第6Q たぁーくんバスケ教室
武がみんなに教えるバスケは
「たぁー君バスケ教室」
と言われるようになった
みんなで楽しくバスケをするようになったのはよかったのだが、あれから6ヶ月がたち今もなお、続けているのは10人だった。
最初は20人近くいが武のドリブル技術やシュートに憧れて真似をしようと試みて、上手くいかず、諦めて違う遊びにいくのだった。
バスケットボールの面白さに触れて欲しい武が懇切丁寧に指導するのだが、彼らは諦めてしまった。
むしろ10人も残れば良い方であるが、元保育教諭としては、納得出来ないところだ
「あんなにいたのになぁ」
1人でつぶやいていると
「どうしたんだ?元気ないぞ?」
栄太が声をかけてくる
「最初はあんなにいたのにこんだけになっちゃったから」
「気にするなって、みんな諦めるのが早い連中ばかりなんだから。武の教え方は上手だぜ、今に見てなって、オレが出来るようになったらみんなをまた、かき集めてくるからさ」
「それよりゲームしようぜ、今日は10点はとってやる」
「うん。そうだね、やろうか」
6ヶ月がたち武の指導のおかげか片手ドリブルやゴール下のバンクショットはできるようになったためゲーム形式の遊びが出来るようになっていたのだ。
最初はただボールに群がるだけで、ゲームとはほど遠かったが、武がもっている保育技術を用いて指導し、今では、各々が間隔をとっている
「栄太君」
武がパスを出す
「見とけよ武」
ダムダム
左手でボールをついていた栄太がクロスオーバーで相手を抜く
「スーパーシュート」
そのままシュートを放つがボールがリングに嫌われる
「惜しかったね」
ポンッ
外れたシュートを武がタップで押し込む
「クソ!!次は決める」
「ねぇたぁーくんボールちょうだい」
今度は武を除けば唯一の年少のダイがボールを持つ
「たしかこうだったよね?」
ダイがボールを持つとレッグスルーで相手を抜いて、そのままレイアップを決めたのだ
「すげぇー!!」
レッグスルーの出来ないみんなが今のスーパープレーに盛り上がる
「ナイスシュート」
ダイとハイタッチする
「(やっぱ身体能力お化けだなこいつ。このまま追い抜かれないよな?)」
幼なじみのスペックの高さに焦る武
「オレたちももう一回いれてくれよ」
「やっぱり出来ないままはいやだ」
「オレも」
「僕も」
武たちのバスケをする姿に諦めた子どもたちが戻ってきたのだった