第25話 〜別行動〈アキヤ〉1〜
ちょっと時間オーバーしちゃった w
理由は簡単!今は期末テストだから!
4人と解散してからアキヤは、街の中にある図書館へと来ていた。ティーナから渡された紙を頼りに道を進む。今回はそこまで入り組んでなかった為難なく来れた。
図書館の大きさは他の店よりも何倍も大きいが、ギルドに比べれば、少し小さく見えてしまう。逆に言えば、それほどギルドというものは大きな施設なのだろう。身分証明書の取り扱いまでやっているのだから当たり前ではあるが……
「カランカラン」
図書館へと入ると同時に高いベルの音がなった。喫茶店を思い出す音だ。この世界は平和では無いので、入って来たらすぐにわかるようドアにベルが置いてある店が多いようだ。
図書館に入ってすぐ。そこは駅の改札の様な感じだった。それか、テーマパークの入り口か……
とにかく言いたいことは伝わった様な気がする。
アキヤは入ってすぐ右側にいる60代前半のおばちゃんに声を掛けた。
「あの、ここ通ってもいいですか?」
「ちょっと待ってね。今回のご利用は初めてかい?」
「はい。ここに来たのは初めてです」
「ありがとうね。それじゃあ今から図書カードを発行するかい?それとも要らないかい?」
「図書カード……」
アキヤは元の世界にもあった言葉になぜか胸を躍らせる。おばちゃん……服につけてある名札を見るに
“メアリー”さんはこちらの表情を伺っているかの様に首を傾げる。
「図書カードの説明はいるかい?」
「はい。一応お願いします」
「それじゃ説明するよ。といってもあまり説明することは無いけどね」
と言い、「ふふふっ」と笑った。とても好感の持てる人だとアキヤは思った。駄菓子屋のおばちゃんの様な温かさを感じた。
「図書カードを持っていれば、図書館の出入りに私を経由しなくて済んだり、ポイントがついたり、とにかく良いことづくしってわけだよ。そのかわり、3ヶ月に1回、ここじゃなくてもいいから街の図書館へ入らないと図書カードを剥奪して、もう1回作り直しになるから注意だね」
「結構良いんだな」
アキヤもいつの間にか敬語を忘れて喋っていた。メアリーからはそんな親の様な温かさがある。肩苦しいのはあまりすぎじゃなさそうだ。
「こんにちわー」
「はい。こんにちわ」
メアリーと話している後ろを1人の青年が通っていった。恐らく学生かなんかなのだろう。図書カードを手に持ち、こちらに見せながら中に入った。
今の挨拶や対応の早さから察するにメアリーはみんなから愛され、そして、皆の親なのだろう。
「図書カードを発行してくれ」
「はい。分かりました」
メアリーはにっこりと笑って一枚の紙を取り出した。そこには魔法陣の様な模様が描かれていた。
ティーナに教えてもらったが、この世界の魔法は魔法陣を使うのが基本なのだそうだ。勿論魔法陣なしでも魔法は撃てる。むしろ魔法陣を使わないのが一流への近道なのだ。ただし、素人が魔法陣なしで魔法を撃とうとしても、威力は落ちる。標的から外れる。そもそも発動しないなどの様々な問題が起きる。
一流魔法師の中には魔法陣を使っている人もいる。魔法陣を書く手間にさえ目を塞げば、後はいいことずくめなのだ。
威力や速度などのバランスが安定し、標的にも一直線で進む。
魔法陣なしで魔法を撃つ方法は魔法陣を頭に思い浮かべることらしい。
そのイメージが繊細であれば繊細であるほど魔法の威力やバランス、射程距離が伸びると言うわけだ。
魔法を撃つのに重要なのは集中力と、魔法のイメージと魔法陣のイメージなのだ。
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「はい。これば図書カードですよ」
「ありがとございまーす」
図書カードには自分の名前と“シーラン図書館”と書かれたハンコが押してあった。
自分の名前を言っていないのにアキヤの名前が分かったと言うことはメアリーは恐らく“鑑定”スキル持ちなのだろう。
図書館の中の光景にアキヤは目を輝かせそして、同時に喉を鳴らした。本の多さと広さに圧巻したからだ。
アキヤはまず“魔法学”と書かれた看板がある棚へと向かった。
そこには大小様々な色とりどりな本が沢山置いてあった。
嫌、沢山なんてそんな生易しいものではない。そこには、無限に等しい数の本が並べられていた。
「どっ……どれがええんかな……」
アキヤは多すぎる本の数に一瞬めまいがしそうになった。そして、何を選べばいいのかもわからなかった。
「どんな本を探しているの?」
不意に右のほうからそんな声がした。
視線をそちらに向けると、そこには約20代……正確には25か26歳の女性がこちらの方を見ていた。
黄色い髪色のサラっサラの髪の毛が腰回りまで伸びている。まつげは長く眉毛は細い。唇は赤くなっていて、肌も白い。胸の方も相当あるようだ。
まるで、映画スターのような女性がこちらに話しかけていた。
「とにかく初心者向けのが欲しいです」
不意打ちにも同時にない。それがアキヤだ。
話しかけられたら素早く対応をする。相手に合う言葉を返す。そんな事はいつものことなのだ。
「それじゃあ、この本がいいわね。この本なら初心者向けの魔法や魔法陣が載ってるし、説明も初心者向けにされてあるからおすすめよ」
そう言いながら女性は棚の中央辺りから、緑色の分厚い本を取り出した。棚の中央辺り……といっても棚が物凄く高いので台を使わないと届かなかった。
そして手にした緑色の本をこちらに渡してきた。
「はい。この本よ、ここで見るならあっちのテーブルに行った方が良いし、借りるんなら、あそこの受付まで行ってね」
「ご丁寧にありがとうございます。少し、お名前をお聞きしても良いでしょうか?」
アキヤは一度会った人印象の強い人物は出来る限り覚えておくことにしている。ナンパのように見えるかもしれないが、ナンパではない。ナンパではない。。。
「あらっ、礼儀がいいわね。
私はミリィよ。またいつか会ったら気軽に声をかけてね」
「分かりましたミリィさん。ところでミリィさんは本がお好きなのですか?」
「ええ、本は大好き。特に魔法学とか武道学とかが好きな」
「結構過激派なんですね」
「私の両親がどっちとも冒険者でね、夫も冒険者だから私も興味があって、それで週に2、3回はここに来て、魔法とかの勉強をしているの」
という事はミリィさんも冒険者なのか?そんな疑問が浮かび上がったのですぐさま聞いて見る。
実は2人とも、話し合いながらすでに図書館の中にあるテーブルに座って喋っている。長くなると予想したのか。あるいはもっと話したいからなのか……
「ミリィさんは冒険者にはならないんですか?」
「えぇ、まぁね。私、運動はあまり得意じゃないし、魔法も、覚えるのは苦手だしね…」
「そうですか」
ミリィの言葉にほんの少しだけ“悔しさ”が混じっているのをアキヤは聞き逃さなかった。恐らく、力がない自分に悔しさを抱いているんだろう。
「それじゃあ。今日はありがとうございました。また会えるといいですね」
「えぇ、楽しいひと時をありがとうね。よくここにいるから気軽に声をかけてちょうだい」
「では。失礼しました」
と言いながらアキヤは一礼した。それに合わせてミリィも手を振って来る。その姿を見てアキヤはにっこりと歯を出して笑うとミリィに背を向けた。
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