とある超科学
津川はSFな世界にあります。( *´ー`)
異星人とかアンドロイドだとかww
「打ち身と脳震盪ですね。今日は安静にして、様子を見てください」
閖吼は診察器具を棚にしまいながらにっこり微笑んだ。
「……」
ブラウがキャンピンクテーブルに頬杖を着いて閖吼を見上げる。
「安静に、ですか」
「ええ、『安静』に、です」
更ににっこり笑みを深めた医者は、そのまますぅっと目を細めた。
「脳に重篤な障害が出る場合、安静にしていなかった為に引き起こされるケースが多々ありますから」
医者っていうのは、そうやって患者を脅すのが趣味なんだろうか?
いや、きっと閖吼の趣味に決まってる。
ケインは冷蔵庫からオレンジジュースの入った缶を取り出しながら、閖吼がブラウを青ざめさせるのを横目で見ていた。
ブラウは勇者なメイズの方をちらりと見てから、深いため息を吐く。
ああ、彼の諦めが手に取る様に解る。『重篤な障害なら、きっともう出ている』そう考えてるんだろうな。と。
なにしろ彼の勇者は、現在うさぎとダッシュ競争の真っ最中だからだ。
でも、とケインは首を傾げる。
障害なんて起きそうに無いほど簡単な作りをしているっぽい、勇者の脳みそは置いておいて。閖吼がいたぶりたがるくらい悩んだり考えているっぽいブラウが、なんで大した手荷物を持たない自分たちが、大量のハンバーガーやら冷蔵庫やらキャンピングセットに診療機器満載した棚を並べているのかに疑問を一言も口にしないのか?
裏手突っ込みとまではいかずとも、『何で』の一言くらいあって然るべき。っていうか、自分たちの世界ならもう裏手どころかハリセンが繰り出されるレベルだ。
勿論全て津川家が隠匿する、反則技に突き詰められた科学技術と知識、更には天才の名をほしいままにする幻の卓越した能力の賜物だ。
畑違いのケインには、使い方が判ればそれでOKではあるものの。その驚異的なアイテムの数々は、格言が云うところの『進み過ぎた科学は魔法になる』そのもので……
「あ、そうか」
ケインはポンと手を打つ。
そういえばこの世界には『魔法』があった。
しかもブラウは魔術師だ。知識のどれかに『大きな袋』系お便利収納術が有るのかも知れない。
ケインの義父が後生大事に首から下げている、個人的宝物を詰めた巾着袋みたいに。
気にして損した。
疑問符と驚愕に仰け反る姿が見たかったのに。
ケインはため息を吐いて、オレンジジュースを飲み干した。
とどのつまりは、実に津川なケインである。
( *´ー`)そして津川は、人が驚くのが好き。
不発なのでケインはつまんないのです。