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生徒会長就任

お忍びデートからしばらくして僕はフローレンスの跡を継いで高等部の生徒会長になった。


僕個人対抗馬が出てくるかなって思っていたのだが結局最後まで対抗馬は出て来なくて僕の杞憂だったようである。どうやら僕がアクセル・フォン達から学園を守ったのが結構響いたようだ。


「ふぅ……終わった……緊張した……」


そして生徒集会で全生徒に対して就任のあいさつと役員の紹介を終えて今しがた生徒会室に戻ってきたのである。


「お疲れ様です。全生徒を前にして就任のあいさつよく頑張りましたね」


「よく“最初が肝心”って言うから昨日夜遅くまで原稿の最終確認及び練習やっていたから成功してよかったよ」


勿論“最初が肝心”というのもあったが僕が頑張ったのはフローレンス達に助けてもらったというのもあった。就任のあいさつはフローレンス達にも一緒に考えてもらいながらその上練習にも付き合ってもらったんだから失敗するわけにはいかなかったのである。


「レイ遅れてしまいましたが、生徒会長就任おめでとう」


「お兄様おめでとうございます」


「私は親友として誇らしいぞ!!」


「後輩クンがここまでになるとは……先輩嬉しいわ」


「みんな、ありがとう」


生徒会の面々から就任を祝われる僕。


「まさか僕が会長になるなんてなぁ……信じられない」


転生した頃はまさか僕が生徒会長になるなんて考えれなかった。しかも今ではフローレンスと言う可愛い彼女も出来て良い事が起きすぎて何か人生の運を全部使いきったのではと思ってしまう。


「レイが今まで頑張ってきた結果ですよ」


「僕、帰り刺されないかな……帰り道気を付けないと」


「貴方は何を言っているんですか……何か悪い事したんですか?」


「いやした記憶ないけど……僕が知らないところで……気を付けないと」


「お兄様……会長なんですからしっかりしてください。

ーーそれにお兄様のフォローをするために私達がいるんですから」


「ありがとう……ラウラ……妹が副会長で助かるよ……」


「ち、ちょっとお兄様何でそんな泣きそうな顔してるんですか!?」


「僕……ラウラの兄で良かった……!!」


「も、もうしょうがないお兄様ですね……全くもぅ」


「ーーなんて言いながら兄から頼りにされて嬉しいラウラなのであった」


「ち、ちょっと勝手に思ってない事を言わないでくださいよチャス様は!!」


ちなみに新生徒会の役員の割り振りは


生徒会長……僕


副会長……ラウラとアル


会計……ミラ


主務……チャス


なお書記と会計補佐と副務は僕が現高等部1年生の3人をスカウトして、了承を得て就任してもらった。

付き合いが長いメンバーがいる反面、僕達の次の世代も育てないといけないのでチャスやアル、ラウラに1年生の中で能力が高そうな生徒を探してもらい、生徒会で声をかけるメンバーを決めた。


(まぁ不思議な事に断られる事なくて全員了承してもらえらんだよね……ほんと不思議)


「それにしても遂に私も長年の生徒会活動から解放されますね」


と懐かしそうに呟くフローレンス。

僕が生徒会が会長に就任したことによってフローレンスとアリーヌ先輩は生徒会の活動が終わりだ。特に中等部から6年間生徒会に関わっていたフローレンスからしてみれば結構感慨深いのだろう。


「6年間お疲れ様、フローレンス」


「フフッ、ありがとうございます」


「あら後輩クン、私に対しての労いの言葉は無いのかしら?

先輩悲しいわ~泣いちゃいます」


と泣くフリをするアリーヌ先輩。

勿論この人がこれぐらいで泣くとは元々思ってない。


「そんな訳ないじゃないですって。アリーヌ先輩も4年間お疲れ様です」


この人もこの学校に転校してきてからすぐ生徒会に入ったので生徒会にけっこう長くいる。フローレンスが風邪で休んだ時なんかは代わりに僕達に指示を出してくれたりしてかなり助かっていた。


「ありがとう後輩クン。そういう素直なところも好きよ」


「はいはい、ありがとうございます」


「あら、つれない反応だこと」


「いやだって僕が変な事を言った瞬間……」


「瞬間?」


「ーーレイ? 貴方は何を言おうとしたのかしら?」


「……こうなりますから」


いつの間にか後ろに立っているフローレンスの方に手を向ける僕。

表情は見えないが声のトーン的に怒っている、しかも結構。


「あらら、嫉妬深い彼女さんだとこと」


「ベスランドさん? 貴方は人の彼氏に何を言っているのですか……?」


「2人ともやめてくださいって」


と彼女と先輩と今にも一触即発な雰囲気だったので間に入って止めることにした。


「しょうがないですね~後輩クンに免じてここは止めておきましょうか」


「……何か癪に障る言い方ですけど、レイがそう言うのでしたら」


と余裕な態度のアリーヌ先輩と渋々下がるフローレンス。


「ふぅ……就任早々大変だなぁ」


「はっはっはっ~大変そうだねレイ」


「そう思うなら助けてよ……」


「えっ普通に見ているのが楽しいから嫌だ」


「チャスを引き続き生徒会に入れたのは間違いか……」


「何を言っているのさレイ、私ほど主務が合っている生徒はいないはずだぜい」


確かにチャスは色々と細かいところにまで気が利く。

だから主務にはこの中で1番合っているのだが今更ながら自分の判断が合っているのか不安になってきた。


「……あとでチャスは個別に話し合おうか。

ーーじゃなくて、フローレンスとアリーヌ先輩、今日まで生徒会の役員お疲れ様でした」


「あら、どうしたのかしらいきなり」


「いや、お2人には生徒会で随分お世話になったのでお礼を言おうと思いまして」


「ほら私の彼氏は律義なんです、彼女として誇らしいです」


「えぇ、そうみたいね」


自慢げに話すフローレンスとそんな彼女を温かい目で見るアリーヌ先輩。

……一応年は同じのはずなんだが何だろうかこの妙な感覚。


「お2人の役員としての任期は今日で満了ですがこれからもお時間がありましたら遊びに来て欲しいです。まだ至らないところがあると思いますが温かい目で見守って頂けると幸いです」


「分かったわ、ありがとう後輩クン」


「流石私の彼氏さんですね。偉いです、後で頭を撫でてあげましょう」


「そして生徒会のみんな」


僕はこれから1年間一緒に活動する役員に声をかけると、全員がこっちに向いてきた。


「改めて今年度の生徒会会長を務めることになったレイ・ハーストンです。

僕個人、どこまでやれるか分からないけどこの学園を良くするため生徒会の仕事に全力を尽くそうと思う。でも僕1人の見方だと見えてこないことがある。そのためには僕以外の物の見方が必要だと思うんだ。だから学園を良くするためにみんなの力を貸して欲しい」


と僕なりの決意表明をした。


僕個人、フローレンスに比べて要領も悪いし頭が良くない。これまで通りに生徒会にくる仕事をこなしていくにはラウラ達の力が必要だ。それでみんなに協力を求めるためにどうすればいいのかを考えた結果、決意表明をするに至ったのである。

そんな僕の決意表明を見た面々はというと……


「おうよ、坊ちゃんのために頑張るぜ!!」


「しょうがないですね、妹の私が助けてあげましょう」


「あぁ私に出来る事があれば頼ってくれ」


「まっ、面白そうだし助けるよ~」


と元々付き合いがある面々。

僕が誘った1年生も頷いてくれている。

チラッと後ろを見るとフローレンスとアリーヌ先輩が穏やかに微笑んでいた。


(まっ、とりあえず頑張ってみようかな)


「これから一緒に頑張っていこう!!」


「「おぉーー!!」」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「フフ、後輩クンらしい始め方なこと」


「えぇ彼は彼なりのやり方で生徒会を進めて欲しいです」


と私は長年生徒会で一緒に活動してきた彼女に言う。

そもそも私と彼は全くの別人なので同じやり方が合っているとは思えない。


「貴方って心から後輩クンの事を信頼しているのね」


「えぇ、それは勿論。だって私の自慢の彼氏ですからね」


「羨ましい関係だこと」


ベスランドさんは優しく微笑んだ。

だって彼はこの中で誰よりも真面目に生徒会の仕事を頑張っていた。

最初こそ私の誘いと内申があっただろうけど、彼は与えられた仕事に真面目に取り組んで徐々に周りの人達の信頼を得ていき、生徒会長になった今に至る。

そんな彼氏がいて私はとても誇らしいと思うと同時に嬉しい。


(頑張ってくださいね、レイ)


と私は心の中で彼にエールを送るのであった。


「ところでライシングさん」


「はい、何ですか?」


「後輩クンの愛人の席は空いているかしら?」


「空いてません!!」


「……残念ね」


と心から残念そうな顔をするベスランドさん。


「貴方は本当に油断も隙も無いですね……!!」


彼女が前からレイに対して好意を寄せていたのは分かっていたけど、まさかまだ諦めていないとは。

レイの人気が上がっていくのは嬉しい事だけど、その分彼に対して変な虫が付かないかとても心配だ。


「あらあらこれから大変ね、貴方は」


「大変ですけど、今は貴方がレイに何かしないかの方が不安要素です」



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