第33話 余裕
「え?」
今、何が起こったのか分からなかった。
正行は、驚愕していた。
正行だけではない。攻撃をした詩織も、後ろにいた源二郎もそして正行の隣にいた美緒も全員が今、何が起こったのか全然分からなかった。
「どういうことなんだ!」
正行は、声を荒げる。
言った相手はもちろん言継にだ。言継は余裕の表情を相変らず崩さない。
「何をしたの?」
詩織も質問をする。
源二郎もかなり警戒している。
「ははは。良い表情だ。その表情を見ているととてもぞくぞくする」
言継は高笑いをする。
勝者の余裕というやつだ。
「……あいつの魔術具の能力か?」
正行は、ずっと考えていたことを口にする。
逃げてもすぐに見つかった。攻撃もよけられた。このようなことがずっと続いた。その現象は、言継の運動神経や感というには人間離れしすぎている。だとすれば、人間の力ではないもの。魔術具の力しか残らない。
「魔術具の能力か。それはありそうだな」
正行の言葉を聞いていた源二郎もうなずく。
「じゃあ、あいつの魔術具の能力を暴くしかないわね」
詩織もうなずく。
「俺が先に攻撃をする。木村はそのあとすぐ続いてくれ」
「あなたに命令されるのは癪だけど今度ばかりはそうは言ってられないわね。いいわよ。あなたの策に載ってあげるわ」
源二郎と詩織の2人は作戦を話す。
もちろん、言継に聞かれていることは重々承知である。
「さあ、第二ラウンドよ」
再び、源二郎の攻撃が言継を襲う。
「くらえ」
「いくわよ」
源二郎の化身が言継めがけて攻撃をする。上から巨大な手がつぶすようにおろす。その攻撃に続いて詩織も大鎌を振りかざす。
正行は、その様子をしっかりと見ている。
動けない正行であるが、頭だけは使える。何としても言継を倒すためのヒントを見つけようとしていたのだった──。




