3人寄れば?
「おはようございます、桐堂様」
「おはよう、燕翔寺」
互いに朝の挨拶する。今のところ燕翔寺としかマトモに会話出来ていない。
燕翔寺も同じらしく、荷物を置いてはすぐにこちらへトテトテと寄ってくる。
頭の位置が僕の胸元あたりにある為、なんとなく小動物感があって、つい頭を撫でそうになる。
そんな時、隣の椅子がガタリと音を立てる。深海だ。今日は何やらヘッドホンの様なものを装着している。
「えと、おはよう。深海さん」
「おはよう」
一応聞こえてはいるらしく、返事が返って来た。
「お知り合いだったのですか?」
「いや、昨日が初めて。寮でも隣だったから、何となく」
「成る程」
良い心掛けだと思います。と笑顔で頷くと「我も」とばかりに深海の前に立ち、深々とお辞儀する。
「お初お目にかかります、深海様。桐堂様の友人、燕翔寺智恵と申します」
燕翔寺から友人と呼ばれ、何だか嬉しくなる。それに対して深海は
「私は深海瑠花。宜しく、燕翔寺さん」
「………」
表情は相変わらず無表情だが、普通に受け答えしている。僕が勝手に苦手意識を持っていただけで、怖い人では無いのかもしれない。
「(それなら、何か話題を……)」
そんな時、深海が一冊の本を鞄から出して読み始める。
拘りがなければ電子書籍が一般的だ。そんなご時世で、紙の本とは珍しい。
そうだ、本。僕も割と読書は好きな方だ。それなら何か共通の話題が見つかるかもしれない。
「それ、どんな本なんですか?」
「これ?」
深海は少しだけ考える素振りを見せると、少しだけこちらに顔を向ける。
「読んだら頭がおかしくなる本、らしいわ。気になる?」
やっぱりちょっと怖いかもしれない。
しかし、そんなしょうもない会話によりハードルが下がったのか、燕翔寺に話しかけたくても話かけられなかったクラスメイト達が徐々に近づいてくる。
「おはよう、燕翔寺さん」
「おはようございます」
「おはよう」
あっという間に囲まれてしまった。
「人気者ね、彼女」
「そ、そうですね……」
せっかく出来た唯一の友人が。置いて行かれた様な感じがしてすこし寂しく感じていると、誰かが肩に手を回してくる。
「「よっ、色男」」
「だ、誰」
振り返ると、草原の様に短い緑髪の男子生徒と、真っ赤なショートボブの女子生徒が。
「安良川誠。マコっちゃんって呼んでくれ」
「ま、マコっちゃん……?」
「おうよ、ミゲるん」
なんか変な渾名をつけられたが、悪い人ではなさそうだ。
「アタシは根間紅音!気軽に紅音って呼んでね、ミゲるん!あ、ちなみに名付けたのアタシね!」
あの変な渾名の名付け親はこっちか。しかも自分は名前で呼べと。
「じゃあ……根間で」
「ちっがぁう!」




