剣を持った。
「凄い!この剣、持ちやすい………!」
「ほぉ。これは振りやすいな。」
剣を交換してみると…
「これ、ちょっと重い。持ちにくいし、振りにくい。」
「確かに持ちにくいな。剣としては軽すぎる気がするが。」
反応を見たミシャルは笑顔を見せた。
「………成功だな、ミシャル。」
ワイダが言う。
「はい。……これで、皆にもそれぞれの剣を作れます!」




