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無題

無題7

作者: にっくきニック

 夜の坂を一人で下ります。

 冷たい夜。両側の住宅地はしんとしています。私のまっすぐ向こうに満月があり、その下では電車が走っています。軽く酒が入っていて、心がすぅとなるように心地良いです。

 踏み切りに向かってフラフラと歩きます。私は今日死にます。夫は昔にがんで死にました。育ててきた息子はつい五日前に交通事故で死にました。私は今日死にます。心がすぅとして心地良いです。

 生きている人たちのことを思います。ごめんなさい。会社のあの優しい人たちを思います。ごめんなさい。お母さんを思います。ごめんなさい。でも、ただ私の死が26年遅れただけ、それか私の死が40年ほど早まるだけです。ごめんなさい。必死に生きている全ての人にごめんなさい。吐き気がしてきました。

 そうこうしているうちに踏み切りにたどり着きました。右奥から電車が来ています。

 私は満月の空を見上げました。

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