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グレイル・アイズ  作者: 九六式
交差する運命
13/13

白昼夢






 チャイムが授業の終了を知らせる。


「………」


 今日も特に何事もなく、午前中の授業が終わった。

 狩人の育成を目的とした学園なだけあって、座学も通常の科目は少し頻度が少ない気がする。


『オルカ。私のことは、そう呼んで』


 あの夜以来、彼女には出会っていない。


 魔獣に襲われた僕を助けてくれた、オルカと名乗る少女。どう言うわけか顔が思い出せない。


 自分の身に起きた出来事は鮮明に思い出せるのに、彼女に関する情報だけがどこかモヤのかかった様にボンヤリとしか浮かび上がらない。


 結局あの日、僕は寮に戻ろうとしたところを警備に見つかり、新学期早々に担任の大江山(おおえやま)先生からこっぴどく叱られた。


 しかし妙な事に、先生曰くあの場にいたのは僕1人だったらしく、彼女の姿を見たものは僕以外誰もいなかった。


 もちろん、悪性魔素と呼ばれていた黒い水溜りも、あの人語を話す魔獣の死骸も、何も見つかっていない。


 まるで何もなかったかの様。


 最近は自分でもあの日の出来事は本当は夢だったのではないかと思い始めて、結局誰にも話していない。


「(青い目の綺麗な人だったな、くらいしか……)」


 ふと隣の席を見る。


 深海瑠花。彼女も青い目をしていて、もしかしたら同一人物なのでは無いかと思ったが、それなら顔を合わせただけでハッキリ分かるはず。


 だが、彼女の顔を見ても今一つピンとこなかった。


「(似てる様な、そうでもない様な……)」


 もし彼女が僕の妄想の産物ではなく、実際に現実に居る人物なら、せめて礼を言いたいのだが。


 視線を深海から外に移し、溜息をつく。


「ねえ」

「うわぁぁ、何!?」


 肩を叩かれ、慌てて声の方へ視線を向ける。

 するとすぐ近くに深海の顔があり、ビクリとする。またジロジロ見ていたのを気づかれてしまったか。


「呼ばれてるわよ、ほら」

「え?」


 深海が指差す方を見ると、小柄な女子生徒とそれを挟む様に男女が教室の入り口付近で手招きしていた。


「ああ、燕翔寺達か」


 燕翔寺、根間、そしてマコっちゃん。最近仲良くなった3人組だ。入学直後に知り合ってからは、ずっとこの4人で連んでいる。


「ありがとう、深海さん」


 スクールバッグからコンビニのパンが入った袋を取って席を立ち、3人の方へ向かう。


「ええ、どういたしまして」









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