第2話 〜神様〜
おっす!今日から3日に一回くらいのペースで0時に投稿していきます!学生ですのであんまり時間ない…………
ストックが無くなったらちょっとペースが遅くなるかも……
みなさんが応援してくれたら続くよ〜!!!
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「おーい、聞こえてるかなー?」
「「「「!?」」」」
4人がいるリビングにどこかから男子小学生のような声が聞こえてくる。この家は防音になってあるので、内側からも外側からも音は聞こえてくることは無いのだ。
それに聞こえたのはいわば空中聞こえてくるはずのない声が聞こえてくるはずのない場所から聞こえて来たのだ。4人の表情がひきつる。
その表情を見て安心したかの様にその声の主は話を続けた。
「おっ、聞こえているね。それじゃあまずは自己紹介をするねー。僕の名前は“シロエル”151代目の神様だよー」
すると突然何もなかった空中に綺麗な銀色の髪の毛に白色のシルクハットを被ったマジシャンのような男の子が出てきた。ただし、浮いている。空中に浮いているのだ。
「……神様?」
「そうだよー、びっくりしたー?」
シロエル……自称神様はにっこりと笑うと4人を見渡した。
静寂が包む中、秋也が口を開いた。
「おい。自称神様さん、質問いいかー?」
「どーぞー」
「お前は本当に神様なのか?」
誰しもいきなり目の前に自称神様が出てきたら信じれるわけがない。まずは嘘なのが本当なのか聞くのが普通の判断なのだろう。
「んー。そもそも浮いているのが何よりの証拠かな?あっ、マジックとかじゃないよ」
「……そーかよ」
「…秋也…どうだった?……あいつ」
ハルトが小さな声で訪ねた。バレてはいけないということは無いのだが、そんな気まずい様な……圧倒的な圧力がかかっている。そんな雰囲気になっていたのだ。
「とりあえず、あいつは嘘をついていなかった……それに、あいつは隙がない。隙がないっていうのは物理的な意味じゃなくて……とにかくあいつには隙がない。それにあいつの声、発音、声の鋭さ、全てが威圧感を放っている。俺にできるのは嘘を見破ることだけだ。それに、それが当たっている自身もねぇ」
(!?秋也がここまで言うとは…………)
ハルトは心の底から驚いた。秋也のこんな発言は、これまでの人生で一度も聞いたことがなかったのだ。常に自分の発言に自信を持っている姿とは大違いだ。
「お話は終わったかなー?それじゃあまずはこれからのことを説明するよー。まず君たちには、2代目様が作った違う世界に行ってもらいまーす」
「2代目様って……2代目の神様ってこと?」
質問したのは夏美だ。しかし、目の奥にはまだ不安と恐怖の感情が眠っている様子だった。
「そーだよー。神様だよー」
「違う世界ってどんなとこだ?」
今度質問したのは秋也だ。その姿はさっきの自信のない姿では無かった。
「異世界?と言ったほうがいいかな?」
「もしかして、その異世界だったら魔法が使えるのか?」
“異世界”という言葉に反応したのは春斗だった。
春斗はにわかオタク程度の知識だが、やはり魔法というのはロマンだ。戦闘に明け暮れていた日々。自分を癒してくれていたのはアニメやゲームだった。
現実からかけ離れた世界に心を惹かれていたのだ。
「せいかーい! それに地球の神様が作ったんだからお金、曜日、言語、文字なども同じだよ。お金に関しては単位が違うらしいけどね……」
「質問していいか?」
秋也が鋭い目でそう言った。
「…どうぞー」
シロエルは少しびびったのか、何か思う事があるのか、少し言葉を返すのに間が空いていた。
「俺たちを連れて行く目的は?」
「君たちを招待するためです」
「どうして?」
「あなたたちには その世界に楽しんでもらいたいのです!」
「本当に?」
「本当に!」
「……そうか」
「……」
秋也は何やら分かった事があるのか少し口がつり上がった。その表情を見て春斗は秋也が何かに気づいたんだと察した。
「秋也、何かわかったのか?」
「あぁ、おそらくだが嘘をついている。いつもなら自信があるんだが、今回はな……」
「そうか……」
シロエルに聞こえないくらいの小さな音量で2人は会話した。相手は自称とはいえ、神様なのだから、聞こえている可能性もあるが……
「シロエル」
「なーにー?」
「嘘ついてるな」
ど直球にそう質問した。流石のシロエルも言葉が出るのに時間がかかった。
「……どーしてー?」
「確信はできないが、最初に聞いた声よりも、最後らへんの声の方が若干声のトーンが低かったんでな」
「それだけ〜?」
「それだけだ」
秋也が自信たっぷりにそう言った。その言葉を聞いてシロエルもニヤリと笑った」
「フフッ、なるほどね〜。流石、僕が選んだだけの事はあるねぇ」
「んじゃ、本当の事を話してもらってもいいか?」
「実はね〜、その国の王様が君たちを招待してーーー」
「嘘をつくな」
次は少し強めにそう言った。シロエルも今度は間が空いているだけでなく、少し……いや、物凄くおどおどしている。
「お前、最初と比べて焦ってるだろ、話すスピードがさっきと違うからすぐ嘘だってわかるさ。んで、お前は本当の事を言わないんだな……」
「流石……だね…」
「そーかー、君は神様になりたてなんだなぁ」
秋也は挑発気味に言い、相手の表情を伺った。いつも…常日頃からしてきた事だ。このくらいはお茶の子さいさいだ。
「ちっ、ちがーう!」
シロエルの声がリビングに響いた。もしこの家が防音じゃ無かったら、近所迷惑だったところだ。それにさっきまでの神の威厳はどこに言ったのかと言うくらい、今のシロエルは子どもだ。
「それにしちゃ〜、随分と焦ってるなぁ?」
「……分かったから。ちゃんと話すから」
「そうしてくれ」
ずっと浮いていたシロエルはスッと降りてゆっくりと椅子に座った。
足が短いため床に足はついていない。
「実はね、初代神様。初代様と2代目様は兄弟だったんだ。というより同じ時期に宇宙に生まれたんだ。
初代様はまず、地球を作った。2代目は今から行く異世界を作った。いや、名前が確かあったな……『ランド』だ。異世界を作った勢いで2代目は昇天したんだけど、長い間は2代目様の分身のようなものがランドの神様を務めていたんだ。でも、とうとう2代目様の力が消えてしまったんだ。だから今ランドには神様がいない状態なんだ。いや、だったんだ」
『だったんだ』ということは、今はいるということ。その意味を4人はそれぞれ考えた。
そこでシロエルは「ふー」と息を吹き、「ゴクリ」と喉を鳴らした。そして、その緊張感あふれる空間で、シロエルの口が再び動いた。
「神様がいない……そうなったら新しい神様が必要だ。
当然、異世界の神様なんてみんながやりたい仕事に決まっている。異世界の神様に立候補したのは合わせて8人。3代目と34代目と65代目と69代目と102代目と134代目と140代目。そして、ある日事件は起こったんだ。
3代目の神様が勝手に異世界へと繋がる扉……【異世界へと繋がる扉】を開けて、その中へと入ってしまった。そして、【異世界へと繋がる扉】を閉じた。その時間は瞬く間に神界の隅から隅に伝わった。それを聞いた他の立候補していた神様は怒りにまみれて【異世界へと繋がる扉】を開けてしまったんだ。でも、【異世界へと繋がる扉】には呪いがかかっていたんだ。それも、何故か初代様と2代目様の作った呪いが……その呪いっていうのが【神】【天使】【女神】を【崩壊神】にさせてしまう呪いが……」
「なあ、神様って死ぬのか?」
1つの段落がきたと感じた秋也はシロエルに話の途中にできた疑問をぶつけた。
「死ぬ神様もいるよ、初代様と2代目様は世界を作った事でもう死んでいるし、大震災や、大きな革命を起こした代の神様は昇天するようになっている。ただ、みんな長生きしたいし、生きてたらもう1回神様をやるチャンスがあるからね。代が変わった神様は【天使】と呼ばれるようになる」
「なるほどな……」
「それで、他の立候補した神様たちは呪いにかかって、それぞれ【月ノ神】【火ノ神】【水ノ神】【木ノ神】【金ノ神】【土ノ神】【日ノ神】という【崩壊神】になってしまったんだ……」