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プロローグ

こんにちは、こんばんは。

今回の作品は自信がある、ないのどちらもある作品なのでどうか温かい目で見て下さると嬉しいです。

ー2016ー


この年で、めでたく俺は高校三年生になった。

もう少しで受験だしゆっくりしていこうと決めたはずだった。ゆっくりと彼女も作っていこうと決めていたはずだった。


…あんな事は誰も想像出来るはずがない。

あの絶対にありえない世界の事を。あの世界は誰かの手によって作られたという事を。そこに…俺たちが巻き込まれたという事も。

そんな事は、今の俺には想像なんか出来るはずがなかった。



✴︎



今更だが、俺は生きている。

生きているけど、死んでいるとも言える。そんな状況に俺は巻き込まれてしまって、どうする事も出来ない役立たず。

すべてはあの日からだった。




「へぇ。って事は、有村の将来の夢は声優なのか」

「一応、ね?高瀬は?なりたいのってあるの?」

「俺にも聞くのか?」


それはどうしようもなく困り果てたな…正直言って有村に言う将来の夢では無い。適当にはぐらかそうかとも思ったが、この人は俺に正直に将来の夢を言ってくれたんだ。それで俺が言わないってのも何だか悪いので正直に言うことにする。


「恥ずかしいし将来の夢じゃないと思うけどいいか?」

「うん、教えて教えて!」

「分かった、実は俺この世界を調べてみたいんだ」

「ごめん、どういう意味?」


やっぱり説明するのは難しいかな。

これ以上はもういいだろう。言ったとしても有村は?マークを頭の上に乗せるだけだ。

少しだけこの興味津々な顔を裏切ってしまうのかと思ってしまうが、これ以上聞いても意味がないのであまり有村の顔を見ないことにする。


「これ以上は言えない」

「え〜!?ちょっと、教えなさいよ!」

「お前も夢を言っただけで、なりたい理由は言ってないだろ?」

「そうだけど!じゃあ今から教えるから!」

「それは俺も聞きたいけど残念だな。もう少しでチャイムが鳴る」


俺は放送が鳴る所を指差して椅子から立ち上がる。

何たって今俺たちが居るのは図書室だ、チャイムが鳴ってから教室に行くとなったら遅刻してしまう。

だったら何で居るんだよってなるが、それは全部有村が本を借りたいから付いてきてほしいと言ったからだ。何で俺を選んだかっていうと、前の時間は移動教室だった為、たまたま俺が早くに教室を戻ってきていたから誘っただけ。流石に俺の事情も考えてほしいが、多分一人で行ったらこの人友達いないのかな?って思われるのが嫌なんだろうな。せめて男の俺を連れて行こうと考えたのだろう。


「チャイム鳴るの早すぎよ…じゃあ高瀬、今度聞かせてね?私いつまで経っても覚えてるから!」

「そんな理由くらいで?聞いてもつまらないんだから忘れろよ?」

「そう言ってる人が一番深い理由なのよっ」

「そう言ってる人が一番忘れやすい人なんだ。ほら、さっさと行かないと置いて行くぞ」


椅子を引いて図書室から出ようとすると、後ろから有村も付いてくる。俺は有村が来たことを確信すると、少し歩くスピードを速めて教室に戻った。




「歩ー今日のニュース見たかー?」

「今日見過ごしてしまったんだよ、悪い淳教えてくれないか?」

「お前が見過ごすって珍しいな?実は今日、何か不気味なニュースがあったんだよ!多分聞いたらお前その事に結構首突っ込むんじゃねえのか?」

「何だよそれ?」


授業が終わった瞬間駆けつけてきた友達の淳に対して俺はあまり興味なさそうに聞く。

休み時間の教室何かザワザワしてて俺たちの声なんかみんなに聞こえないのに、淳は俺の耳に口を近付かさせる。耳に人の息が当たるのはあまり好きじゃないがもう言える空気がないので仕方なく聞く事にする。


「ニュースで聞いた話によるとさ、何故かテレビ局に誰宛てか書かれていない手紙が今日の夜中の三時くらいに届いたらしいんだ。で、そこの内容には今日の12時に寝たものが先に私が作った世界に案内してあげようっていう不気味な手紙が届いたらしいんだ」

「へぇ。それで?」

「いや、それで手紙には住所とかも書かれていなくて何もかも不明らしい。でさ、ここが肝心何だけどっ。その私が作った世界に連れて行ってくれる人はある条件があってさ。それが…高校三年生の男女だけらしいんだ」

「…は?何で高校三年生の奴らだけが?」


最初は流石に馬鹿らしいと思った。ありえないって。けど、これはいくら何でも話が深すぎる。そりゃ遊びでも話が深い方がみんな信じてくれるって思って深い話にすると思うが…何でなんだ?何でこんなに胸騒ぎがするんだ?


「それは誰にも分からない。それと…向こうはお菓子やゲーム何でも無料らしいが、一つだけデメリットがある」

「…何だよ」


俺は多分、ここで少しは分かっていたのかもしれない。ゲームとかであるあるの事を想像してたに違いない。そんな事あるはずがないって5割以上は思っていたはずだった。

俺は聞いてしまったんだ。聞かない方が良いと思った言葉を。


「…その世界にはよく聞くHPがある。それが無くなったら、俺たちは本当の世界でも死ぬ事になる。意味が分かるか?」

「信じたくはないけどな」


ほら、やっぱり予想通りという言葉な訳だ。

多分みんなはこの事は知っているだろう。みんなさっきから昨日より顔が引きつっている。いつもみんなを安心させている人も、今日ばかりは何も言っていない。けどさ、まだ本当なのか分からないんだぞ?何みんな信じきっているんだ。俺はそれを淳に聞く。


「そりゃ俺たちも最初は信じてなかったよ。けどな。お前はニュース見てねえから知らねえと思うけど、今日偉いさんが殺された」

「…どういう意味だ?」

「手紙にはあと少し続きが書かれていたんだ。今日の午前中に、○○○官庁を殺すってな」

「待て、意味が分からないっ。何でそいつはその人を殺したんだ?殺す必要何かないだろ!」


嘘ならさっさと言ってくれよ淳。

俺、もう少しで信じそうだよ?何が殺されただよ?

意味が分からないって。


「それが…その人は、包丁で心臓を刺して死亡だった」

「で?それが何だっていうんだ?」

「…その人は例だよ。向こうの世界でHPが無くなったら、こういう死に方ですよっていう例を見せるためにあの人を殺したんだよ!しかもまだ色んな殺された方がある!だから殺された官庁は例、殺され方一を見せるために殺されたんだよ!意味が分かるか!?」

「っ!?」


当然こんな大きい声を出していたらクラスメイトにも聞こえるわけだ、みんな俺たちに目線を集中させて今この話すんなよというオーラが俺たちにのしかかる。

お前らに聞いてほしかったわけじゃないんだからそっちはそっちで話続けておけよ…一旦、俺の頭を冷静にさせてくれよ?言っておくけど、俺は普通通りに喋べらせて貰う。


「だったら…その世界っていうのは本当だな」


だからこの言葉も、みんなの耳に届いたはずだろう。泣く人が居るかもしれない、と思った瞬間泣いた人が続出した。全員女子だ。けど、俺は謝らない。

…多分、これよりもっと辛い出来事がこれから先続いて行くと思うから。それは自分の手で乗り越えなくちゃいけない。


「とにかくみんな、今日は寝ないとか言わないで寝てくれ。多分寝ないでも向こうの世界には必ず連れていかれる」

「んな冷静にいられるわけねぇだろ!?俺は高瀬じゃねえんだよ!」

「そんな事は知ってるに決まってるだろ!全員人だけと一人一人違うに決まってる!それに俺だって完璧じゃないんだ。冷静に見えたとしても今の俺の心は震えてしまってるんだよっ」


俺は顔を下に向けてしまっていた。

今の自分の顔を誰にも見られないように。

だってもう少しで泣きそうな顔をしているから。もうとっくに俺以外の男子全員は泣いている。けど、俺は泣くわけにいかない。

…そんな思いはこの人には届かなかった。

俺の顔を、たった一人だけさっきから覗き込んでいた。

目を真っ赤になりながら、さっきまで泣いていたんだろう…今は泣くのを我慢している、たった一人の女の子が居た。


「男が泣くなんてカッコ悪いわよ?」

「…みんな泣いてるだろ」

「それでまとめ役の高瀬が泣いてどうするの?」

「まだ俺は泣いてない。泣くわけにはいかない」

「あっそ。それで良し」


最後に有村は俺に笑顔を向けて離れていく。

…そんな特別な関係とかじゃなかった。今でもそんな関係なんかあるわけないしそこまで喋る相手でもなかった。でも、妙に安心感がある。

このままいたら離れていくのが嫌になりそうな…そんな得も損もどっちもある安心感が有村にはあった。

今後ともよろしくお願いします。

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