表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】スマホを持たない二人は電話ボックスで出逢った -グラハム・ベルの功罪-  作者: ネームレス


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

28/72

第28話 6月10日 水曜日④

 「11」につづく「3」。

 「113」の電話番号だ。

 僕はまた「113」をドラッグし右クリックして出た項目から『ウェブで113を検索』を選ぶ。

 ブラウザにまたタブが増えた。


 「113」は「電話サービスの故障等に関する相談」と書かれていた。

 電話機が壊れているときに「113」にかけると原因を調べてくれるらしい。

 ただ電話機が壊れている場合は使えない。

 それはそうだろう。


 でもそれって「113」にかけた時点で電話機が壊れてないっていう証明になるんじゃないのかな? あ、そっか電話機が動いてる時点で壊れてないって判断もできるのか? なんだかメビウスの輪みたいになった。


 それに「110」と「119」が無料というのは理解できるけれど、まさか「113」も無料だなんて。

 僕はそれ以上「113」を深追いしなかった。

 

 代わりに同じページに付随されていた、ほかの番号を調べた。

 「114」は相手先の電話が話し中かどうかをコンピュータが自動で調べてくれるらしい。

 どういうことだろう? 着信拒否されてるかどうかがわかるのかな?


 「115」は電報の申し込みで、「116」は電話の新設、移転、各種相談だ。

 「117」は時報で「118」は 海上の事件、事故の急報。

 そういえば「118」は聞いたことがあるな。

 海上保安庁、海保(かいほ)つまり海の上の警察への通報だ。


 あと「110、111、112、113、114、115、116、117、118、119」の十個の電話番号のなかでわからないものは「111」と「112」だけになった。

 僕はそのふたつの番号を個別に調べることにした。

 すぐに「111」がなんなのか判明した。

 「112」も、だ。

 

 「112」は、いちおうは空き番号ではあるけれど携帯電話のキャリアによっては緊急電話になることもあるという。

 これはヨーロッパ圏では「112」が緊急の電話番号だからだそうだ。

 そのむかし日本では消防が「112」だったこともわかった。

 

 そこからまた消防のことを調べているとおもしろいトリビアを発見した。

 ふと、僕はどうしてこんなに必死で三桁の電話番号を調べているんだろうと我に返る。

 

 でもなにかに没頭していると他になにも考えなくていいから助かる。

 僕が調べたいと思っていたことはすべて調べ終えた。

 パソコンの右下のタスクバーで今の時間を確認すると昼休みの時間はまだ余っていた。

 最近見てなかったS町のサイトを見ることにしよう。

 そのまま「S町」と検索して広告を抜いたS町の公式サイトをクリックした。

 

 いちおうアドレスバーでドメインの確認だけはする。

 町の名前のあとのスペルがきちんと「.jp(ドットジェーピー)」になっているから正式なS町のサイトだとわかる。


 トップバナーは恐竜の骨と化石の画像、それに小学生たちが書いた化石の絵だ。

 三カラムのうちの右のサイドバーに載っている人口比をさらっと見てみる。

 今は六月だから五月末までの人口と世帯数の増減が掲載されていた。

 人口が若干増えている。

 といってもじっさいに住民票を移した人の数だから町にいる人はもっと多いかもしれないし少ないかもしれない。


 つぎに僕は大手ポータルサイトのニュース一覧をのぞいてみることにした。

 「総合」「芸能」「経済」ほかに「国内」などのラベルにジャンル分けされている。

 国内ニュースの項目では昨日「大納言」で見た不正アクセスのニュースがトップに出ていた。


 僕はまたタスクバーで時間を確認する。

 昼休みもあと六分か。

 僕はブラウザを閉じタスクバーの「Windows」の窓のマークをクリックした。

 電源のマークの中にまた三つの選択肢が出てきた。

 迷わずシャットダウンを選ぶ。


 数十秒ほどでパソコンから出ていたファンの音が消え――バシュンと本体の電源が落ちた。

 【コンピュータ室】の電気を消し部屋を出て【コンピュータ室】の鍵を閉める。


 僕は鍵本体と【コンピュータ室】と彫られたプレートとを繋いでいる金属の輪に人差し指を入れてトンボの目を回すようにクルクルと指先を回しながら職員室に向かった。

 ちょうど水木先生がいたから鍵を返却(かえ)して午後の授業に臨む。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ