第19話 〜依頼終了〜
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「レンブラント魔法学園?」
アキヤはそう聞き返したのだが、少女の顔はまるで、『信じられない!』といったところだ。
「えっ、ご存知ありませんか?」
「知らないなぁそんな学園」
「あぁ、そいつら4人は超がつくほど田舎もんでな、魔法の使い方すら知らない連中だ」
「…ほっ、本当ですか……それは失礼しました」
少女が頭を下げて謝った。相当礼儀が良い子なのだろう。
「頭をあげて。それで、君の名前は?それとこの人達とあの馬車は?」
少女の顔が暗くなるのがわかった。みんなの視線が一点に絞られる。
そして、その表情を見る限り、この人達は赤の他人というわけでもなさそうだ。不穏な空気がアキヤたち5人を襲う。それほどまでに、事態は深刻だと捉えられる。
「私は……“フィリア・アメジスト”と言います。そして……アメジスト家の次女です」
「アメジスト家?」
アキヤはそう聞き返した。そして……またもやフィリアの顔には『信じられない』と書いていた。
そして、ガンバの顔には『嘘だろ!?』という風に書いていた。実に表情豊かだ。
「アメジスト家って結構有名なのか?」
「ゆっ、有名も何も男爵家だぞ。確かこの先の街“リュンクル”の領主だったと思うぞ」
“リュンクル”というのはここ、ショーランからおよそおよそ3つほど離れた場所に位置する街だ。
ここからだと徒歩で約1ヶ月ほど、馬車だと一週間ほどかかると思われる
「ええそうです。リュンクルは、父上がまとめ上げる街となります」
「フィリアってお嬢様だったんだ」
「はい。それで……この人達は、私の護衛で…私を逃げ出そうとして、あのオークに……」
フィリアの目から大粒の涙が出た。
しかし、そうなれば疑問がいくつか湧いてきた。アキヤはその疑問を真正面からぶつかることにした。
「悲しいところを悪いけれど、いくつか質問していいか?」
「どっ…どうぞ」
「じゃあ。まず1つ目に、どうしてこんな馬車が通れるか通れないような場所に?」
その疑問は至ってまともな疑問だ。まずここは森の中。それも木や葉っぱが生い茂る場所だ。普通、馬車なら小道などを通るはずなのだ。
「そっ、それは…オークたちから逃げている間にここへ……」
「ふーん…」
少し動揺しているが、別に怪しくもない。
しかし、アキヤの目からは逃れられなかった。
今の発言は、嘘だ。しかし、あえてそのことは言わなかった。取り敢えず今は次の疑問をフィリアに投げかけることにした。
「次の質問だけど、その前に。 おいガンバ」
「なっ、なんだよ」
「このオークソードマンってのはどれくらいの強さなんだ?」
「えーっと、確かオークソードマン一体ならCランクの冒険者が普通で倒せるくらいだな。もちろん、油断は禁物だが」
「それじゃあ、オークソードマン五体の場合は?」
「五体のもいりゃああっちも多少連携は取ってくるだろうからなぁ。Cランクの冒険者が4人居ればまぁ、最悪1人負傷者が出ても倒せる相手だろう。
まぁでも、Aランクの冒険者だったら1人で相手できるほどだ」
(つまりガンバはあの数のオークソードマンを相手に出来るということだ。
まぁそんなことは良い。俺が疑問に思っていることは……)
「フィリア。君が襲われた時、オークソードマンは何体いたんだい?」
「えっ……と。えー、六体だっだと思います。馬車にいたので数はあまり把握できていないです」
「ふーん」
またフィリアが嘘をついた。今度は数を誤魔化した。それと、馬車に乗っていたから数がわからなかったというのも嘘だ。
「それじゃあ次の質問だ。オークソードマンの強さは平均的な冒険者が倒せるくらいの相手。そして、フィリアの護衛の数は4人。フィリアを襲ったオークソードマンの数は三体。男爵家の娘の護衛が平均的な冒険者のレベルよりも下……これっておかしくないかな?」
「ちょっ!待ってください!私の護衛は平均よりも強さは上だし、第一にオークソードマンの数は六体言いました」
「うん。君はそういったね。でもそれは嘘だ」
「何故、そう言い切れるのですか!?」
「何故…そうだな。それは俺がそう思ったからだよ」
「なっ!?」
アキヤの自信。それは自分自身とことん信じているから出てくる自信である。
【自分を信じる】
と書いて自信。
当たり前だが、その当たり前をアキヤはそつなくこなしているのだ。
「取り敢えず、これまでのフィリアの発言。嘘をついている箇所が何箇所もあるんだけど、どうしたかな?」
「そ…それは、、、」
フィリアの顔が暗く沈んでいった。かわいそう。と思う人はこの中にガンバくらいだろう。ガンバ以外は事の行く先を見守っている。
「はい。私を嘘をついていました」
「どうして?」
「それは……申し訳ありませんが、言えません」
「………分かった」
「!?良いのですか?」
「まあ、俺が本気でそう思ったら質問を繰り返してあぶり出すだけだし」
そう言いアキヤは後ろを向いて手を頭の後ろに置いて、ハルトたちのほうへと歩いていった。
アキヤはこのことに興味が無いわけではない。むしろ大有りだ。しかし、アキヤは今あぶりださなくても自分から言う時が来るのを分かっていた。
「取り敢えず。自体の後片付けとか馬車とかは私たちに任せて、今は街へ行きましょ」
「……はい」
ナツミがフィリアに向かってそういったが、フィリアの顔は暗いままだ。当たり前だ。フィリアは騙していたのだ、ハルトたちを。それを目の前でアキヤにバレたのだ。心は重く沈みきっていた。騙した罪悪感と、恐らく個人の事情が一緒になってフィリアに乗っかっているのだろう。
「んじゃあ、後片付けも済んだし、取り敢えず戻るか」
こんな時にその場を引っ張るのはハルトと決まっている。ハルトはただの戦闘狂……戦闘バカではない。時には長男らしく、その場を引っ張るリーダーでもあるのだ。
街へ向かって歩いていく途中にも時折、魔物とは出くわしたのだが、すでに身体に染み付いた暗殺術で5秒も経たずに敵を倒していった。まだ一人前とは言えないが、そのキレと隠蔽術は日本で本業にしても何ら問題ないものだった。
しかし、いくらアキヤともいえど、人を殺したことがある訳ではない。大丈夫だと信じているのだが、万が一…万が一の可能性まで考えなければならない。それに、殺すことができても、人を殺すことに快感を覚えてはならない。そうなればいくら兄弟といえどアキヤを拘束、もしくは殺すしかないかもしれない。
しかし、ハルトは信じている。アキヤがそんなことにはならないという事を……長年積み上げてきた兄弟の絆というのはこんなものでなないのだ。ハルトからすればこんなことは机上の空論でしか無いのだ。
丁度おやつの時間位に、6人はショーランに戻ってきた。
フィリアも一応冒険者なのか、ギルドカードを持っていたのですんなり街へ入れた。門番が名前を見て驚いていたのは言うまでもなく……
「取り敢えずここら辺でいいか?」
「はい!今日は助けていただいてありがとうございました」
「レンブラント学園……どこにあるの?」
「おっ?興味持ったのか?」
フユカがレンブラント学園に興味を持ったのは恐らく魔法のことについて色々知りたいからだろう。
「それならあちらに見える城の反対側に有りますので、来て見ては?」
「今から行く」
フユカは行く気満々らしい。ここまで興味を持つことは珍しい。
そしてこの街、ショーランは普通の街より少し大きく、マーキュリー大陸の中にある、“シェル大国”の中の街の1つで、“中央都市シェル”の次に大きい街だ。
「それでは!」
5人はフィリアと別れた後、依頼の戦利品返すために5人はギルドへと寄った。
丁度3時ごろだからか、いつもの雑音が全く聞こえなかった。
「いらっしゃい!」
ティーナの幼いような高い声がギルド内を響かせる。いつもの騒がしさが嘘のようだ。
「ちゃんと依頼を終わらして来たぞ」
「まぁ、失敗しないとは思わなかったですけど……」
「まぁな、簡単だったぞ」
そうして、ナツミが空間魔法で……ではなく、【創造( スキル )】で自ら創ったスキル、【無限収納】から、オークのマナストーンと、ゴブリンソードマンのマナストーンと持っていた剣をカウンターに置いた。若干、ゴブリンソードマンの方が良く光り輝いていた。
「。。。オークのマナストーン29個と、オークソードマンのマナストーンが3つ、オークソードマンの剣が3つ……合計で490000ラドとなります」
「うおっ、すげーな」
ハルトは普通に驚いていた。日本にいた頃にもこれの10倍ほどの金額は常時貰っていたのだが……
「そのうち2割はギルドに寄付させてもらいます」
「ああ」
こうして4人は無事、441000ラドという中途半端な金額を手に入れたのだ。
4人は必要最低限な額のみ各自に持ち、それ以外の大金はナツミの【無限収納】に預けることにした。
「よしっ!次の依頼は何にしようかな!」
「またすんのかよ、大体は1週間に1回とかそれくらいのペースで受けるもんなんだけどな、まぁ討伐依頼に限りな」
「あのお兄ちゃん、ちょっと私作りたいものがあるから少し部屋にこもっていい?」
「私も……今から行く」
「分かった。じゃあ、みんなそれぞれ別行動でいいな」
「「「はーい」」」
こうして4人は別行動をとる事となったのだ。
「んでガンバはどうすんだ?」
「……………………」




