第0Q 最後の日??
~2024年 オリンピック~
いい年した男がTVの画面にかじりつくようにみている
男子バスケ日本VSスペイン
第4クォーター残り30秒
ドカァーーーーーーー
日本のエースがダンクを叩き込む
「決まった!!!!相手DFの上から叩き込んだぁ~日本のエース鬼頭オマリー流星今日これで40得点!!」
解説者が興奮している
それもそうだろう。相手は強豪スペインだ。強豪国のアメリカやドイツだってそうそうスペインからは個人で40点もとれないだろう
しかし、点差は108―82
絶望的差である。一般人から見たらそうだろう
しかし、長年の代表のバスケを応援し、見続けていたオレからすればこれは確実に代表の力が上がってきているのが分かる。今の日本は紛れもなく『史上最強なのだ』
バスケ後進国と言われてきた日本だがメキメキと力をつけてきている
数十年前はアジアで下位の方だった。
今から5年前、日本のエース鬼頭は日本人初のNBAドラフト1位指名を受けNBA選手になった。彼に引っ張られるように周りの選手たちも進化していった。今のスターティングファイブはアジアでも上位に入り、世界と比べると落ちるが戦えるようになってきている
PG 古田 掛167cm 67kg 30歳
オレと同い年で167cmと小柄ながら、クイックネスに長けており、精度の高いアウトサイドシュートや高いバスケットIQを持つ司令塔で鬼頭に安定してボールを持たせることが出来る。
SG 高津 海 (たかつ かい)190cm 92Kg 33歳
鬼頭が代表入りする前の日本のエース。メンタル面に不安があるものの高い得点能力にパスセンスを併せ持つ。彼のドライブは世界にも通用するとオレは思っている。また、クラッチタイムには滅法強い
SF 桧山 章 (ひやま あきら)206cm 98kg 29歳
鬼頭よりも、早くNBAに入り、GリーグとNBAを行き来する苦労人。体重の軽さが問題だが器用な選手でありPG~PFまでこなせるオールラウンドプレイヤーでDFを得意とするエースキラー。正直平面のDFだけなら鬼頭よりも上。DFだけでなく柔らかいタッチから放たれる3Pも武器
PF 鬼頭 オマリー 流星(きとう オマリー りゅうせい)
204cm 107kg 26歳
日本とオーストラリアのハーフ。日本のエースであり、NBAのマジック・ドックスの若きエース。パワープレイを得意としており、ポストからの得点が得意。ミドルシュートの精度が非常に高く、相手が強ければ強いほどシュート確率が上がるという、正に漫画の主人公のような選手。NBAでは小柄な方だがCもこなしており2m10cm台の選手にもあたり負けしない
C ブリトー ゴンザレス 211cm 111kg 37歳
日本が長いこと待ち望んだ大型帰化センターで元NBA選手、膝の怪我により、早く走ることが出来ないが、ペース配分が上手く、シュートレンジが広い、技巧派センター。時折、DFやファストブレイクで穴となってしまうがそれを感じさせないほどの得点力を持つ。彼のハイポストからのフローターはNBA選手でもブロックが難しい
これだけのメンツがそろっても勝てないとは世界の強さに驚くが、日本バスケは日々進化している。きっと世界とだって戦えるようになるとオレは信じてる。
さて、最後に止めって終わってほしいな。
しかし、画面が野球中継に変わってしまう
犯人は後ろにいたオレの幼なじみの大迫 大貴である
「何するんだよダイ?今、いいとこなんだぞ」
「だってもう負けてるじゃん。野球みようよ野球」
「オレはバスケが見たいの」
「だったらたぁーくん家で見ればいいじゃん。ここは俺んちだよ」
そう、オレこと如月 武は幼なじみのダイの家にいるのだった
オレとダイは3歳からの腐れ縁で小中高と一緒である。ちなみにダイは野球をやっており、強豪校からのスカウトが山ほど来るくらいのすごい男だ。しかし30になった今もたぁーくん呼びはどうなのだろうか
「うちでは野球を見てるからダイの家しかないんだよ。頼むよ」
「しょうがないなぁ。いいよ。後でバッティングセンター付き合ってね」
「OK牧場」
チャンネルを戻すと試合は終わっていた
ダイとバッティングセンターで一汗かいてからいつもの居酒屋で飲む
「日本のバスケはなぁ進化しているんだよ!!これからなんだよ!!絶対世界と戦えるんだ」
酒が入り、今日の試合の愚痴をこぼす
「たぁーくんは本当にバスケが好きだよね。でも、もったいないよね。空手に専念しとけば今頃はオリンピックに出られたかもよ?」
オレは3歳からずっと空手をしている。バスケを始めたのは高校からだ。高校からは2足の草鞋を敷いている
「バスケに心底惚れたしまったんだからいいんだよ。空手だって万年3位止まり。ダイの方こそ、高卒じゃなくて強豪大学に行ってプロにいけたろ」
「たぁーくんと一緒が良かったから」
悪気のない言葉に寒気がする
「ダイ、オレにそんな趣味はないぞ」
「オレだってないよ。ちゃんと彼女いるし」
そう、小中高と一緒いるがダイはかなりもてる
勉強こそ出来ないが、運動神経抜群で、誰に対しても優しい、いいやつだ。そしてダイの笑顔は子どもから、おばさんまでおとすエンジェルスマイルと呼ばれている。本人が無自覚なのがタチが悪い
「たぁーくんこそ、いい年なんだし彼女作りなよ」
「オレはバスケが彼女だからいいんだよ。それに仕事でかわいい子どもたちとすごしているし」
オレは彼女いない歴=年齢であり、保育教諭をしている
「ロリコン」
「ちげーよ」
「さっきのお返しだよ」
30歳とは思えないほどの幼稚な会話だが3歳から続くばかけた会話がたまらず楽しい。ダイもそう思っているだろう
「いいよな子どもって、オレも幼稚園からやり直したいぜ。そうしたら死ぬほど練習してNBA目指すのにな」
「うん。たぁーくんなら出来るよ」
「そんなに甘くはないけどな」
これがオレの覚えてる最後の会話である。目が覚めたらあんなことになっているとは。このときは想像もしていなかった
<キャラクター紹介>
如月 武 172cm 76kg (C・PF)
高校からバスケと出会いそれからはバスケに夢中に。空手とハンドボールをしていたためフィジカルは強い
大迫 大貴 (おおさこ だいき) 166cm 72kg
武の幼なじみで運動神経抜群の身体能力お化け。武曰く、プロ野球選手になっててもおかしくないらしい