第24話 〜別行動〈ナツミ〉3〜
ナツミの回をここで終わらせたいがために、4,000文字になってしまった…………これが長いか短いかと感じるのは読者の皆様の自由ですが。僕からすれば、書いているときは長いと感じますが、読んだら短いと思います w
「えーっと……これ、どういう状況ですか?」
空気は読めるが、人の感情を読み取ることは苦手なナツミは、この状況の意味が半分は分かっているが、もう半分がわからないという状況が続いていた。
(私がしたことがすごいっていうのはわかるけど、どれくらいすごいのかな)
“すごい”といっても色々で、単なるお世辞にすぎない時もあれば、本心から強く思っている時もある。
恐らく物凄いことをしたのと、規格外の事をしたのだけはなんとか分かった。それはティーナの顔を見れば一目瞭然だった。
まるで、““世界一硬いと言われている岩をグーパンチで砕いた人””を見るかの様な目だ。
「とっ、とにかく…ギルドマスターのところへ行きましょう……」
「……はい」
ようやくまともに喋ったティーナからの呼び出し要請。これには流石のナツミも受けるしかなく、軽い足取り……ではなく、重い足取りでフィールドを後にし、ギルドマスター室へと向かった。来たのは二度目だ。
普通。ギルドマスター室への立ち入りはほぼほぼ禁止されていて、ただのDクラス冒険者には絶対に入らない“王の寝室”とされていた。
それが、冒険者になりたての未成年が2回訪れたとなれば、プチパニック発生と同時に、鋭い…冷たい視線が飛び交う事だろう。
「コンコン……ギルドマスター少しお話があります」
「ん……なんだね?」
「実は、昨日きた4人兄弟の1人のナツミさんが……その、、、フィッ………フィールドを、壊してしまい……」
「ブフッ…ゲホッゲホッゲホッ……」
扉の向こうで何やらむせたかの様な音が聞こえた。恐らくコーヒーか何かを口に含んでいたのだろう。
それにしても、それほど規格外の事をしたのか。と、ナツミは少し不安になった。心拍数が少しずつ、少しずつ上がっていくのが分かった。
「とっ……とにかく入りたまえ」
「失礼します……」
「……しっ、失礼しまーす……」
ティーナに続いてナツミもギルドマスター室へと入った。内装や机に置いてある資料の様子は前来た時とさほど変わっていなかった。
ナツミとティーナは恐らくお客様用と思われるソファーに腰掛けた。ふわっと高級感のある柔らかさが下半身を包み込んだ。存在感を放たないためか、部屋の色に合わせたのか、色は地味な茶色だ。
「そっ……それで、フィールドを壊したという話は本当なんだな?」
「はい……この目で見ない限りは、絶対に信じません。しかし、この目で見てしまった以上信じるしかないです……」
「そっ、そうか……なら信じよう。して、ナツミ殿よ、単刀直入に聞くが、一体何をした?」
「そっ…それは、、、」
そこまではっきりと言われれば、言葉も詰まってしまう。ギルドマスター‘ハツ’が、ど直球で、質問して来たのでナツミが答えるのに少し間が空いた。
「これを使ったんです」
そうして、ナツミは腰に巻いていたお手製ウエストバッグの中からレールガン……名前を“ヴァニッシュ”と名付けた。
とにかくそれを手に取りティーナとハツに見せた。
「この穴から、マナをギリギリまで圧縮させたものをレーザーとして放ちます」
「そっ、そんなことが可能なのか?」
ハツが興味津々に聞いてくる。ティーナも集中してこちらを見ている。
「はい。私が持っているスキルを使えば簡単です。私のスキルの名前は“操り人形”と言います」
「ああ、この前来た時に拝見したよ」
この前とは、先日の事だろう。その時ハツは“鑑定”というスキルを使っていたのだ。
「“操り人形”というスキルは物体に記憶型動作を植え付けることができるスキルです。例えばそうですね……」
と言い、ナツミはそばにあったライトに手を当てながらスキルを発動した
「プログラミング
発動条件。【パスワードの発言】
パスワード設定。【パスワード“ライト”】
発動動作内容。【電源のON OFF】
停止条件。【パスワードの発言】
プログラミング終了」
そう言い終わると、ナツミの周りを囲っていたライトエフェクトが消え、また暗い部屋に戻った。
「これで完了です」
「何が変わったのかね?別に異変はないが…」
と、お決まり?の様な発言をしたハツ。ナツミは内心少し笑っていた。
「見ていてください。
ライト ON!!!」
するとハツの隣にあったライトが明るく光り輝いた。
「おおっ!これはすごい。これは私にもできるのか?」
「今回は使用者を設定していませんので使えますよ。使うときは必ず“ライト”と言ってください」
「ふふっ、それくらい分かっておる」
と、何やら自慢げに話すハツ。ティーナもワクワクしている様子だ。体が左右に揺れている。
「これでおぬしの凄さが分かったわい。それはとにかく、おぬしに今回したことのすごさを教えてやろう。おぬしが壊した観客席には結界石が埋め込まれているのはしっておるな」
「はい。ティーナから聞きました」
「うむ。その結界石は国からの支給品でのぉ、王国の騎士団が特訓する特訓施設にも使われておる石なのじゃ。その特訓施設が壊れたという情報はここ最近……少なくとも30年は聞いておらん。そもそも魔法を打とうが物理攻撃で攻撃しようが、結界石の前では衝撃を吸収されてしまうからのぉ」
ここまで来て何となくハツが言いたいことが何となく分かって来た。
つまり…………
「つまり………今の私の実力は…この“ヴァニッシュ”のパワーは少なくとも、ここ30年の間の王国騎士よりもうえということですか?」
「ああ。そういうことになるのぉ。それに、このギルドの観客席が壊れたという記録は残っておらんのじゃ。壊すことは可能だが、それができるのは神級魔法のみじゃろう」
「ハッ……ハハッッ………」
ナツミは苦笑いするしかなかった。今の……異世界にきて2日目の高校一年生が王国に仕える騎士よりも格上と言われれば苦笑いするしかないのかもしれないが……
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「はぁ〜……」
ナツミは部屋の中で1人、ため息をついた。
もちろん理由はギルドマスター ハツ から聞いた言葉だ。
ナツミは腕を頭の後ろで組んで、貧乏ゆすりを始めた。目線が少し上に上がっているので、何か考えているのだ。
「王国騎士よりも強い、ねぇ〜……まさか私が作った“ヴァニッシュ”がそこまで評価されるとはねぇ……」
ナツミは、この世界には魔法があるからちょっとパワーを強めに作っても不自然じゃないだろう。と考えていたのだ。
勿論。出力のLVをMAXにしたのも悪言っちゃあ悪いのだが……
少なくとも、ナツミにしてはこの事件?は衝撃的だったのは間違いない。
だからって“ヴァニッシュ”を弱体化しようものとはこれっぽっちも考えていない。
いくら王国騎士よりもうえと言われても上には上がある。強いに越したことはない。ただし、普通に使うときにはLVは50くらいでいいと考えた。
「ちょっとだけ頑張っておくか」
そしてナツミは、次の武器を作ろうとしていた。
次に作るのはどっちかというと武器ではなく機械だ。
これから作ろうとしているのはスキルを持ってしても丸一日は掛かる。異世界に来た時からこれを作ることはナツミの中では決まっていた。ここまでのプランは上々。次のプランに移るための準備を今からするのだ。
異世界に来てまずいるのは武器。武器を使った後に必要となるのが仲間。仲間というのはハルトやアキヤの事じゃない。自分のパートナー……いや、召使いのようなパートナー。自分の言ったことを素直に聞いて、実行する。自分が意見を求めれば的確な意見を返してくれる。そんなパートナーが欲しいのだ。
だからハルトやアキヤではないのだ。
となると、異世界に行ってそんな人を探す?
嫌、可能性はなくもないがほぼ無理だ。異世界に行って自分の言いなりになってくれるような人間を探す……そんな的のちっさなことを異世界に来てまでしたくは無いのだ。それに、自分自身コミュニケーション能力には自信がない……
もし、この世界の人々の中からそんな人間を探そうとしても、出来るのは対等に話せる友達だけだ……
つまり、なにが言いたいかというと、元々できているの中から、条件にあった人を探すのでは無く、自分が条件にあった人を創るのだ。
そう。今からナツミが創ろうとしているのは人間だ……
勿論、人間を細胞から何まで創り出すのは難しい。ナツミもそんなことはしようとしていない。つまり、ロボットを作るのだ。
人工知能プログラム型ロボット。それを創るのだ。
幸いにもこの世界の鉱物などは色々な効果を持っているものが多い。例えば“結界石”。結界石を埋め込めば、いつでも……常時バリアを張れる。そもそもマナストーンを埋め込むのも有りだ。
とにかくナツミは後日市場に行き、鉱物を買うつもりだ。
ショーランの街の市場は有名らしい。品揃えが良く、安い。山の幸から海の幸まで、武器や家具まで様々だ。
なので、明日の予定は決まっている。鉱物を取り扱っている店に行って、とりあえず性能を見て、そこから買うか決める。そのため、どんな鉱物があればどうするかなどを考えておく。
今はそのための時間なのだ。
「よしっ!」
ナツミは紙を取り出し、箇条書きに考えたことをスラスラと書いて行った。その後に、全体の構図を考える。身長。頭身。腕の長さから指の長さ。様々な対処を考えて考案していく。絵には自信があるので、それなりにスタイルがいい人型が出来上がった。手や足からは線が伸びてあり、その先にどんな鉱物を取り付けたいかなどを細かく書いてある。
勿論。その鉱物が無ければ全てやり直し。しかし、ナツミは失敗を恐れない。必ず成功する。そう信じていた。
それから30分か1時間かそのくらい経ってからドアの方から「コンコン」という音がした。
ブクマおね★




