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これからの未来

「何かこの数日疲れたなぁ……」


 僕にとっては全然休めなかった連休が終わって学園の中庭のベンチでそうぼやく。


「なんか疲れた顔してんなぁ坊ちゃん」


ベンチの隣で座っているアル。


「今、全身筋肉痛だもん……動くのも一苦労なんだよね」


 正直、学園に来るのも億劫になるぐらいだ。

 今日休もうかなと本気で思ったのだが流石に副会長の僕がそんな理由で休んだらラウラや母さんに何を言われるか分からない。


「筋肉痛? おいおい生徒会の面々のデートに付き合うだけだろ? 筋肉痛になる要因がーー」


「--ミラのお父さんとマンツーマン指導」


「あっ、察するわ」


 僕の発言を聞いて何があったのかを察してくれたアル。


「坊ちゃんが筋肉痛って事は余程だったきついメニューだったんだな。

ーーちなみに何をしたんだ?」


「街の外周に始まり、素手での組手10本、お父さんからの剣の打ち合い……途中から何故か打ち込む力が強くなっていくんだよね……終わったらミラとチャスのお店にスイーツを食べたなぁ」


 ぶっちゃけあの時食べたパンケーキはかなり美味しかったのは気のせいではないと思う。


「よく耐えたなぁ坊ちゃん……俺なら当初と違うって分かった瞬間逃げるぜ?」


「逃げようと思ったらお父さんに肩を強い力で掴まれた」


 実は僕も最初は逃げようと思ったのだがミラのお父さんに笑顔で肩を掴まれた瞬間、逃げることを諦めた。


「……本当によく頑張ったなぁ坊ちゃん、今回の件を含めて心から尊敬するわ」


 とニヤニヤしながら言うアル。

こいつ、他人事だと思って完全に僕が置かれている状況を見て楽しんでいる。


「“今回の件”ってどういう意味だよ……ったく他人事だからって楽しみやがって。

実際に置かれてみると大変なんだよ……」


「まっ、実際に他人事だからな!!」


「だよな……はぁ……

ーーい、痛てて!! ため息をつくだけでも痛い……」


「本当に重症だな坊ちゃん~ 死因“筋肉痛による呼吸困難”か?」


「アル……筋肉痛治ったら覚えておけよ……!!」


今度、アルとは色々と話さないといけないだろう。


「まぁでも本当に尊敬するぜ坊ちゃんを」


「また茶化しか……?」


 今度はどんな風にからかってくるのは構えているとアルが言ってきたのは予想外の言葉だった。


「いやいや今回はそれじゃないっての。

アクセルの事件の件、本当にすげぇと思ってんだよ」


「えっ? それがどうしたんだよ?」


 僕がかっこつけて魔法を庇って気絶したあの事件に褒められるところがどこにあるのだろうか。

なんて思っているとアルは話し始めた。


「だってよ坊ちゃんがアクセル達に啖呵を切った理由ってあいつらに生徒会の面々を渡したくなかったからだろ?」


「ま、まぁね……」


 実際は彼が“副会長になって何がしたい”との問いへの返事がムカついたからなのだが。

 それ以上に彼が少しでも“学園を良くしたい”とかを言っていたら僕も大人しく譲ることも考えていたが彼は自分の欲望しか考えていなかった。


「それに最後の俺達を庇った件、あれは本当に尊敬するぜ」


「……忘れたい失態、今のところ断トツの1位」


「いやいやあれは胸を張っていいやつだぜ?

だって坊ちゃん、魔法を無効化出来る能力があったけどよ、あんな行動そう簡単に出来ねぇって」


「あれは身体が勝手に動いちゃって……まぁみんなが無傷なら僕はいいや」


 あの時は不思議となんとかなると根拠は無かったけど何故かそう思えたのもあるし、何よりも僕を助けてくれたみんなを守りたかったという感情が僕を強く動かした。

 ……まぁ実際本当にどうにかなってしまったのだから変なものである。


「それがすげぇんだって、どこまでも自覚無しだなぁ坊ちゃん」


「別に褒められることしてないし、あと僕の能力もあったからなんとかなっただけだよ」


「いやいやいくら魔法をキャンセルする能力があってもあんな強い魔法に自分からいかねぇっての」


「この話やめてくれないか……? 僕恥ずかしからさ」


「おっ、坊ちゃん照れてんのか?」


「本当に筋肉痛治ったら覚えておけよ……!!」


 筋肉痛が治ったら真っ先にアルに対して本気の組手をすることを心に決めた。


「ところで話変わるけどよ

ーー坊ちゃんはこれからどうするんだ?」


「これからって?」


 いきなり話が変わったものだからアルが指している“これからどうするんだ?”が何を指しているのか分からない。


「あそこまでアクセルに啖呵を切っておきながら生徒会の面々を好きじゃないとは言わせないぜ?

ーー生徒会の面々が好きなんだろ坊ちゃん?」


「ま、まぁ……みんな嫌いじゃないよ、そりゃ」


 だって僕の生前好きなゲームのヒロイン達だし、嫌いどころか大好きなのである。

それにこの世界で生活してみんなと関わっていく中で“ゲームの登場人物”ではなく“今を生きている人間”としてみんなが好きになった。


「だろうな。

ーーで、誰押しなんだ?」


「はい?」


「会長か? アリーヌ先輩か? ミラか? チャスか? ラウラちゃんか?

ーーもしくはハーレムがお望みか?」


「アクセルじゃないんだからハーレムはいいよ……僕が1人を一生好きでいたい」


 僕は器用な性格じゃないのでハーレムのような大人数の全員に同じだけの愛情を注げるなんて思えない。

それに僕は本当に好きな1人を愛していきたい。


「やっぱり坊ちゃんはそういう性格だな、安心したわ。

ーーで、誰が好きなんだ?」


 相変わらずニヤニヤしながら聞いてくるアル。

僕はその様子に辟易していた。


「まだ続くのこれ……ごめん、分からない……自分でも誰が好きなのか全く分からないんだ」


 前世で僕は誰かを好きになったことがない。

 そのため“恋”という感情がどういうのか分からない。

 ……恋愛小説はよく読んでいるが、あれは他人の恋愛事情を見るのが好きなだけあって未だに“誰かを好きになる”というのが全く分からないのである。


「まぁまだ決まって無いならゆっくり考えてみろって。

助けが必要なら助ける。まぁ馬鹿な俺が考えて最善策が思いつくとは思えんがな!!」


「それ自分で言っちゃうかい、普通……?」


「ハッハッハッ~自覚があるだけマジだろ?」


「それも自分で言っちゃうのね……でもありがとうアル」


「おうよ、助けが必要なら呼んでくれ!!

ーー坊ちゃんがかっこよく助けるためのチンピラの役から教会の神父まで何でもやってやるぜ!!」


「……それはどうなんだろうか?」


というかアルが神父って似合わないって思うのは僕だけ?


「まぁでも彼女が出来たら真っ先にアルに言うよ」


「おう、その報告楽しみに待ってるぜ!!」


 と満面の笑みを向けてくるアル。

 その笑顔を見て絶対彼女が出来たら最初に言うのと結婚式には必ず呼ぶと決めたのである。

……まぁそもそも彼女が出来るかが疑問だが。




 その日の家までの帰り道、僕は1人で考えごとをしながら歩いていた。


 みんなは珍しく全員用事があるとの帰り道は1人なのである。


(僕は断罪イベントを乗り越えた……。

ーーでもこれから僕は何がしたいんだ……?)


 今まで僕は断罪イベントを乗り越えるために頑張ってきた。その結果なのかみんなの助けもありながら無事にピンチを乗り越えた僕。


(僕は何がしたいんだ……?)


それに休み時間にアルから言われた言葉も頭の中で何度もリピートする。


“生徒会の面々が好きなんだろ坊ちゃん?”


(それは確かにそうだ、僕はみんなが好きだ。

ーーでもそれが“友達”としての好きなのか“異性”としての好きなのか分からない)


 ギャルゲーならゲームの主人公がヒロイン達と関わっていく中でいつの間にか1人のヒロインを好きになっていくのだがいざ実際に自分がその立場になると考えるとどういう気持ちなのか分からない。


(今考えても全く思いつかないな……とりあえず明日の授業のこと考えるか……)


と僕は一度恋愛の話は後回しにして、明日の授業の事を考えるのであった。


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