表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/8

2話:生死と代償

【11月11日・7時05分】


「天使と悪魔からの授かり物...かな」


質問に答えてもらったのにも関わらず、呆然としていた。

それもそのはず。

黒髪ショートの美人な女性が言うことではなく、厨二病が口にしそうな台詞だったからだ。


 「神様から天使と悪魔、それから妖怪。全部存在してるんだよ」


 「そんなん信じても、なんもならんし〜♡」

 「そういう話、ほんまに嫌いなんすけど」


サクラの言葉は、どこか本気だった。

けれど、2人は真剣な空気を察しきれず、呆れている様子を見せた。


 「いいから聞いて? 2人を選んでくれたのはね──」


モネとベラは思わず息を呑む。

部屋の空気が一変して、全ての時間が止まったかのように感じた。


 「天使と悪魔。ベラちゃんが天使、モネちゃんが悪魔だよ」


突然の宣告に、2人は止まった。

サクラは淡々としたまま、微笑み続けた。


 「今から私がモネちゃんを殺す」

 『は?』


その言葉通り、モネの体が傾いた瞬間、サクラが襲いかかった。

モネとベラは状況が理解できず、一瞬、視界が白くなったものの恐怖にまみれる。


 「モ、モネ....!?」


【11月11日・7時07分】

頭を潰されたモネは、ベッドの上で息を引き取った。

ベラの背中には、熱がこもっていた。


そんなのお構いなしにサクラは「ベラちゃん、治癒してみて」と声をかけた。

だが目の前で友達が殺されたばかりで、平然としていられるはずもなく、ベラは息を荒げた。


 「ベラちゃん、しっかり息吸って。じゃないと、君が死ぬよ」

 「む....り....!」


息と声を必死に絞り出しながら、ベラは混乱していた。

そのとき、周囲の音がふっと消え、代わりに自分の心臓の音だけが響いていた。

まるで何かに導かれるように、体が勝手に動く。


たった1人の友達を失いたくない一心で、ベラはモネの頭に手を置いた。

すると、彼女の手のひらから黄金の光がゆっくりと溢れ出した。


モネの体は微かに震え、息が戻る。

瞳がゆっくりと開き、白く濁っていた視界に色が戻っていく。


 「ぇ....は....?」


ベラの小さな声に応えるように、モネは微笑んだ。

まだ完全ではないが、確かに息を吹き返した。

眩しい光が収まり、サクラは感嘆したように目を細めた。


 「なにこれ......」


ベラは息を整えながら、モネに抱きついた。

そしてサクラが説明をし始めた。


 「天使はね、命や運命に触れることができる。まぁ、代償は重いけどね」

 「代償って...なんなん....?」

 「天使の力を借りると、少しずつ寿命が吸い取られる」


その言葉に、ベラは唇を強く噛み締めた。

モネはそんなベラの頭にそっと手を置き、何も言わずに撫でた。


 「私が回復させることもできるから、今どうこうってわけじゃないよ」


サクラはウインクして、場の空気を和ませた。

そして、モネはまだ混乱していたが気になることを、ぽつりと尋ねる。


 「あたしのは..... 悪魔ってなにができんの?♡」

 「悪魔は、人の心を動かしたり、全身が刃物になったり....かな?」


モネは半信半疑で笑い、ベラはまだ現実を飲み込めていなかった。

そんな2人を見て、サクラは小さく息をつきながら、ゆっくり語り出す。


 「この世界には、表と裏があるの。君たちはその境界に立ったばかり」


2人は無言で顔を見合わせた。

サクラの口元に表れる笑みは、どこか楽しげで、何を考えているのかさっぱりだった。


 「これから、ビシバシ鍛えていくから覚悟しといてね」

 「待って、まだ話終わってへんけど?♡」


サクラが話を締め、扉の方へ歩いていくと、モネが袖を引っ張って、引き留めた。

その手と声は少し震えていて、今にも泣き出しそうな雰囲気だった。


 「結局、この力使って何するんすか」


サクラは静かに笑って、振り返った。

その様子は少し不気味だった。


 「君たちには、第二観測課に入ってもらって、お仕事をしてもらいます」


‘’お仕事’’という聞き慣れない言葉に、2人は目を丸くした。

そして案の定、モネの口が先に開いた。


 「ってことは給料入ります?♡」

 「任務完遂1回で、100は入るよ」

 「まじっすか!」


今までずっとテンションが低く、サクラを警戒していたベラが、ようやく心を開き始めた。

そんなベラを見て、貼り付けた笑顔を捨て、笑い出す。


 「っはははは。お金の話が大好きなんだね」


小馬鹿にされたような笑い方に、2人の視線が集まった。

サクラが笑い涙を指で拭ったその瞬間、モネが腹を貫いた。


空気が止まり、音が消えていく。

ベラは目を見開いたまま、息をすることすら忘れている。

そしてサクラの体がゆっくりと、崩れ落ちた。


 「まじで悪魔の力もらったんや….」

 「あんた… なにしてんの──」


声が震え、言葉の意味すら理解が追いつかない状況でも、咄嗟に手を伸ばし、サクラに触れた。

ベラは回復させようとしていたのだ。

だが、それより先にサクラの目が静かに開く。


 「油断しちゃったな。モネちゃんの手は怪我してない?」


腹を貫かれたはずなのに、ピンピンしているサクラを見て、2人は息を呑む。

そして、サクラの腹は何事もなかったかのように傷が塞がっていった。


 「言い忘れてたね。モネちゃんとベラちゃんと同じで、私も───***なんだよ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ