秘密の会談
一組の男女がカウンター席に並んで座る。
片方はスーツを着た白髪混じりの男性。もう片方はフード付きの黒いジャケットを着た若い少女。
親子ほど歳が離れた2人だが、もちろん血縁者でも恋人同士でもなんでも無い。
「で、定休日の喫茶店に女子高生を連れ込んで何のつもり?」
カランとグラスに入った氷が鳴る。
「君に頼みたいことがあってね」
「お断り。私こう見えてお金は別に困ってないの」
そう言って少女は今すぐにでも帰りたいとばかりに気怠そうな目を向ける。しかし男はその視線を全く意にかえさず、ケラケラと笑う。
「いや、君の腕を見込んでお願いしたいんだ」
「腕?」
「そうとも」
「【切り裂きオルカ】。先鋭揃いの【特別危険現象対策部】の中でも特に戦闘に特化している君に頼みたい」
その単語を聞いた途端先ほどまで気怠そうだった少女の目つきは獲物を射殺すようなモノに変貌し、何処からともなく取り出した一振りの刀を男の首筋に突き立てる。
「誰から聞いた」
「ひとまずソレを下ろしてくれないか?」
「答えろ」
「アタシだよ」
声が聞こえた方を見るとそこにはメイド服を着た女性がニコニコ笑っていた。
「はぁ」と少女はうんざりした様子で溜息をして、剣を納める。
「先に言っておくけど、その呼び方嫌いなの。私の偽装名は【オルカ】よ。次は本当に首が飛ぶから、くれぐれも気をつけなさい」
「肝に銘じておくよ」
男性は悪びれもせず、ケラケラと笑うとコートの裏ポケットに手を入れると何かを取り出す。
「それで?私に何を頼みたいって?」
「これを見てほしい」
差し出されたのは一枚の写真。それには1人の少年が映っていた。
「盗撮?」
「まさか」
ちょっとしたメモ
「特別危険現象対策部」・・・特に危険と判断された超常的な現象を秘密裏に解決するために特殊な能力を持つ者たちを集め、組織された機関。基本的に魔物相手が殆どだが、必要とあらば人間相手にも武力を行使する。ある新兵器の開発のための実践データ収集部隊でもあり、その新兵器が正式に採用されてからは魔物の存在が政府によって公表されたこともあって無用の長物となり、今では数名しか残っていない。




