VSアクセル・フォン1
アクセルとの戦いが始まって数分……
「アクアランス!!」
「ちっ!!」
目の前に迫ってきた水で作られた槍を躱す。槍が刺さった場所には大きな穴が出来ていた。石で出来ている床にすら大きな穴が出来るのだから人に当たればひとたまりもない。
「おらっ!!」
「くっ……!!」
そして強力な魔法の次は宝剣に物理攻撃が来たので後ろに下がる。下がっても剣が振り下ろされた際の衝撃波を感じた。彼が握っている剣は流石“宝剣”と呼ばれるだけあって振り回すだけでも衝撃波が広がり、その衝撃波に当たろうものなら身体が吹っ飛ぶ。そしてその宝剣の厄介な能力なのがいくつかある。
「ライトニングブレイブ!!」
と剣から雷が飛んでくる。宝剣の厄介な能力、それは剣から魔法が撃てることだ。普通なら剣は斬るや叩く等の物理攻撃のみのはずだが、この宝剣は剣からも魔法が撃てる上に剣を振るっている本人に魔力の消費を減らすという明らかにオマケでつけてはいい能力ではないものも一緒に備わっている。主人公補正恨みながらも僕も負けるつもりはない。
「キャンセル!!」
それに対してこちらはというと一応無制限になった魔法を撃ち消せる“キャンセル”、性能が不明な剣という状況である。まぁ見て分かるがこちらが不利である。現状、身体能力は僕の方が上なので何とかそれで補っている状態。結局不利な状況には変わらない。
「へぇ……悪役の割にやんじゃん」
「そりゃね、悪役だってシナリオ通りに死にたくないから色々と頑張ったものでね」
僕は魔法を打ち消した側の手をパッパッと払いながらそう答える。魔法を撃ち消しているはずなのだがやや手に痛みが残っているのが不思議に感じた。
「ここで殺すのには勿体ない奴ーー」
「--そりゃどうもっ!!」
僕はオピニルさんに教わった体術で一気に距離を詰めて剣を薙ぎ払ったのだが寸でのところで躱される。個人的に直撃こそしないと思っていたが空振りするとは思ってなかった。そんな僕を見てアクセルは見下したかのように笑う。
「やっぱ悪役らしく不意討ちってか? だが俺にそんなのつうじねぇ。悪役は大人しく主人公の俺に倒されろっての」
そう言うとアクセルはこちらとの距離を一気に詰めて、剣を振り下ろす。
(早いっ……!!)
ギィン
「ッ!!」
回避が間に合わず、重たい一撃をこちらの剣で受け止める。今の一撃はカインさんにも並ぶぐらい重たい。それでも尚、アクセルは剣を連続で振り下ろしてくる。
ギン!! ギン!! ギン!!
高い金属音が周辺に響く。確かアクセルが使っている宝剣に身体能力の強化はなかったはずなので元々の身体能力が高いのか、神達の能力を奪ったからなのか分からないがとにかく厄介。
「フレア!!」
と振り下ろされた剣から炎があふれ出してきた。炎の熱さに堪らず振り下ろされた剣を軽く上にはね上げると、その隙に後ろに退く。さっきからこの状況の繰り返しだ。
「ふぅ……」
(このままだとこっちが押し切られて負けてるぞこれ……)
近距離だと魔法の威力が追加されている宝剣の一撃、距離を取ろうものならこれまた大火力の魔法の餌食になる。しかも距離を取ってしまうと距離を取ってしまうと魔法の雨をくぐらないといけないので更に体力を取られる。となるとこちらが体力があるうちに近距離に持ち込んで何とかなるぐらいだ。
(だけどどうすっか……)
(お主、作戦はあるのか?)
(分からないけど、意地でも食らいつくだけだ。なんせ諦めが悪いのが僕という人間だからねっ!!)
僕は再び地面を蹴り、距離を再び詰めアクセルの足付近を横に剣を払ったが案の定ジャンプでかわされる。そして飛び上がったアクセルの手から雷の魔法が放たれた。
「ボルテック!!」
アクセルは僕が大きな隙を見せたと思ったのだろうニタッとした表情を浮かべたのが目に入った。確かに結構な隙を今晒していると思う。僕もいつもなら躱すか、その場で“キャンセル”を使う。だが今回はあえてその放たれた魔法に向かって飛び上がった。
「自ら突っ込んでくるだと!?」
あいつは僕は自ら魔法に向かって突っ込んでくるとは思わなかったのだろう、少し慌てた表情になった。
「キャンセル!!」
魔法が身体に当たる寸前で“キャンセル”を使った。魔法を打ち消し、打ち消した左手を添え勢いのまま剣を下段から逆袈裟に切り上げた。
「ま、魔法壁!!」
ガンッ!!
アクセルと僕の間に透明な壁が出現し、僕が振り上げた剣はアクセルに届かず跳ね返された。どうやら僕の奇襲は寸でのとこで防がれたようである。だが少し焦っている状況を見逃すわけにはいかない。
「まだまだっ!!」
跳ね返されて落下した僕は着地すると間髪いれず地面を再び蹴り上げ、アクセルとの距離を詰める。彼も僕が次何をしてくるか分かっているのだろう
「同じ手を二度くらわねぇよ!! 魔法壁!!」
とアクセルは目の前に先ほどと同じように魔法で作られた壁を出現させた。確かに先ほどと同じだと跳ね返されてしまう。
「それはどうだろうかね」
僕は両手で持っていた剣から左手を離して、離した左手を魔法壁に突き出す。手が触れたその瞬間、魔法壁は溶けるように崩れた。
「何っ!?」
「だって、魔法壁も魔法だからね
ーーうらぁっ!!」
そして僕は片手で持っていた剣を力の限り振るった。剣先はアクセルの腕付近に当たり、当たった箇所からは微量だが血が出てきている。片手で振るっていたからかコントロールが整わなかったが、今のが上手く当たっていたら腕一本持っていけそうな一撃だったと個人的に思う。
「ぐぁぁぁっ!!」
斬られた箇所を抑えて叫ぶアクセル。
「ふぅ、まずは一矢報いたかな」
剣先に付いた血を剣を払って血振りをする。
「てめぇ……どうやって魔法壁を!?」
自分が斬られた事が余程予想外だったのかとても動揺しているアクセル。
「さっきも言ったでしょ? “魔法壁も魔法だから”触れた瞬間に“キャンセル”を使っただけ」
さっき一度跳ね返されたあと、“魔法壁って魔法だから打ち消し出来るんじゃね?”と思いついたので試しに行ってみたら成功した。その後はそのまま動揺している奴目掛けて剣を振るっただけである。
「ふざけんな……!! よくも……よくもこの俺に怪我させたな!!」
「お前も僕だけじゃなくて他の人に怪我させた奴が何を言っているんだ? 悪いけど、僕は君に容赦しない」
こいつは僕の父さん、カインさんなど僕が親しい人に危害を加えた。それだけで容赦をする必要はなくなる。というか容赦なんてしたら逆に僕が負けるだろう。
「許さねぇ……絶対許さねぇ!! 俺をこけにしやがって!!」
とアクセルの身体から膨大な魔力があふれ出してきた。それに伴ってだろうか冷や汗が大量に出てくる。この量の冷や汗をかくのは久しぶりだ。どうやら今まで魔力を抑え気味で僕と戦っていたのだろうか。
「本気出してなかったのかよ……あいつ!!」
僕はそう大声で文句を言いながらも剣を構えるのであった。





