反撃開始といこうか
約三か月ぶりの更新となります……。
よろしくお願いいたします。
「ーー反撃開始といこうか」
そう僕がアクセルに宣言すると彼は未だに状況が読めていないようで焦りながら口を動かした。
「お、お前魔法が使えないはずだろ!? なのに何で魔法を使えるんだよ!!」
「そうだね、さっきまで僕も魔法が使えないと思っていたし、今も僕は魔法を使えない」
「どういう意味だよ!!」
「理由は簡単さ、この剣のおかげだ」
と僕は手に握っているハーヴェストを軽く振るう。なんかさっきよりも軽く感じるのは気のせいか。
「そのガラクタがどうしたってんだよ!!」
「これさ、歴代の当主はただの祭事用に使っていたみたいなんだけど
ーーこの剣、使用者か剣自体が受けた魔法を撃てる剣だよ」
僕がそう言うとアクセルは更に驚いた表情を浮かべる。確かにその表情になる理由は理解できる。
「はぁ!? そんなチート能力持っている剣なんてゲームで出てこなかったぞ!?」
確かにそんなチート能力を持っている剣ならゲームで名前ぐらい上がっていてもおかしくないだろうけど、このハーヴェストはゲームの中では無名に近い。勿論僕もこの剣を知って数時間も経ってない。
「まぁ普段この剣は当主の引継ぎの式典ぐらいしか使わないし、普通の人が使ってもただの鉄の塊だよ。この剣の本来の力を引き出せるのは一部の人のみ」
「それがお前ってか!? ふざけんな!! お前みたいな雑魚がなんでそんな剣を使えるんだ!! 魔法もロクに使えない脳筋馬鹿のくせに!!」
「そう、それ」
「はっ?」
アクセルは頭の上に“?”を浮かべていそうである。そういして僕はこの剣の真の能力を話す。
「この剣の真の力を出す方法……まぁ方法じゃなくて条件なんだけどさ。
ーーこの剣を使う人間が魔法を使えないことだよ」
「はぁ!?」
「この剣の全力を出す方法は皮肉なことに使用者が魔法を使えないことだったんだ。ハーストン家の初代も僕と同じように魔法が使えなかった。けれども今のハーストン家があるのは戦績はこの剣のおかげ」
実は初代当主レクス・ハーストンは魔法が先天性に使えない体質だった。本人は隠す必要ないと自分の子供に行っていたらしいが子供達は“国の英雄が魔法を使えないというのはマズい”と考えたらしくあたかも魔法が使えたかのように子孫や周りに伝えていったとのこと。そのため魔法が使えないことを知っていたのはレクスが愛した妻と子供、そして弟達だけである。
勿論どんなに優れた武器があっても使う人物によってゴミに変わるが、初代様は自身では謙遜しているが大変優秀な方だったので上手く剣を使い、今のハーストン家の礎を築いた。
ただ何故魔法を使えない人間にしか使えないのかは最後まで初代様は教えてくれなかった。とても気になったがまた機会があれば教えてもらうとする。だが今は目の前の因縁にケリをつけないといけない。それに少しだが勝機が見えてきたのである。
「初代様と僕以外の当主は皆、魔法が使えたからこの剣はただの鉄の塊だった。だからこそこの剣はお前が持っている剣に比べて知名度がなかったわけ。
ーーじゃあ次はこっちから行くよっ!!」
と僕はアクセルに向かって剣を構えて突撃した。僕が突っ込んでくるのが予想外だったのか予想外だったのかアクセルは反応に遅れて剣でガードする。剣が当たった瞬間鈍い音が響く。
「この……クソがぁ!!」
彼は怒りのまま剣を振るってくる。それを僕はあえて剣で受け止めた。本来なら躱すのが体力温存のためには一番だろう。けど僕はよけずあえて受け止めた。
「なぁ……お前、この世界に転生してきて何か月だ?」
「いきなり何を言い出すんだ、てめぇ……!!」
いきなり場に合わない質問をされたアクセルはイライラの感情を表情に出して言う。自分の予想外の出来事に遭遇したことでイライラしているのだろう。そんな彼とは逆に僕は何故か少しだけ余裕が出てきた。
「良いから答えろよ、言えないのか、おい?」
僕が煽り気味に言うと、少し悔しそうに言う。
「半年だが……!! それがどうしたってんだよ!!」
その答えを聞いて僕は“やはり”と思った。
「そうか、なら負けるわけにはいかないねっ!!」
ギンッ!!
と受けた剣を跳ね返した。やっておいて自分でまだ跳ね返せるだけの力が残っていたことに驚く。僕はそのまま続ける。
「確かにお前の魔力は膨大だし、使える魔法の数も多い。
ーーだけどお前は自分の能力を使いこなせていない!!」
「何だと……!!」
「お前は能力を使いこなせていると思っているようだけど全然、自分の力として使いこなせていない!!」
一度気を失ってから冷静になり、改めてアクセルの動きを見てみると何か違和感のようなものを感じた。それはアルやミラ、カインさん達この世界の人と組手をしている時とは何かが違うもの。まぁ組手と命をかけて戦う今の状況だと相手の本気具合が違うのは当たり前なのだが。
「僕達がいた世界だと魔法なんてないから使ったことがない。でもこの世界の人達にとって魔法は生まれた時から日常に当たり前にあるものだから使う際に何も違和感ないし、魔力が増えると言っても練習によって増える魔力はあまりない」
この世界で人の魔力というのは生まれた時からほぼ決まっている。だから魔法の練習と言っても魔力を増やすというよりも自分の魔法をいかにしてうまく使えるようにするかが大切とされている。
「でもお前は僕と同じく魔法がないのが当たり前の世界の人間だ。そんな人間がたかが半年で使いこなせるはずがない、膨大な魔力を持っているなら尚更のこと。幾ら武器が強くても使う本人が慣れていなければただの宝の持ち腐れだよ」
「ふざけんな……俺が使いこなせていないっていうのかよ!!
ーー調子に乗ってんじゃねぇ、フレアトルネード!!」
と炎をまとった竜巻がこちらに向かってくる。膨大な魔力を持っているだけあって当たったら僕は二度と立ち上がれないだろう。
だが。
ヒュン
持っている剣を一振り。すると先ほどまで目の前に迫っていた竜巻は消滅した。アクセルはその光景をあり得ないといった表情で見ている。
「勿論この剣の能力もあるだろうけど、お前の撃つ魔法は消しやすい一個一個の魔法を使い慣れていないから魔法自体が粗いんだよ。粗いから魔法を消しやすい」
最近自分の“キャンセル”の能力を使っていて分かったことがある。同じ魔法でも消しやすいのと消すと多く体力を消費する場合があり、気になってアルと一緒に確認していたら魔法自体の完成度が関係していた。
本人が慣れていない、もしくは魔法を撃つ際に雑なイメージを浮かべていた場合は魔法の威力が落ちる。それに伴い僕の能力の際の体力消費が感覚的に減った。その逆の場合だとキャンセルを使うと体力をごっそり取られる。アルの一番得意で慣れている魔法に対して使った場合は能力を2回使った時以上の疲労がきた。
「お前さ、魔法の練習した? 地道に魔力のコントロールや魔力の効率の良い使い方とかさ基礎的なこととか。主人公に転生出来た際の喜びでこの世界で大事なこと忘れているんだよお前はさ!!」
「魔法を使えない奴が偉そうに説教すんじゃねぇ!! 俺が主人公だ!! アクセル・フォンだ!! お前のような魔法が使えない奴が威張るなぁぁぁぁーー!!」
アクセルは怒りのまま叫ぶと再び剣を振ってきた。それに対して僕の剣で受け止め、跳ね返す。
「いや威張らせてもらうさ、いつも威張れない性格なんでね!!
ーーお返し、フレアトルネード!!」
剣から先ほど消した魔法を放つ。
「魔法壁っ!!」
だが僕の放った魔法はアクセルが使った魔法の壁によって阻まれた。まぁそんなことは予想済みなので……。
「--甘い!!」
「はっ!?」
消えた竜巻に姿を隠していた僕は魔法の壁を能力の方の“キャンセル”で消すと、竜巻の勢いのまま剣を思いっきり振った。
ガンッ!!
「ぐおぉぉぉーーッ!?」
アクセルは身体に剣の直撃こそ防いだが剣の勢いは防げず、後方に下がっていった。僕はその好機を逃さず詰め寄る。
「くそっ!!」
「まだまだっ!!」
先ほどまでの防戦一方だった状況から一転、攻勢に転じるのであった。





