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実家の別荘地に移動



 ライシング家の別荘地を離れて1日と半日で僕を乗せた馬車はハーストン家の別荘の街“アセンタム”に到着した。この町はフルクトゥスとは真逆で山と森林に囲まれた街であり、あちらとは違う景色の綺麗さがあり個人的には行き慣れていることもあり、この街も気に入っている。


「ーーレイちゃ~~~ん!!」


「……この声は」


 と呼ばれた方を向くと、そこには大きな旗をこちらに向けて振っているハーストン家当主アーク・ハーストン要するに僕の父さんがいた。


「ここ最近で一番の笑顔ですな、旦那様は」


「えぇ……ラウラいるじゃんか……」


「何を仰いますか。旦那様はレイ様、ラウラ様お二方とも大事にしておられます。いくら信頼しているご学友のお宅に泊まると言っても心配で仕方なかったのでしょう」


「そういうもんかなぁ……」


 僕が転生した頃は僕達に全くと言って興味がなかったのに、気が付いたら僕やラウラを溺愛するようになっていた。僕個人としては血のつながっていないラウラにも同じぐらいの愛情を注いでくれる父さんに感謝しているがこのままだと子離れ出来るか子供ながら心配なのである。


「レイちゃ~~ん!! おかえり~~~!!」


「……ごめん、身内として少し恥ずかしいんだけど」


 僕達がいる場所は屋敷から結構遠い場所だ。なのでこの距離で聞こえるということは街中に僕に向かって叫ぶ声が響き渡っている。街の人達は僕の事を良く知っているので“あぁまたやっているのか”ぐらいで済むのだろうけど僕はとても恥ずかしい。そう思っているとオピニルさんは笑いながら、こう言った。


「大丈夫ですぞ、もう少しすれば奥様の鉄拳が旦那様を直撃するでしょう」


 とオピニルさんが言った瞬間、父さんの後ろから母さんが出てきて、いつものように笑顔で一撃で父さんをダウンさせて引きずって屋敷に戻っていった。


「帰ってきたんだなぁいつもの日常に……ってか戻ると感じる基準どうなってんだ僕?」


 母さんが父さんを引きずっている姿を見て、いつもの日常に戻ってきたと感じる僕は少しおかしいのだろうか? と思ってしまうのであった。


「ただいま」


「おかえり、レイ」


「お兄様おかえりなさい」


 僕達が屋敷に着くと母さんとラウラが出てきた。この場に父さんがいないのはまだ目を覚ましてないからだろうと僕は思っていたのだが……


「ーーおかえり~~レイちゃん~~!!」


 僕の声が聞こえたのだろうか、父さんが走ってこちらに出てきた。


「あらアナタ、目を覚ましたのね」


「あぁレイちゃんの声が聞こえたからには目を覚まさない訳にはいかないだろ?」


 と自慢げに言う父さん。こんな事をしているがこの国の頭脳とまで言われている人物である。職場の人がこの姿を見たらどう思うのだろうか? なんて思っていると母さんは呆れたようにため息をついた。


「はぁ……アナタは少し子離れをしてください。

ーーそしてレイ、あちらでの生活はどうでしたか? ライシング家の方々に迷惑かけてないですか?」


「あの……母さん、僕が他の人に迷惑をかける前提は止めて欲しいんだけど……」


「あら、“学園始まって以来の問題児”と呼ばれている貴方が何を言うのかしら?」


 自ら問題を起こしてことは殆ど無いのだが、完全に定着してしまったあだ名はいつ消えるのだろうか。流石に僕だって生徒会長になったのだから生徒の模範になれるように頑張っている。


「確かに学園ではそう言われているけどさ、僕個人は自ら問題を起こしてないんだけど……

ーーねぇラウラもそう思うでしょ?」


「私はお母様と同じ意見ですが?」


「ですよね……というか問題起こしてないよ……」


 基本的にラウラも母さんの味方なので話を振った事が間違いだったかもしれない。


「なら宜しいです。

ーーまぁ長旅は疲れたでしょう、部屋に荷物を置いてきて少し休んだら?」


「うん、そうするよ」


「お兄様、荷物持ちましょうか?」


「いや大丈夫だよ、それに荷物結構重たいしラウラだと持っていくのに時間かかりそうだし」


 さっきの仕返しとばかりにラウラに対して言うと、彼女は顔を真っ赤にして返答してきた。


「私を何だと思っているんですか!! 荷物ぐらい私だって持てますよ!!

ーー見ていてくださいね……!!」


 と言うとラウラは僕の荷物に手をかけて、持とうとしたが……


「ふぬぬぬ……ぐにゅ……!!」


 顔を真っ赤にして持ち上げようとしているが中々上がらない。


「いやラウラ無理しないでいいからね?」


「べ、別に無理してないです……!! 私だって持てます!!」


「持ててないと思うんだが。

ーーふぅ、ほいっと」


 僕はラウラが持とうとしている荷物に手をかけ、持ち上げた。


「あっ……」


「僕が詰め込んだ荷物だから少しラウラには重かったかな?

ーーまぁ中に重しが入っているから結構重いんだけどね~」


 実は荷物の中にわざと重しを入れていた。なので普通の荷物よりも大分重い。非力なラウラに持てる重さではない。分かった上でわざとやらせてみたのである。


「何で重しを入れているんですか!!」


「鍛錬のためさ。さて部屋に戻ろ~」


「お兄様……まさか知っていてわざとやらせましたね……!!」


「まぁね」


「夏休みの宿題手伝ってあげませんからね……!! 今年はいくら頼まれても絶対手伝ってあげませんから!!」


「それは大丈夫、もう終わったから」


「へっ?」


「いやもう夏休みの宿題終わったよ?」


「ま、またまたお兄様は御冗談を」


「今年はフローレンスに手伝ってもらって終わったんだ。ほら、これ」


 と僕は鞄から夏休みの宿題の冊子を出してラウラの目の前に出すと、勢いよく僕から取った。そしてページを結構なスピードでめくって確認している。


「そ、そんな本当に終わってるなんて……!! あのお兄様が夏休みの宿題を夏休みの初期で終わらせているなんて……!!」


「“あのお兄様が”って言うけど僕なんやかんやで夏休みの中盤には宿題終わらせていたんだよね……」


「だ、だってフローレンスさんの家にお泊りだったら絶対宿題やらないと思うじゃないですか!!」


「いやその逆でフローレンスがいたから宿題終わらせようと思ったんだ。だって教えるの上手いし」


 そうなのである。付き合い初めてからフローレンスはズボラやわがままな面ばかりみている気がするけど元の性格は真面目であり、優秀なので人に教えるのが上手い。なので今回彼女の家に泊まると分かった時から宿題はその期間で終わらせようと思ったのだ。……まぁ勉強するっていってもイチャイチャもしていたが。


「いやぁ~これからの休みはとことん好きな事が出来るんだよね。小説読んだり、体術鍛えたり、お菓子作ったり……何をしようかなぁ」


 なんて話していると目の前のラウラから返答がない事に気づき、彼女の方に目を向けてみると身体をプルプル振るわせていた。


「……ぁ」


「あれ、ラウラ?」


「……かぁ」


「ん?」


「お兄ちゃんの馬鹿ぁぁぁぁーー!! もう知らないですーー!! お兄ちゃんなんてフローレンスさんとずっと幸せに過ごしているといいですーー!!!!」


 と叫ぶとラウラは屋敷の中に走り去っていった。てか最後の言葉は何なんだ? 祝っているのか煽っているのかよく分からない。


「どうしたんだろラウラ?」


 何故ラウラが走り去っていたのか分からず、僕がポカンとしていると両親は珍しく2人そろってやれやれとした表情を浮かべていた。2人がこの表情をしているときは大体僕が何かをやらかした時なのだが毎回僕が何をしたのか教えてくれない。


「あぁ……やっちゃったねレイちゃん」


「あの子はレイと宿題をするのを楽しみにしてましたからね」


「僕と宿題するのが楽しみ……? やっぱりラウラって僕を怒るのが好きなのかな?」


「「はぁ……」」


 今度はかなり深いため息を2人につかれた。


「あ、あれ違うの?」


「レイ……今すぐ荷物を置いたら台所でラウラの好きなクッキーを作りなさい。

ーーこれは母からの命令です、分かりましたか?」


「あ、あぁ分かった……」


 母さんからいつも以上に真剣な表情をされたので僕は頷くしかなかった。



 この後、僕は母さんに言われた通り荷物を置いてすぐ台所に向かった。そしてそのままクッキーを作った。そして作り終えるとラウラの部屋に行き、10分ほど部屋の扉で話して、クッキーを渡して何とかご機嫌を直してもらったのである。

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