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僕の友人
「はぁ…」
車掌がため息を漏らした。
ため息を漏らしたいのは僕のほうだ。
「十数える間に乗るのか乗らないのかハッキリして下さい」
ごもっとも。
さっさと電車に乗れ!!
「九」
ほら。
「八」
早く。
「七」
動けって。
「六」
お~い!!
「五」
まったく動じない夢の中の僕。
「四」
あぁ…
「三」
警察行き決定か…
「二」
短かったな…僕の人生。
「一」
言い終わる前に夢の中の僕は立ち上がった。
よし!、思わず心の中でガッツポーズをした。
「遅い」
夢の中の僕は呟いた。
と、次の瞬間。
今客観的に見ている僕の目に飛び込んできたのは、階段ダッシュで駆け下りてくる僕の友人だった。
そこはたいした問題ではない。
友人は途中で階段を駆け下りるのが面倒になったのか、残りはまだ十段以上はあるであろう階段を飛び降りた。