↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
幻想のセラリウス  作者: ふたばみつき
-新たなる任務-
93/95

☆91 上級魔術

 その手に大剣を握り、高く掲げられた帆船から一直線に蛸の眉間へと落下している。


 その時、大剣が振り上げられ、落下の勢いのままにその大剣が蛸の眉間に突き立てられた。


 金切り声にも似た叫び声が辺りに響く。

 鳥の叫び声にも似たおぞましい叫び声が俺達の耳をつんざく。


 それと同時に蛸の身体が勢い良く蠢き、白へと黒へと紫へと次々に変わって行く。


 その勢いでロックが氷上へ投げさせれる。

 この世の物とは思えない、不気味な光景が目の前で繰り広げられる。

 

「アルル! これが限界だぁ!!」


 ロックの叫び声が聞こえてくる。 

 見ると、ロックは氷上を駆け、一目散と言わんばかりに蛸から逃げている。


 見ると、蛸の眉間に深々と大剣が突き刺さっている。


「文句なしだ、流石だぜロック」


 魔術に込める魔力を一層強める。


 やはり、部不相応な魔術は魔力の充填に時間が掛かる。

 だがもう少し、もう少しだ……


 その時、ドックの方から魔力の奔流を感じた。

 ドックの準備が整った様だ。


 彼が高らかに叫ぶ。


《雷の書、五十四章、剣擊雷漸》


 ドックの眼前で漂う雷の球が膨れがあり、巨大な剣となり、蛸の眉間、目掛けて射出される。


 深々と突き立てられた大剣が避雷針となり、吸い寄せられるように、その眉間を雷の剣が貫く。


 ほんの一瞬、蛸の動きが止まる。 

 いいタイミングだ。

 

 丁度、俺も溜まったぜ。

 

《雷の書、八十八章、幾千天墜》


 魔力の充満した雲が凄まじい轟音と共に一瞬光る。


 次の瞬間、辺りが一瞬真昼かのように照らされ。巨体な蛸の身体を丸々飲み込むほどの落雷が滝の様に降り注ぐ。


 落雷はその全て触手を焼き払い消し炭へと変えて行く。

 その断末魔の叫び声も呑み込み、亡き物へと変えようとしている。


「八十八夜を超え、この瞬間、裁きの雷のなり。我が御敵を焼き払う」


 ドックがなんかそれっぽいことを言ってる。

 正直、当の本人である俺はそんな場合ではない。


 思わず膝を着く。

 凄まじい勢いで、魔力も視界も意識もその一切合切を持っていかれそうになる……


「アルル、大丈夫か!?」

「あぁ、ちっとばかしキツいが、もう少しだ……」


 もう少しで全ての触手を焼き切れる。

 やき…… きれる……


「くっ……」


 視界が弾け白く染まる。

 意思が途切れる。

 意思が……


「アルル!!」


 ドックの呼び掛けを頼りに、最後の気力を振り絞り意識を奮い起こす。


「これで、終わりだぁぁぁぁぁ!!」

 

 その瞬間、雷が弾け飛んだ。


 空を染める暗雲も纏めて、凄まじい破裂音と共に全てが弾け飛んだ。


 城壁の様に聳える氷も、海を覆う氷も、巨大な蛸の触手達も、その全てを纏めて消し飛ばした。


「はぁ、はぁ…… あぶねぇ、危うく暴発する所だった……」

「よくやった、よくやったぞアルル!!」


 倒れそうになった俺をドッグが抱き止めてくれる。


 見ると、砕け散った氷達が空を舞い、雲一つ無い夜空に星が瞬き、万華鏡の様に彩っている。


 その中央には、大きく丸い月が座している。


「はあ、なんとか…… なった見てぇだな……」


 なんとか維持していた意識が薄れていく。

 そして、最後に星空を視界に写したのを最後に、俺の記憶は途絶えた。 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。