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  作者: ツヨシ
2/2

しばらくは何もない。

が、むこうから男が歩いてきた。

近所の笹村さんで、いつも無駄に元気はつらつな人だ。

この日もまるで軍事パレードのような歩き方で、歩いていた。

近所ではこの人のこの歩き方を知らない人はいない。

笹村さんは女には気づいたが、なにもいないような様子で女の前を通り過ぎた。

そして笹村さんと女が多少離れたと思われた時、女の口からなにかがすごい勢いで飛び出した。

――舌?

そうそれは舌だった。

女の舌は数メートルも伸びると、笹村さんの首の後ろをなめた。

笹村さんが思わず立ち止まり、振り返る。

しかしその時には女の舌はすでに女の口の中だった。

その間女は、笹村さんを一度も見なかった。

笹村さんが首の後ろに手を当ててなにかぶつぶつ言っていたが、しばらくして歩き出した。

しかしその歩みは先ほどのものではなく、まるで病人のようにふらふらしていた。

今にも倒れるのではないかと思うほどに。

笹村さんがこっちにふらつきながらやって来るので、俺は隠れた。

そして笹村さんをやり過ごした。

笹村さんを見送った後戻ってみると、女はもういなかった。

俺は考えた。

俺も笹村さんも女に首をなめられた後、体調を崩した。

それはまるで、体内のエネルギーを吸い取られたかのようだった。

――もしかすると。

あの女は本当に人の生命エネルギーを吸い取っているのかもしれない。

数メートルもある舌でなめることで。

人をなめるのは、あの女にとっては食事なのだ。

とても信じられないことだが。

なんという化け物だ。


その後、その女を見ることはなかった。

――餌場を変えたんだな。

俺はそう思った。



       終

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― 新着の感想 ―
∀・)禍々しい怪物を描いた作品って感じですかね。 ∀・)エネルギーを吸いとるという化物もまた不気味と言えば不気味ですよね。
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