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グレイル・アイズ  作者: 九六式
交差する運命
17/19

Lesson1




「まずは自分の武器に慣れて」

「(急だなぁ……)」


 とりあえずハウンドを取り出す。


 蒼刃。初期型の1番基本的なソードデバイスだ。これと言った特徴の無い、シンプルな魔素の剣だ。


「じゃあ、コレ。適当に切って」


 オルカはそう言って頭のもげた魔獣【駆竜(クリュウ)】を指差す。


 反撃させない様にか、ご丁寧に両手足まで切断されている。ちょっと可哀想だ。


 とは言え、あくまでデータで再現されたホログラム。本物では無いし、僕もこいつに殺されそうになったのだから罪悪感を感じる必要はない。


「はぁっ!」


 力任せに振るうと、刃が触れた箇所が輪切りになる。剣術の心得などはないが、まあまあなのでは無いだろうか。


 オルカの方を振り返ると、意外な事に彼女的にはイマイチだったらしい。首を横に振っている。


「力が入りすぎてる。もっと力を抜いて」

「は、はい」


 力を抜く。どうやれば良いんだろうか。


「よっ」


 今度は脱力して適当に振る。と、切れはしたがそこまでダメージを与えられている様な感じがしない。


「抜きすぎ。空振ったらソレ飛んでいくわよ」

「は、はい……」


 分からない。しばらく考え込んでいると、目の前の駆竜の胴体がモソモソと動き出す。コアを破壊されていないから再生を始めた様だ。


 しかし、瞬きした時には既に生えかけていた手足と頭部が再び切り落とされる。

 

 ついでにオルカは僕の背後に移動していた。いくらなんでも速すぎる。そう言った能力を持っているのだろうか。


「………」

「え?」


 何も言わず後ろから手を回され、蒼刃を一緒に握ってくる。緊張して心臓がバクバクする。


「集中して」

「すみません……」


 ゆっくりと持ち上げ、上段に構える。


「まだ力を抜いていて」

「はい」


 そのままスーッと刃を下ろしていき、駆竜の表皮に触れる。


「ここ」


 グッと力を込められ、ズルリと刃が深々とめり込む。


「ああ、成る程」


 触れる瞬間に力を込める事で、最小限のエネルギーだけで。


「あとは、そうね」


 ガッと僕の手を掴むと急に方向を変え横薙ぎに。


「刃物と違って刃を立てる必要が無いから」


 それだけ言うとオルカは手を離す。


「………」


 今の感覚を思い出しながら、上段に構える。


 そして、深呼吸。


「ふぅーっ」

「じゃ、時間だから」

「えぇ?」


 突然そんな事を言われ、ガクリと力が抜け、変な声が出る。


 直後、景色がガラリと変わり、あの無機質な空間に戻っていた。









「駆竜」・・・太古に存在したとされる小型肉食恐竜の様な姿をした魔獣。他の魔獣同様、人が思い描く「恐怖の対象」の姿を真似ているだけで、もちろん本物の恐竜でもなければ、爬虫類でも無い。すばしっこい以外特にこれといった特徴は無い所謂雑魚敵だが、群れた場合の脅威度は非常に高い。

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