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彼女の印象

久しぶりの更新となります

「レイ~!!」


名前が呼ばれたので本から目を動かし向くと、フローレンスが小走りでこちらに向かってきていた。

今日は久しぶりに彼女の提案でお忍びデートをする予定である。


「あっ、フローレンスおはよう」


手に持っていた本を鞄の中にしまい、フローレンスの方に向き直る。


「すみません、待ちましたか?」


「いや全然待ってないよ、というよりも丁度の時間だから大丈夫だよ。

でも珍しいね、フローレンスが時間ぴったりに来るなんて」


時計を見ると待ち合わせ時間ぴったりであり、いつもなら時間に正確な彼女がギリギリというのは珍しい。フローレンスが大体10分前に来て、僕が少し遅れて到着してという流れだった。


「ごめんなさい、少し身だしなみに気を付けていたら……少し時間を超えてしまいました」


と申し訳なさそうに言うフローレンス。


「なるほどね……でも帽子のすき間から寝癖少し見えているよ?」


僕がそう言うとフローレンスは慌てた様子で自分の髪を触り始めた。


「えっ!? そ、そんな出る前にしっかり確認したのに」


と慌てながら触っているがその寝癖は全く直っていない。いつもなら僕が彼女に“ネクタイ曲がってますよ”なんて言われるが今日はどうやら逆の様である。


「フローレンス、直ってないよ。

ーーほら、ちょっと落ち着いて」


「あっ……」


僕は彼女の寝癖の箇所を触り、指でとかして目立たないようにした。


「よし、これでいいかな」


「あ、ありがとうございます……」


と少し顔を赤くして照れているフローレンス。

個人的に彼女が照れているのが珍しく、思わずスマホがその場で撮りたいと思ってしまう。


「多分だけどさ、身だしなみでも時間がかかったと思うんだけどそれ以外にも原因あったんだよね?」


「はい、実は寝坊しちゃいました……」


「寝坊!? あのフローレンスが!?」


フローレンスから聞いた事がない単語が出てきたので驚く僕。


「ち、ちょっと声が大きいですよ!! というか貴方は私を何だと思っているんですか……?」


「フローレンスをね……」


とその様に言われて彼女に対して僕が思っている事を頭の中でリストアップして言うことにしてみた。


「魔力も高くて、文武両道で美人……」


「うんうん、流石レイーー」


「に見せかけて私生活はかなりズボラだし、いつもの生徒会長はどこにいったんだろうかと思うぐらいの酷い……」


「ーー私の印象ってそんな感じだったんですか!?」


と最初はうんうんと頷いていたフローレンスだったが途中から僕が彼女の裏の面を話し始めると途端に僕に詰め寄ってきた。


「いやよく他の人にバレないよね? 本当に不思議だなぁ……」


フローレンスの裏の顔を知っているのは僕とフローレンスの家族、そして彼女の家で働いている使用人の中でもほんのわずかである。実はライシング家の一番の秘密はフローレンスの裏の顔という悲しい真実。


「いいじゃないですか……レイにしかそんなところ見せてないんだからいいじゃないですか……他の人には見せない様に頑張っているんですから……」


「その努力を隠す方じゃなくて改善する方に回したらいいと彼氏の僕は思います」


僕個人、彼女の努力は凄いと思う。

だって僕や彼女の家族以外は知らないのだから。

だが個人的には改善する方に回した方が楽だと思ってしまうのは気のせいか。


なんて僕が言うと、彼女はそっぽを向きながら口を開いた。


「が、頑張ります……明日から……多分」


「……」


知ってる。絶対直さないやつだ。

僕の勘が告げている、絶対改善しないやつだと。


「じゃなくて!! デートしますよ、ほら!!」


と拗ねているのかぶっきらぼうに僕の方に手を出すフローレンス。

少しやりすぎたかなと反省しながら僕は彼女の手を握った。


「ごめん、ごめん。つい調子乗っちゃったよ許して」


「意地悪なレイは嫌いです、彼女悲しいです」


「ほらそんな拗ねた顔しているとせっかくのデートが楽しめないよ?」


「誰のせいだと思っているんですか貴方は……!!」


と怒っているフローレンス。

流石にこれ以上ふざけて彼女を怒らせるとデートどころじゃないので彼女の機嫌を取ろうと思う。


「でも他のみんなが知らないフローレンスを知れるって僕優越感あるなぁ……」


「はい?」


「だってそれだけ僕はフローレンスから信頼されているってことでしょ?」


「え、えぇそれは勿論、レイの事は私信頼してますから」


と少し自慢げに言うフローレンス。


「うん、だから僕は嬉しいんだ。フローレンスが僕の事を頼ってくれてさ」


「ですよね、私の貴重な面を知れて嬉しいですよね?」


全力で嬉しいとは言えないのだが、ここは我慢して続ける。


「嬉しいよ、これに関しては彼氏の特権だと思うね。

本当フローレンスが彼女で良かったなぁ」


「そうですか……フフ、そうですか……」


と満足げに笑うフローレンス。

どうやら彼女の機嫌を回復することに成功したみたいだ。



「さぁ行きますよデート」


「うん、行こうか

でも何でまた今日もお忍びデートなの?」


今日は彼女の要望でお忍びデートである。

なので今日の僕の服装も出来るだけ庶民が着ていそうな服装であり、フローレンスも年頃の庶民の女子が着ている服を着ている。

……そしてフローレンスは相変わらず庶民じゃないオーラが出ているのだが僕は何故か庶民に見事に溶け込めている。悲しみ。


「実は前にやったのが楽しくて、またいつかやりたいと思っていたので今日思い切ってやりました」


「なるほど……?」


個人的に何が良かったのか分からないが何かが彼女の心を魅力にさせたのだろう。であれば彼氏の僕は文句は言わずに付き合うことにしよう。

……まぁ少しどころか結構疑問なのだが。


「さっ、行きますよレイ」


でもそんな疑問もフローレンスの嬉しそうな顔を見たらどこかに吹き飛んでしまう。


「はいはい」

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― 新着の感想 ―
[一言] 久しぶりでもやっぱり可愛い。
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