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類人猿の過ち

私はその日

酷く茹だるような熱量を照り返している

ビル群の中を

日傘を一輪指すように

歩いている

誰もいないひる下がり

ただまばらに陰が

灰色の年に影を落としている

そんな中を私は

日傘を一輪指して

ただは医者に向かっていた

もう何回目だろう

私のはの中で

もはや、治療していない歯は、半分くらいになってしまっただろう

もう、入れ歯にしたい

そう考えたのは何時だろう

いつも心を入れ替えるつもりでも

現実は

その行動を

まるで津波で消し去るがのごとく

うやむやにしてしまう

所詮私はそんないい加減なのだ

なにをやっても中途半端

誰がなんと言おうと

突き通す意志が欠如しているのだ

私は、歯医者の階段を上る

そのまま、待合室にはいると

一人無駄に冷えたクーラーの中

休むでもなく

座っていた

無音

なにも聞こえない

まるで閉鎖されているようだ

しかし

この世に無音はない

少なくとも

生きている限り

どんなに回りがおとをなくしても

自分の奏でる音が発生するのだ

真に無音が聞けるとしたら

それは

肉体をなくした

死後と言うことになるだろう

私はそんなことを

なにを見るでもなしに

考えていると

路地句ロジクさん」と名前を呼ぶ声がした

そこには、ピンクの制服を着た

助手と言うべきなのか

そんな女の人がいた

男性の場合は、もちろん青だろうか

まさか

そんなことを考えるのは

緊張して

脳内が勝手に落ち着かせようとしているからか

私は言われたとおり

3、と書かれているネームプレートの席に着くと

そのまま待った

待った

待った

待った

いくら待ってもなにもしてこないので

ふときになり

あたりを見渡す

すると一人の女性がこちらを見ていた

それは女性と表現するには

いささか若さが足りないかも知れない

もしかしたら

患者なのか

それともここにいる職員の

誰かの子供か親戚か

またはそれに近くとも遠からずなものなのか

どちらにしても

背が小さい、まだ小学生

低学年以下と言っても

ましては、保育園児と行っても良いような女の子が

こちらを見ていた

それは真っ赤なピアノの演奏会でひくか、見るかどちらでも合いそうなドレスのような、ワンピースを着ている

ドレスにしては、フリルなどが一切無く

まるで、一つの生地を、素材そのまま

シンプルに作ったかのようである

その彼女は

長い髪をしていて

その先端を同じ長さに切りそろえられていた

そんな彼女はこちらに目を向けていたが

不意に

どこかへ走っていった

しかし

誰も注意しない

そして

そんなときになって

私は

あたりが、音を発していないことに気が付いた

「・・・」

私はあたりをそこで改めて

見た

誰もいない・・誰一人

それどころか

徐々に、照明が、落ち始めている

(え・・・え・・ええ・・)

私は焦り始めた

時間はまだ朝のはず

それも昼前より二、三時間前だ

その中で私は

一人は医者の治療室で

ただ一人

焦っている

私はそこで

初めて、冷凍マグロのような

解剖されることに、あきらめた死にかけの蛙のような

状況を解いて

立ち上がった

誰もいない

おかしいだろ

私はこころのなかでつぶやく

どうて、気が付かなかった

ふつうなら、気が付くだろ何で

私はもう一度あたりを見渡しは

もう夜になっていてもおかしくないような気がした

それほど当たりは、暗い

私は入ってきた扉に向かうと

そこで異様なものをみた

曇りガラスの扉に

黒いものや、灰色、肌色

私はそれが何か瞬時に分かることができなかった

それは、無数の顔であった

手であった

しかも大きさからして

先ほどの女の子と同じくらいだろう

私は後ずさった

何かに当たって

床に金属片のものが

落ちる音がした

そのとき頭の中で耳鳴りがした

その金属音が

まるで頭の中からはっしられるような

そんな、風に感じた

私は意識が徐々に薄れゆくのを感じる

「ロジクさん、終わりましたよ」

その笑顔が信用できない

私は起きあがって

そんなことをふと思った

治療してもらって何なのかといいたいが

しかし

以前、治療してもらった歯に

菌が入っていたようで

それが痛んで

二度、再度深く掘られたことがあるのだ

それ以来

もうますます歯医者というものが

憎くて憎くてしょうがない

自分という存在が

全く持って

私は起きあがると

エプロンを外してもらって

起きあがった

しかし無理だ

今私は

あまりにも歯医者嫌いなため

無理矢理

麻酔薬で眠らされ

その間に、五時間にも及ぶ

大手術をしたのだ

その結果、口のすべての歯が、抜かれ

代わりに

その歯すべてが

偽造歯に変わっている

私はそのあと一週間

熱を持った痛みに口中はおろか

首の上すべてに

痛みを覚えた

「はあ」

私はこれからなにをするのだろう

清々したと、新しく生まれ変われるのだろうか

それとも、同じくらいの

悩みにまたぶち当たるのだろうか

どちらにしても

私は

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