自転車に乗って
自転車に乗ってあても無く出かけよう。
今日はどこへ行こうかな。
学生時代、片道一時間の自転車通学をしていた私。
雨の日も、風の日も、毎日自転車に乗って。
自転車が、うれしくてうれしくて、たまらなかった。
自分の自転車が、うれしくてうれしくてたまらなかった。
自分専用の自転車を買ってもらえたことがうれしくてたまらなかった。
中学校まで、家族共有の自転車に乗っていた。
体の小さい家族も乗るので、自転車のサイズも小さくて。
体の大きな私は、22インチの自転車に、乗らざるを得なかった。
初めて乗った、26インチの自転車は、それはそれは乗り心地が良くて。
毎日二時間乗ってるだけじゃ足りなくて、土曜も日曜も、乗り回していた。
高校を卒業しても、自転車が大好きで。
就職しても自転車が大好きで。
今でも、自転車が好き。
晴れた日には、自転車に乗って。
風を感じながら、気の向くままに。
今乗ってる自転車は、三代目。
一番長く乗っていたのは、初めて自分のものになった自転車だった。
十年間乗ってたんだ。
余りにも長く乗り続けてて、お別れの時がすごく悲しくて。
二代目の自転車は、三年乗ったある日、車に轢かれてぺちゃんこになっちゃって。
あれは本当にかわいそうだった。
三代目は何年乗ることができるかな?
自転車に乗って、当てもなく出かけた私。
今日は何を発見できるかな。
今日はどれだけ走れるかな。
乗るとわくわくするのは、今でも変わらない。
…乗ってしばらくすると疲労感を感じるようになったことは否めないけれども。
うぐぐ、これが年を取るということなのか。
いやいや、坂道は自転車から降りて、引いて歩けばよろしいがな!
疲れたら、自転車から降りて、引いて歩けばよろしいがな!
自転車はまだまだ私と共にある!
目の前に、なだらかな下り坂が現れた。
こがなくてもすべるように前に進んでいく自転車。
すばらしい。
風を切って、どこまでも進んでいく!
大喜びで坂を下りきった私は、帰り道のことなんか、考えちゃいない。
帰り道、20分かけて坂を上り続けないといけないなんて事には、微塵も気が付いていない。
気付いてないけど。
疲れちゃうけど。
それでもやっぱり。
私は、自転車が、大好き!