No.15 [コトと牧場]
牧場で過ごすコトの朝は早い。
「キーちゃんに、ミャンちゃん…おはよう。」
キーちゃん、ミャンちゃんは、乳牛の名前だ。
朝イチの仕事は、この二匹の乳牛から新鮮な牛乳を頂く。
最初は中々絞り出せなくて、苦労した。
今でも少しぎこちないが、出せるようにはなった。
ミルクタンク1つ分を出したところで、二匹の部屋を掃除する。
「……………これで、よし。今日もありがとうね。二匹とも。」
タンクを、隣の建物に持っていき牛乳の入れ物に入れ直す。
「コトちゃん、おはよう。」
「ボーレお兄さん!おはよう!」
彼は牧場で一緒に働く、ボーレという青年だ。
実の兄妹では無いが、それに等しい程仲がいい。
「いつもありがとうね。後は僕がやるから。………学校に遅れるよ。」
「いっけない!もうこんな時間!」
コトは自分の部屋に戻る。
急いで着替え、鞄を持つ。
「コト、弁当忘れんでないぞ。」
住居の奥地から声が聞こえる。
声の主は、この牧場主であるラウェイ爺さんだ。
「ラウェイお爺さん、分かっているよ!」
食卓の上にある、風呂敷を手にした。
「いってきます。」
▪▪▪
コトは、『しずく町』の小学校に通っている。
牧場に住む前は、お母さんがやっている食堂でお手伝いをしながら過ごしていた。
ある日、お母さんが
「コト。いい話があるわよ。」
と言ってきた。
「お母さん、どういう事?」
「しずくさんがね、町の近くに牧場を造るって話をしてたの。その牧場って所は動物を育てて、お肉、卵、牛乳を作る場所なのよ。」
「へぇ。」
「ほら、しずくさんが動物を増やすって言ったとき…コト、言っていたわよね?『動物を育ててみたい』って。」
「うん。………もしかして?」
「そう、そこで動物を育ててみない?」
「いいの!?」
お母さんは頷いた。
「後ね、コト。もう1つ、行かせる理由があるわ。」
「理由?」
「それはね、『食の有り難さ』を学ぶためよ。」
「食の………有り難さ………?」
「今は分からないかもしれないけど、何れは分かることよ。さあ、今ならまだ…しずくさん、牧場に居るかもしれないわ。頼みに行ってきなさい。」
「分かった。」
そして、しずくに頼み……今の生活がある。
▪▪▪
「たっだいまー!」
学校が終わると、真っ先に豚小屋の方へ向かう。
「みんな、掃除の時間!お外に出てね!……うん、いい子いい子。」
部屋の中を掃除する。
綺麗にした所で、ご飯を置き、豚達を部屋に戻していく。
「次は鶏さん…」
「コト、勉強は?」
ボーレが話しかける。
「教室で終わらせてきた!問題、簡単だし…早く終わらせて、みんなのお世話したいもん!」
ボーレは静かに頷いた。
「じゃあ次は鶏小屋の掃除とご飯をお願い出来るかな。」
「分かった!」
こうして、コトの牧場生活が行われている。




