発表
フローレンスと付き合うことになった次の日……生徒会室にて
「えっと……僕ことレイ・ハーストンは生徒会会長であるフローレンス・ライシングと付き合うことになりました」
一応付き合うことになったことを生徒会のみんなに話すことにした。
今日、一緒に登校している中でフローレンスと話して、別にやましいことはないのでみんなに発表することにしたのである。
「なりました……」
隣で立っているフローレンスは顔を真っ赤にして恥ずかしそうにしている。
多分、僕の顔も負けず赤いだろう。
「「おぉ~!!」」
僕が報告をするとみんな一斉に歓声を上げる。
「なのでこれから暖かく見守っていただけると幸いです……」
「です……お願いします……」
さっきよりも顔を赤くしてうつむくフローレンス。
「すげぇな坊ちゃん!! 頑張ったんだな、親友として誇らしいぜ!!」
「ありがとうアル、僕なりに頑張ったよ」
「ねぇねぇところでどっちから告白したんだい? 告白の文面は?」
チャスがまるで新聞記者のようにグイグイ迫ってくる。
……正直、チャスがいる場で言うんじゃなかったと今更ながら後悔している。
「レイからです……」
フローレンスがそう答えるとチャスはわざと大げさに驚いた反応をした。
「“レイから”!? ほうほうもう名前で呼び合うようになったんですね~
ーー勿論レイも会長の事を名前で呼んでいるんだよね?」
そしてその流れで僕に話を振ってくるチャス。
「あ、うん……慣れないけど……呼んでいるよ」
今まで“姉さん”か“会長”で呼んでいたため名前で呼ぶのは慣れてないし、それに妙に恥ずかしい。よくゲームでは主人公がヒロインを名前で呼ぶ事に対して照れることに疑問に思っていたのだが実際に呼んでみると結構恥ずかしい。少しは照れる意味が分かった気がする。
なんて考えているとミラはおずおずを口を開いた。
「ちなみにレイはどこで告白したんだ? ま、まさか“月の丘”か?」
「うん、そこで告白したよ」
「ほ、本当か!! あ、あの告白したカップルが永遠に結ばれるというジンクスがあるあの場所でか!?」
僕がそう答えるとミラは興奮した様子で詰め寄ってきた。
「み、ミラどうしたの……?」
いつもは冷静なミラなのだがたまに変なところで興奮する。
彼女はハッとした表情になると一回軽く咳払いをした。
「あ、すまない……つい興奮してしまった。
まさか身近にあの丘で告白する人がいると知って興奮してしまったんだ」
僕もこの世界に転生して“月の丘”を見に行ったの際にまさかあそこで告白する人はいないだろうと思っていたのだけど、まぁまさかの僕があそこで告白するなんて当時の僕には想像出来ないだろう。
「そうだね~あそこで告白して失敗したら結構落ち込むもんね。
ーーはっ、まさかレイは絶対成功すると思っていたのかい?」
「そんな訳ないでしょ……僕がいつも自信なさげなのは知っているでしょ?」
「まぁね~でもそのレイにしては頑張ったね~まさかの学園の男子憧れの会長に告白するなんてさ」
チャスに言われて改めて思う。
確かにフローレンスは学園の男子達にとってのアイドル的な存在であり正直僕よりも相応しい人が沢山いるような気がする。
「まぁでもさ、フローレンスの隣に僕以外の男子がいるって考えたら居ても立っても居られなくてさ帰る道中で急いで引き返したんだ」
「あの時のお兄様の勢いと言ったらもうそれは早かったですよ。ですけどよく転びませんでしたね……」
「ほら、僕って運動神経だけは無駄にいいからそこは頑張ったよ。
ーーでもラウラ昨日はありがとうね」
ラウラとの帰り際の問答があったからこそフローレンスに告白する勇気が持てたのだから、僕はとても彼女に感謝している。本当に僕には勿体ないぐらい自慢の妹だ。
「別にお礼を言われるほどの事はしてませんよ……幾ら他人が言ったとしても本人が動かないと意味がないですから。それをお兄様は実行したんですから私のおかげではありません」
「でも僕はラウラにお礼が言いたいんだ
ーー昨日は本当にありがとう」
「ま、まぁそこまでお兄様に言われたら素直に受け取るしかないですね。
分かりました、ここは素直に受け取るとしますね」
とそっぽを向いて恥ずかしがるラウラ。
「でもどうして後輩クンはあの丘で告白したのですか?
さっきの話を聞いていると一度フローレンスさんと別れたあと、戻ったみたいですけど……」
「それなんですけど……僕なりの決意を固めるためにですね」
「後輩クンなりの決意?」
「はい、あそこに行けば……僕も告白する勇気が出るかなと思って……まぁ結局いざ告白するって考えたら緊張で震えが止まらなかったですけどね」
結局僕は緊張してしまってフローレンスの言葉があってなんとか告白出来た。
苦笑いしながら答えているとアリーヌ先輩は満足そうに微笑んできた。
「フフ、後輩クンとっても頑張ったんですね、先輩として嬉しいわ」
「えぇあの時のレイはとってもカッコよかったですよ
ーー今でも告白のセリフを一言一句思い出せるぐらい」
「ま、まぁセリフって言っても短いけどね……」
告白する際に色々と考えた言葉があったのだが緊張のあまり大半を忘れてしまったので、正直告白をもう一度出来るならやり直したいぐらいのレベルである。
「何を言っているんですか、あの時の言葉とても心に響きましたよ
ーー“僕は貴方が好きです。貴方さえ良ければ僕の彼女になってください”
うん、とても良いです!! お姉さん嬉しかったです!!」
「ち、ちょっとフローレンス!? それ今この場で言うの!?」
まさかの僕の告白の際のセリフが皆の前で暴露された。
「「おぉ~~!!」」
またもや歓声を挙げる生徒会の面々。
「あぁ……とほほ」
歓声を挙げる皆とは対照的に僕は頭を抱えて落ち込んでいた。
なんせ正直忘れたい昨日の失態なのだから。
それを皆の前でバラされるって結構来るものがある。
「あれ? なんかダメでした?」
そんな僕を見て不思議そうにつぶやくフローレンス。
どうやら彼女は自分がしたことを全く理解していないようである。
「うん、ダメ。とってもダメ。とにかくダメ、分かる?」
「何故ですか? あの時のレイは今までで一番カッコ良かったんですよ? そのカッコよさを皆さんに知ってもらおうと思ったんですけど……貴方の評判を上げようと思って……えへへ……」
と手を頬に当てて顔をニヤニヤさせながらそう言うフローレンス。
この発言と行動で僕は察した。
(あっ……今のフローレンスはポンコツ状態だ……)
いつもの優等生の皮? が剥がれてたまに現れる他の皆が知らない彼女のポンコツの一面。
この状態のフローレンスは知能指数が下がってしまい正直あまり人に見せれない。
(今回は告白のセリフだったから僕が被弾しただけで済んだからいいけど……
ーーこれ以上は彼女の評判のためマズい!!)
「うん、フローレンス。それダメね、主に僕が恥ずかしいからさ」
「そうですか? 私にしては結構な名案だと思うのですが……ムムム……ダメですか……?」
(あぁ……うん、本当に知能指数が下がっているぞ、これ)
いつもは見せない幼稚な反応や行動も彼女がポンコツ化している証拠だ。
……幸か不幸か他の面々は僕の告白のセリフ対して何か盛り上がっているみたいでこっちを見ていない。
「まぁ僕は人からの評判は気にしてないから大丈夫だよ。
ーーフローレンスが僕の事を理解してくれたら僕は充分なんだ」
「そうですか、そうでしたら我慢しましょう!!」
と納得してくれた様子のフローレンス。
「うん、ありがとう」
(ふぅ……とりあえず納得させることが出来たのかな……)
でも実際僕は周りからの評判よりも親しい人が自分の事を分かってくれたらいいと思っている。今まで学園で僕の評判は酷かったがフローレンスを始めとして生徒会の面々は僕の事を分かってくれたのはとても嬉しかった。
「で、お互いのどこが良かったんだい?」
「あっ、これまだ続くの?」
「まぁまぁいいじゃないですか、みなさん私達の事を祝福してくれるんですから」
「……そう考えるとするよ」
と質問攻めに遭いながらもみんなが祝福してくれたおかげで僕達は本当に幸せな気持ちになれたのであった。





