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第12話 脱出

 「出せよ、出せ!」


 正行は隔離室に入れ込まれた。

 出せ、出せと外に向かって大きく声を出すが周りには誰もいない。

 ただ、本当に誰もいないのか正行にはわかっていない。隔離室周辺は明かりが少なく暗いためだ。


 「くそぉ。本当に榛名団と戦うつもりなのか。同じ異界生物を倒す仲間という認識を持っていないのか。それに榛名団にはあいつがいるのに……」


 正行が言うあいつとは誰なのか。

 その人物のことを知っているのは妙議団には実は誰もいなかった。


 「しかし、どうにかしてここから出ないと」


 正行が隔離室に入れ込まれてからすでに1時間以上は経っていた。

 隔離室に入れ込まれる前に榛名団との戦争までの時間は2時間ぐらいで始まると聞いていた。つまり、少なくともあと1時間で戦争が始まってしまう。

 それまでに正行はここから脱出しなくてはいけない。

 ただ、正行は脱出する方法については何も考えていない。

 考えていないと思いついていないのが正行である。

 正行はこの隔離室には対魔術具の結果が張られていることを知った上で魔術具の解放してみることにした。


 「覚醒せよ、上毛の山々よ、守護せよ群馬の神々よ我の力この時発動せん魔術具解放!」


 正行の腕にはめられているブレスレットの魔術具。

 そのブレスレットは赤と黒の色で塗られておりブレスレットの上の方にはだるまが描かれていた。正行はそのだるまが描かれている部分に手を当て解放した。

 漆黒の刀。名を義顕よしあき


 「斬!」


 正行は刀を思いっきり縦に振るう。

 すると、刀身から斬撃が放たれる。


 ドッガーン


 壁にぶつかり爆発音が起きる。

 しかし、壁は無傷であった。


 「ちっ」


 正行は舌打ちをする。

 無理だと思っても一応やってみたが、やはり無理であったという事実にイラついた。

 では、どうしようか。

 壁を壊してこの部屋から脱出することは不可能だ。

 そのことは今身をもって知った。

 じゃあ、どうやってでるか。

 壊せない。

 壊せない。

 壊す以外に方法がなかなか思い浮かばない。


 「うーん」


 正行にはもう成すすべがなかった。

 どうするか。

 隔離室に何か秘密の扉でもあればいいのに。

 そんなことをふと正行は思った。

 しかし、そんなこと起こるわけない。あるわけないと同時に思っていた。

 

 「はぁ~」


 疲れた正行はふと扉にもたれかかる。

 すると、


 「あ?」


 扉が普通に外側に開いたのだ。


 「開いていた?」


 さんざん脱出する手段を考えていた正行であったが、まさか扉が元から開いていたとは思ってもいなかった。

 しかし、開いていたということは正行にとっては好都合である。


 「戦争を止めなくては」


 正行は扉を開け外に出るのだった。

 ただ、格好よく堂々と扉を開くのではおそるおそる扉を開け周りの様子を見ることできちんと脱出できるか確認をした。


 「誰もいないな」


 周りを見て誰もいなかった正行はそのまま外へと出ていった。


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