第1章、向こう側の世界
更新が遅れて誠に申し訳ございません。って、誰も見てませんか笑
「ごめん、俺は泣かないよ。絶対に」
だって今、男で仕切れるのは俺しか居ないと思うから。みんな男女泣きそうになっている。泣いてる奴もいる。まだ意味不明なその世界に行ってもないのに。
けど、それが人間だ。そんなの誰もが恐怖を持つに決まってる。だって仕切ってる俺でも手が震えてるし足もガクガクで立ってられない。男なのにキモって思うかもしれないけどみんなみたいに泣きそうになるかもしれない。
ーーけど、まだだ
まだ俺は泣いちゃダメだ、俺が泣いたりしたらクラスが崩壊寸前までもしかしたら行くかもしれない。まだ確信の保証が全然ない世界に連れて行かれるかもという恐怖心でクラスが崩壊するかもしれない。
勿論、普通だったらこんな恐怖にはならないだろう。
けど俺たちは、何でここまでみんな恐怖で覆われているということは知ってる。殺されたから。人が殺されたから。
そんな手紙の主が言ってた通りの同じ事になるとは誰一人思わなかったんじゃないか?俺だってきっとこんな事件無視するはずだ。けど、その人は本当に殺された。殺されかけたじゃなくて殺された。
…そんなのを全員が見てこのニュースの出来事を信じないわけがない。
何で俺は、今日見てなかった?多分今までで1番自分たちに関わるニュースなのに。俺、そういうの運が悪いよな。でも俺はそうしたとしても、守る。クラスの全員を守る。だからみんな、俺を信じてくれ。
✴︎
今日は直ぐに帰宅だった。理由は勿論教師の緊急会議のせいで。俺はもっとみんなに伝えたい事があったのに、あのせいで言えなかった。でも1番言いたかった事はあいつらに言えた…俺が絶対にお前らを守るって事を。それだけ言えただけ良かったと思う。
「高瀬っ!」
「…えっ?」
そんな俺の考えを無理やり遮った誰か…ってもうそんな事は分かってる。俺は後ろからの呼び出しに仕方なく応じる事にした。
「どうした、有村?」
「ちょっと待ってよ!アンタ、歩くの速い!もしかして私に追いつかれないようにワザと走ってたりしてた?」
「はぁ?何言ってんの?俺、君に呼ばれるまで有村がいること知らなかったんだぞ?そんな事出来るはずないだろ」
「どうだか」
「有村、もうちょっと口直したらどうだ?そんな事してたら友達に嫌われるぞ」
「うっさいバーカ!高瀬に言われたくない!」
俺の背中にはドンッ!という何か四角いもので思い切り叩かれ、ものすごい痛さが俺の背中中に響き渡る。
「それとその乱暴をするのを止めろ!」
「残念高瀬、これはアンタにしかしてない」
別に残念もないと俺は思うけど、これ以上言ったら本当に怒られるので口に出そうな言葉を必死に抑え込むと段々俺もさっきまでピリピリしていた気持ちも消え、前に歩き出す。
「有村ってさ、この事件が始まってからからヤケに突っかかって来ないか?」
「しょうがないでしょ、アンタ一人だとクラス全員任せられないそうだし」
「そうは言ってるけど有村、お前あのニュースが放送されてから何かしてたっけ?」
俺と7センチほど背が低い有村にそう問う。
返答はない。一言も。
問いかける時に一瞬肩をピクッとしただけで顔を伏せたまま。しーんとした状態に、セクハラかもしれないが俺は思わず有村の体を見てしまった。
言いたくはないが、有村は美人だった。物凄く。
もしかすると学年一可愛いのではないかと俺は思う。ただ俺が女子に目をあまり向けないから知らないだけでもしれないが。でも有村が本当の美人だって事はこの俺でも丸わかりだ。体型はスラッと長く、出るところはしっかりと出ているし何よりも長身。165センチ以上はあるだろうか?腕も長くて細く、それに爪も綺麗という完璧差だ。後は性格だけ直してくれれば文句は無いんだけどな…長い黒髪も絶対サラサラしてるだろうな。しばらく見つめていたが、これ以上見てたらまた文句を言われそうなので少し名残惜しいが前を向く。当然まだ会話は無かったが、さっきまでの息苦しさなど有村の体を見て完全に忘れてしまったので会話を見つけることにする。だが、その前に有村に先を取られてしまった。
「じゃあ私、こっちだから」
「えっ?あ、分かった。一人で大丈夫か?」
「何?怖かったら送るよって言いたいわけ?私、そういうのは受け付けてないわよ?」
「ああ、俺も今その気持ちが無くなった。良かったな?」
「めちゃくちゃ嬉しい!」
何だかんだ腹立つなこの人…?
同級生だから遠慮しないのは分かるけど、ここまで失礼な言葉を言っていいもんなのかは分かるはずがないし何でここまで笑顔なのか分からない。
俺は苦笑いをすると有村に背中を向けて帰ろうとしたが、手を引っ張られる。
「ちょっ、痛いって!」
「少し話を聞いて!アンタ、本当にこの事件起こると思ってる?」
まだまだ初心者ですが頑張っていきたいと思います。どうか最後までお付き合い下さい。