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はじまり

序章

 ここは人間の大陸、遥か昔の神代。

神が世界を治めていたころ、魔界の門が開き魔性の者たちがこの世界へ侵略を開始した。

神と神の側の存在である神陣営対魔性の者の間で戦争が起きた。

神陣営は魔性の者たちを見事打ち倒したが、大陸は大きく変わってしまった。

魔界の門を閉じるため大陸の中央は山脈が生れ、人々は「西の国」と「東の国」に分かれて暮らすこととなる。

                                      大陸創世神話 概略


「ほら約束の金だよ。」

酒場の親父は銀貨の詰まった袋を男に手渡す。男は素早く袋を取ると、袋から銀貨を取り出し大雑把に数える。

「おい親父、約束の枚数よりも足りないぞ。どういうことだ。」

「何がどういうことだ、だよ。ぶっ壊した椅子と机の損害費を忘れてねぇか?盗んだ酒も見逃しちゃいないぞ。むしろそれだけもらてんだ、ありがたく思え、馬鹿野郎。なにが用心棒だ、壊し屋って名乗ったほうが正確だよ。」

 用心棒として酒場の喧嘩が大事になるのを防ぐためにやとわれていた男。しかし喧嘩が始まると止めるどころか乱入し喧嘩の当事者2人を拳で両成敗。その際当事者を吹き飛ばし酒場の椅子や机を破損させ、ひと段落がついた時点でこっそりと酒を拝借した。それは紛れもない事実で言い訳のしようがないものだった。

 男は言い訳をしばらく考えたが、無駄だと悟った。

「へいへい毎度あり、またよろしくお願いしますよ。」

残念そうな声を漏らす男だったが、その顔はあきらめのついた顔をしていた。

「分かればいいんだ、またよろしく頼むぞ、シグード。」

 男の名はシグード、日雇いの仕事で日銭を稼ぐ放浪者。放浪者とは決まった土地に定住しない者たちの総称であり、どんな仕事をするかは人それぞれである。そして彼の腕っぷしはよく、その身体能力を活かし酒場の用心棒としてはそれなりの知名度である。そんな彼は手癖の悪さもあり、用心棒として雇われたにもかかわらず、店の酒が一、二本”行方不明”になることがあるので酒場の店主にはいつも見張られている、それでも雇う者が減ることがないのは彼にそれに見合う実力があるからだろう。

「おい、シグード。」深夜、酒場を出て、酔っ払いの喧騒が響く町を歩く中、後ろから何者かに声をかけられるシグード。振り向くとそこにはシグードの知った顔があった。

「オリィヴェか、こんなとこで会うなんてな、何か用があるのか?」

オリィヴェ、シグードの古くからの友で、シグードと同じ放浪者。シグードほどではないが腕前が良く、手癖も悪くないので人気があり、また人付き合いもよくどの土地に行っても大抵知り合いがいる顔の広い人物である。

「仕事終わりだろ?これから一杯どうだ?」

ジェスチャーをしながら誘うオリィヴェ。

「魅力的な誘いだが遠慮するよ、夜も遅いし、何より懐が寒くてな。」

拝借した酒で我慢しようとするシグード。

「そんなこと言わずにな、少しなら払ってやるから。それに大口の仕事があるんだよ。」

「大口の仕事ねぇ。」

オリィヴェの言葉を聞き口元を緩ませながらつぶやくシグード。

「ああ、大口の仕事だ、だが酒は多くとも二瓶だけだぞ。」

それに対して顔をしかめながら承諾するシグード。そして二人は酒場へと向かった。

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