とある勇者
地雷は、埋まっているから見えないんですよ。
Angel Cry 読んだ人なら、この地雷はよくわかるはずww
「おやおや、勇者さんだったのですか」
閖吼は目を細めて微笑みを深くする。
その様は楚々としていながらとても妖艶で、少年二人が見惚れるには十分だ。
途端に幻とケインの背筋に冷たい汗が流れた。
そしてなぜか字間がゆっくり流れる気がする。
多分これは、生まれた時から本能に刷り込まれている危機察知能力の所為だ。
津川家で、もっとも不吉な地雷が踏まれたのだから。
勇者。
その呪われた称号を、閖吼に向かって名乗るなんて……
無知とはどこまで命知らずなのだろう。
二人の様子から危機を読み取ったらしい亜麻色の髪の少年が僅かに顔色を変えるのを見て、幻もケインも心に決めた。少年達を守ってやろう。少なくとも、閖吼の逆恨みからは。
一緒に育っただけあって、こういう時はよく似た二人なのだ。
「あの、俺はブラウ。魔術師だ。……こいつの補佐を任じられている」
亜麻色の髪の下で、翠の目を伏せる。大人三人には、それだけで少年達の力関係が判った。
いつも苦労掛けられているんだろうな。
幻は同情を深め、ケインはほんのちょっとだけ己の所業を省みた。
( *´ー`)勇者。
なんて罪作り