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第37話 終戦


 「それならば私が説明する」


 この場にふさわしくない人物が現れた。その人物のことを正行は知っていた。いや、正行だけでない美緒も詩織も源二郎も雄大もこの場にいる全員が知っていた。群馬県民のほとんどが知っている人物ではないだろうか。

 その人物とは……


 「山名知事!」


 山名二郎群馬県知事であった。

 昨年度初当選を果たした元参議院議員にして国務大臣経験者の知事だ。

 群馬に異世界から現れた生物を倒すため置かれている妙義団・榛名団・赤城団に指令を出すことができる最高司令官でもある。


 詩織、源二郎、雄大の3人はその場に座り敬意を表す。

 正行と美緒もそれに合わせる。言継も同じく座る。


 「知事がどうしてここに?」


 美緒が言う。


 「ああ、今回の妙義団、榛名団、赤城団の3団の戦いは私が指令した。3団による対決型の実戦をしておくべきと思い事前に団長にだけ通知していた」


 「え?」


 「この戦いが模擬戦だったということ、なの?」


 「ああ、そういうことだ」


 正行は衝撃を覚えていた。

 正行は思わず詩織をにらみつける。


 「え、ええっと」


 詩織は露骨に目を正行から背けた。

 どうやら正行には黙っていたようだ。


 「私は知っていたので手加減していたんだぞ」


 言継はどうやら知っていたらしい。


 「わ、私、知らなかった」


 美緒はどうやら知らなかったらしい。

 美緒も源二郎を憎む表情をしていた。


 「おいおい、そこまで怖い顔をしなくてもいいだろう」


 源二郎は本当に怖がっていた。


 「はっははは。君たちは本当に愉快だな」


 山名知事は愉快だ愉快だと言い、笑っていた。


 「では、戦いはこれで終わりなんですね」


 正行は知事に言う。


 「ああ、終わりだ。だが、戦いはここからだぞ」


 「これから?」


 「私達が何でこんな模擬実戦を快諾したと思っている? 実は知事からある情報を仕入れていたからやることにしたの」


 「あること? ある情報?」


 正行は詩織の言葉に質問する。

 

 「ええ、異界生物の中でもSランクレベルのモンスターが出現する観測予測がでたらしいよ」


 「Sランク!」


 詩織の言葉に正行は驚愕する。

 異界生物には討伐難易度がある。Sランクはその中でも最上級に位置している。


 「私としてもこのSランクを倒すためにも3つの団の戦力を増強する必要がある。そこで模擬実戦を行ったんだ」


 そんなこんなで今回の3団の対決が終了した。

 正行としてはいろいろと不満が残る結果であったが、本気で3団が対決していないということがわかっただけよかったと思っている。

 しかし、これから問題がある。

 Sランクの異界生物。こいつを倒さなくてはいけない。

 今の正行は自分の力が弱い。それをいろいろと思い知らされた。主に言継によって。

 

 「自分を鍛えなくては……」


 正行は、家に帰らず1人とっくを始めるのであった。


 第一部三団交戦編完。

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